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話す相手を間違えないように

朝晩は冷えますが、それでも日中は青空が広がって、穏やかな正月が続いています。
今日からほとんどの人が仕事が始まっているので、もう正月ではないかなとも思いますが、
まだ松の内ですから、とりあえずは正月です。

「よかったねー。」
「うん、元気出たって!」
こざる達、うんうん頷きます。

こざる達の友人、ちょっと家族関係の悩みがあって、電話で話を聴いていました。
ずっと我慢して頑張っていたのですが、遂にこの年末年始で堪忍袋の緒が切れたというか、
もう嫌だー!!!となりました。

「今まで、別の友人に悩みや愚痴をずっと話していたんだけど。」と彼女は言いました。

こざる達とは昔からの友人ですが、りこちゃんの介護生活で忙しいだろうと、話すのを遠慮していたのと、
その話をしていた友人とは家が近いので会う機会もあったからなのですが、

「よく話を長い間、聴いてくれていたんだけれど、でもね、実は私の悩みを何も分かっちゃいなかったのよ。」

つまり、分からないけれど、分かっているふりをして、大変だねー大変だねー、よく頑張っているねー、と言っていただけだったというのが
バレてしまったとのことでした。

「別に解決してほしいとは全く思っていないんだけど、一所懸命、悩みを本気で話していた自分が馬鹿みたいで。」

聴く方も精一杯の演技?だったのかもしれませんが、それが嘘だったと分かってしまったら、ちょっとがっかりしちゃいますね。

「信頼して話していたんだろうしね。」

そうですね。
もう話す気は失せてしまいますよね。

「でもね僕たちも、ただ話をじっと聴いているだけだったんだよ。」

そうなんです。こざる達も、彼女の話をずーっと聴いていただけなんです。

「ちょっと分からないなーと思ったら、質問したけれどね。」

分かろうとしました。
どんなに分かろうとしても、本人でなければ その苦しみは分からないけれど、
それでも、心の痛みを理解しようと思いました。

「すぐに解決策を提案できるわけでなくても、真剣に聴いたんだ。」

それだけなのですが、彼女はありがとうと何度も言っていました。

「話す相手を間違えちゃいけないね。」
「一を聞いて十を知れとは言わないけれど、それでも分かろうとする気もなく、ただ適当に相づちを打っているだけなのはね。」

分かる人、分かろうとする人に話せば、こんなに簡単に話が通じるんだと思ったと、
そう彼女は言っていました。

「またいつでも話を聴くからね。」
こざる達は電話の向こうの彼女に言いました。
笑顔になったような気がして、ホッとしました。

「さて、おやつにしようか。」
「今日はアップルパイのパンだよ。」
「紅茶にする?」
「僕は、りこちゃん、呼んでくるよー。」

こざるちゃんがスキップするようにして りこちゃんの部屋へと向かいます。

「りこちゃーん、おやつの時間だよ! 今日はアップルパイだよ! 皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は雪のようですね。
よい毎日でありますように (^_^)

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