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【完全解説】ゲームで遊ぶとお金が稼げるカラクリ

今回は、おそらくほとんどのみなさんが腹落ちできていない
「どうしてゲームで遊ぶと、お金が稼げる(Play to Earn)のか?」
のカラクリについて「トークン経済の仕組み」の側面からではなく
経済市場との関係で、解説したいと思います。

これまで「トークン経済の仕組み」については、
いくつかのnoteで解説を試みてきました。

今回は、もっと本丸の話を、シンプルに紐解いていきます。

「ゲームで遊んでお金が稼げるなんてこと、あるわけない」
「ゲームは、そもそも遊ぶ人がお金を払うものだ」
「詐欺に違いない」
「ああ、ポンジ・スキームでしょ」

そんな風に思う人こそ読んでほしいと思います。

早速ですが、結論から。

Play to Earnとは、
 複数の方法で
  外部の経済市場から原資を流入させ、
   その一部を報酬としてユーザーに還元する仕組み、のこと

これだけです。
つまり、

Q.なぜ、ゲームで遊んでお金が稼げるのか?

A.いろんな方法で、外部からお金が入ってくるから!

ということです。

「商売とは、原価に利益を加えた価格で販売する仕組み」
「呼吸とは、酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する仕組み」

と、同じくらいシンプルな話です。

ここからは具体的なビジネスモデルと比較しながら説明していきます。

◯「好きなことで生きていく」
 YouTubeのビジネスモデル

お金を稼ぐということを考えた時、一番シンプルなのは、
「自分はおいしいリンゴをもっている。これを別の人に売ろう」
というモデルです。

では、次の例ではどうでしょうか。

「僕はおもしろおかしく鬼ごっこを、やってみせられるよ」
「私はおいしくて、見栄えのよい料理をつくれるよ」
「ボクはおもちゃの箱を開けて、最高のリアクションで、遊び方を解説できるよ」

うまくできれば、その程度によって、月に100万から、1000万円、1億円まで稼げます。

そう言われたら、みなさんはどう思われるでしょうか?
「詐欺だ!」と感じるでしょうか?

見出しでネタバレしているように、これらはYouTuberのことですね。

現代を生きる人は、膨大な再生回数を稼ぐ動画投稿者が、
巨額の報酬を得ていることを知っています。

料理 YouTuber(ユーチューバー) 年収ランキング
https://youranks.com/tops/tag_income_ranking/8/

ではなぜ鬼ごっこをしたり、
料理をつくってみせたり、
おもちゃを開けてみることで、
巨額の報酬が得られるのでしょうか?

決して、Google(YouTubeの運営会社)から無尽蔵にお金が湧き出してきて、動画投稿者に配られているわけではありません。

その答えも、みなさんご存知ですね。
【広告モデル】です。

YouTubeは、
 【広告モデル】という方法で
  外部の経済市場から原資を流入させ、
   その一部を報酬として動画投稿者に還元する仕組み

なのです。

ではここでみなさんの頭の中を、
YouTubeがなかった時代にタイムスリップさせてみてください。

例えば20年前、2002年。

【図解・社会】平成を振り返る、2002年10大ニュース|jiji.com


2002年──FIFAワールドカップ日韓大会、
ロナウドが2得点を上げブラジルがドイツを下し、
私は新社会人としてテレビ東京に意気揚々と入社したあの年。

この世には、YouTubeの影も形もありませんでした。

2002年のみなさんが、
以下のような話を聞いたらどう思われるでしょうか?

「僕はおもしろおかしく鬼ごっこを、やってみせられるよ」
「私はおいしくて、見栄えのよい料理をつくれるよ」
「ボクはおもちゃの箱を開けて、最高のリアクションで、遊び方を解説できるよ」
「うまくいけば月に100万から1億円まで稼げますよ」

2002年のみなさんはきっと、
「そんなうまい話があるわけがない!」と感じたのではないでしょうか。

2022年現在の【Play to Earn:ゲームで遊ぶとお金が稼げる】もまったく同じです。

繰り返します。

Play to Earnとは、
 複数の方法で
  外部の経済市場から原資を流入させ、
   その一部を報酬としてユーザーに還元する仕組み、のこと

です。

ちなみに、2005年に設立したYouTubeを、
2006年にGoogleが16億5000万ドル(約2000億円)で買収しました。

買収から3年後、 2009年時点ではTIME誌などのマスコミから、

「買収はGoogle 最大の失敗だ」
「YouTubeのビジネスモデルが成立するわけがない」
「永遠に元が取れないだろう」

などと批判されていたのは、いま振り返ると味わい深いですね。

Googleが初めて広告収益を公表したのは2020年、
2019年の収益は150億ドル(約1兆6000億円)でした。
多くの批判は時代を見通せない的を射ていないものだったわけです。

◯なぜPlay to Earnに外部から
 お金が流入するのか

では、ここからは、Play to Earnがいかにして、
外部から原資を流入させるかについて具体的に見ていきましょう。

 外部の経済市場から原資を流入させる複数の方法

には、まず大きく2種類あります。

 ・価値創造:中身の話、いわば【料理そのもの】
 ・トークン価値の向上:仕組みの話、いわば【料理をのせるお皿】

料理と、それをのせるお皿に例えてみましたが、
2022年10月現在、Play to EarnやX to Earnを成立させる原資として、
「トークン価値の向上」だけを挙げるプロジェクトや有識者が、
多く存在するというのが現実です。

彼らにとって、「Play to Earnの取り組み」とは、
「トークン価値を向上させて価値を生み出す取り組み」と同義である
と解釈しても、大げさではないでしょう。

しかしそれは【間違い】です。

トークンは経済圏に、スケールとレバレッジを与えるすばらしい発明品ですが、あくまで「料理をのせるお皿」

料理そのもの、すなわち「中身」として価値あるもの、
を設計することを忘れてはいけません。

「価値創造」つまり中身として現時点3つあります。

 価値創造:中身の話、いわば【料理そのもの】
  ①体験価値の消費
  ②広告主からの出稿
  ③社会課題の解決費

1つずつ解説していきます。

◯外部からお金が流入する仕組み
 その① 体験価値の消費

「体験価値の消費」と難しく言っていますが、要は「楽しいからお金を払っちゃう」ということです。
実はすべてのエンターテイメントビジネスは「体験価値の消費」を商材にしています。

果物屋さんはリンゴを売りますが、エンターテイメントビジネス屋さんにとってのリンゴは「体験価値」というわけです。

・映画館に映画を見に行ったら1800円程度
・ディズニーランドに行ったら8000円程度

お財布からお金がなくなります。

代わりにお客さんは、物理的には何も得ることはなく、「体験価値」つまり「あーおもしろかった!」という体験を得ます。
物理的にリターンを返すことなく、お客さんのお金を減らす、いわばお客さんの金銭的資産としては損をさせるというのが、エンターテイメントビジネスの本質です。

これは商材としての「体験価値」が、「中身」として価値あるものとして認識されているということです。

でも、ちょっと待ってと。

映画やディズニーランドはわかるけど、Play to Earnは違うんじゃない?
Play to Earnにおける「体験価値の消費」って要は、
「お金が稼げるからゲームしよう!」と思ってプレイしはじめたユーザーが
「楽しくなっちゃたから課金しよう!」と心変わりするってこと?
そんなこと起きないでしょ!?それは 変じゃないですか?

という声もあるかもしれません。

いえ、これ自体は全然 変じゃないんです。

いまゲーム業界の世界市場は、
20兆円の大台を突破し、2024年には22兆円を超えるという予測が出ています。

gamesindustry.biz

ゲームは「エンターテイメントの王様」として
「体験価値」を売りまくっているという現実があるわけですが、
このうち約半分が無料/フリーミアムベースのソーシャルゲームから稼ぎ出されています。

4gamer.net

つまり、プレイした人はよくご存知の下記のような体験です。

「無料で遊べる新作ソーシャル・ゲームをプレイしよう!
「初めてプレイする方に魔法石を1000個プレゼント!」
「ほうほう、なるほど。無料で魔法石がもらえるのね。ちょっと遊んでみるか」

 ↓プレイ後

「楽しくなってきちゃった! ガチャ3000円で回してみるか!」

つまり、現在においても、
「お金払う気なかったけど、楽しくなっちゃったから課金しちゃった」モデルというのは、ゲームビジネスの世界では主流のやり方として成立しているのです。

Play to Earnは このモデルの延長線上にある、ということもできます。

昨今、世界中の大手ゲーム会社がNFTゲームへの参入を発表しています。
スクエア・エニックス、バンダイナムコ、セガ、Ubisoft……
数多くの大手ゲーム会社がNFTゲーム参入決定の先に見ているビジネスモデルは、確実にこの「体験価値の消費」です。

なぜなら、彼らはユーザーに体験価値にお金を払ってもらうことに、豊富な経験と絶対の自信があるからです。
多くの「本当におもしろいと言われる」NFTゲームがサービス開始すると予想される2023年の夏以降、この「体験価値の消費」が実際に起こると予想できます。

私個人は、この「体験価値」自体にWeb3ならではのアップデートが起こり、上記ゲーム会社のみなさんも予想がつかない新しい体験価値市場が登場すると考えていますが、それについては別の機会で論じたいと思います。

◯外部からお金が流入する仕組み
 その② 広告主からの出稿

外部の経済圏から資金が流入する仕組みの2つめは「広告主からの出稿」です。

例として先ほどGoogleのYouTubeを使用しましたが、Google自体が「広告モデル」1本で世界覇権企業になったと言えます。
世界覇権企業であるFacebook(現 Meta社)も同じく「広告モデル」1本です。

いやいや、Play to Earnゲームなんてニッチなものでは、ユーザーが少なすぎて広告モデルなんて成立しないでしょ。

という声が聞こえてきます。

はい、現在はその通りです。

ただし Play to Earnが「怪しい詐欺まがいのモノ」という先入観が取り除かれ、誰もが少額でもゲームから稼ぐ時代がやってきた時。
つまりマスアダプションが果たされた時のPlay to Earnのパワーは恐るべきものがあると考えています。

2018年にPayPayが実施した「100億円あげちゃう」キャンペーンを覚えている方も多いと思います。あるいは、前澤友作さんが実施したツイッターで総額1億円お年玉プレゼント企画。
ユーザーを一気に集める手法としていわゆる「バラマキ」の効果は一定程度評価されています。

大型キャンペーン終了に伴い2~3割の人がスマートフォン決済の利用をやめているという結果だったが、Smart Sound Labの安田寛所長は「サービス利用を促進するキャンペーンとしては、驚くべき水準で成功していると言っていい」と評価した。

PayPayの「100億円」ばらまきは効果あったのか? 驚きの調査結果|itmedia.co.jp

私は世代的にこのネットミームを思い出してしまいます(笑)。

「楽しくプレイできてちょっと稼げる」そんなPlay to Earnは、確実に多くの人々の興味を引き爆発的なユーザーを獲得するでしょう。

ここで注意すべきなのは、現在の主流なPlay to Earnプレイヤーにとっての常識的な利回り、年利1000%、2000% 当たり前!のような世界が続くわけではないということです。

これからマスアダプションで流入してくるのは 月に1000円〜5000円稼げることを楽しめるプレイヤー層。そんなユーザーたちを対象に広告モデルのビジネスが成立する時代が必ずやってくるでしょう。

ゲームに広告いれるなんて、体験価値を損ねるしWeb3っぽくないし止めた方がいいよ!
という声もあるでしょう。

また別の論点として「広告モデル自体のWeb3化」という話もありますので、技術が変える未来を楽観的に見て進んでいきましょう。
(ウォレット情報をゼロ知識で紐付けて、効果的な広告訴求ができるようになったり、NFTのトークングラフを活用したり、SBTの技術を深めたり……etc。個人的にはこの領域もワクワクしています)

◯外部からお金が流入する仕組み
 その③ 社会課題の解決費

3つ目。「社会課題の解決費」。
これが、本丸! 大本命! もっとも大事な部分!です。
いわば、今までの議論の200倍大事です!

これは下記の図のことを意味しています。

いやいや、そんなこと無理でしょ!
ゲームにそんなことできないでしょ!

そんな声が聞こえてきます。

いえ、ゲームにそんなこと全然できるんです。

注意したいのは「ゲームにそんなことできるわけない」という話と、
「ゲームでそんなことすべきでない」という話をごっちゃにしないことです。

後者の論点も確かにあります。要は「ゲームは純粋にユーザーが楽しむためのもので、その他の目的をかなえるための手段ではない」という考え方です。わかります。

でも、今回その議論は、一旦のけておきましょう。

先ほどの図をちょっと見方を変えてこんな風に表現してみます。

解決したい社会課題とは何でしょう?

例えば…

 気候変動
 エネルギー問題
 人口問題
 医療問題
 教育課題
 地方創生

たくさんあります。
「どうにかして解決したい!」という社会課題に対して、
政府を始めとして投資される額は巨大です。

2022年8月アメリカは、
4330億ドル(約58兆円)規模の政府支出を投じる、
気候変動・医療対策法案を可決しました。

また現在、英国では 500 万人が 2 型糖尿病を発症するリスクがあり、国民保険サービスの約 10% が糖尿病による合併症の治療に費やされており、年間 100 億ポンド(1兆7千億円)に相当します。

政府支出だけでなく、市場経済も、
気候変動問題の本格化を皮切りに、
社会課題の解決を前提とした、ESG投資、インパクト投資の流れを加速させています。

その額、2020年で3880兆円!!
ケタを間違えているのかと思ってしまうような超・巨大な金額です。
投資額と消費市場の数字を並べてはいけないのは理解しつつですが、世界のゲーム市場は20兆円のサイズ感なのを考えると 向き合うべきお金であることは間違いないと思います。

世界のESG投資、15%増え3880兆円 2020年 | ツギノジダイ

では、なぜゲームが社会課題を解決できるのか?
分解して考えると、

・ ゲーム自体(ゲーミフィケーション)に行動変容させるパワーがある
・ Play to Earnはそのパワーを倍増させる

という理屈です。

ゲーミフィケーションの効能については、ブロックチェーン・NFTやWeb3と関係なく、すでに多くの議論・研究がなされプロダクトへと落とし込まれています。

 目的・課題の明確化
 現状とネクストステップの可視化
 迅速かつ明確な評価フィードバックとインセンティブ
 競争者の情報も見える化しモチベート
 …etc

ゲーミフィケーションって本当に優秀な行動変容の仕組みですよね。
Play to Earnはそのパワーを倍増させることができます。

なぜなら、通常のゲームではモチベートできない層に対して、
「お金」という共通言語で訴求できる からです。

ゲーミフィケーション成功の鍵は「コンテンツのおもしろさ」と言われます。そしてPlay to Earnで得られる現実の報酬は「コンテンツのおもしろさ」を大幅に底上げします。

これはお金が稼げるということ自体がおもしろいという意味にとどまらず、「食わず嫌い」によって潜在的には楽しめるはずだったコンテンツとの接触機会の損失を防げる という意味もあります。

さらには「ゲームを通じて実際の社会課題を解決しているんだ!」という手応えを感じられるという新しい「体験価値」も生み出します。
私はこれを「世界への参加感というおもしろさ」と呼んでいます。

もちろん、ESG投資へのアクセスははじまったばかりです。
すでに始まっている具体的な例を挙げてみます。

・老朽化インフラ点検

マンホールの写真を撮影・投稿して老朽化を見つけることでポイントがもらえるゲームです。

・カーボンオフセット

ご存知!Move to Earn【STEPN】も二酸化炭素削減をテーマにしています。

・健康/Well-Being

話題の「寝て稼ぐ」Sleep to Earn。その原資は保険会社やウェアラブルデバイス会社、さらには企業の福利厚生を想定しているようです。

私、KOZOが共同代表として運営するPlay to Earnゲーム事業「PlayMining」でも下記のような取り組みを実施しています。

・障害者支援

現場からもこのような声が届いています。

・子育て/貧困

こちらも現場からこのような声が届いています。

これらはいずれも、将来的に公的補助金が、
Play to Earn経済圏に流入することを目標とした取り組みです。

さらに、私の運営するPlay to Earnゲーム事業「PlayMining」では、
以下のような取り組みを開始しています。

・スポーツ振興

 Play to Earnでスポーツ経済圏を活性化するべく、プロスポーツクラブとの連携しています。

こちらの原資はスポーツ経済圏を応援したい!というスポンサーの資金です。

Play to Earnを活用して社会課題を解決し、既存のゲーム市場の200倍の資金にアクセスしようという取り組みは始まったばかり。
今後、社会課題の数だけ 解決策としてのゲームが登場するでしょう。

「ゲームは純粋にユーザーが楽しむためのもので、その他の目的をかなえるための手段ではない」

そのように思われる方は、既存のゲーム市場で既存のゲームを安心してプレイ続けていただいていて大丈夫です。

既存のグローバル20兆円から順調に成長を続ける既存ゲーム市場には、今後も安心してプレイに集中できる、Pay per Play型(遊ぶ人がお金を払うモデル)のゲームが潤沢に登場し続けることでしょう。

ゲームを純粋に楽しみたいと思われる既存のゲームユーザーや既存のゲーム開発者のみなさんは、嫌味やニヒルなスタンスからではなく、純粋にこれから勃興していく「Web3が可能にしたまったく新しいゲーム市場」を横目で暖かく見守っていただきたい。

そこには今までゲームに触れてこなかった新しいゲームユーザー層、今までのゲームにはなかった新しい体験価値、そして既存のPay per Play型では実現不可能だったスケールの新しい経済規模が花開いていくはずです。

◯結論

Q.なぜ、ゲームで遊んでお金が稼げるのか?

A.いろんな方法で、外部からお金が入ってくるから!

長々と論じてきましたが、結論はいたってシンプルでした。

Play to Earnとは、
 複数の方法で
  外部の経済市場から原資を流入させ、
   その一部を報酬としてユーザーに還元する仕組み、のこと

この定義の意味が近い将来、みなさまにとっても「YouTubeのビジネスモデルが理解できる」くらい当たり前に腹落ちすることを願っています。

最後に、読んでいただいたみなさんにバイアスのないようお伝えすると、このnoteを書いているKOZO(Kozo Yamada)は、NFTゲームプラットフォーム・PlayMining を運営するシンガポール企業、DEA社(Digital Entertainment Asset Pte.Ltd)のCo CEO(共同 最高責任者)です。

Web3エンターテイメント、NFTゲームとPlay to Earnの最新情報を追っていますので、よろしければTwitterをフォローください。

大変な長文となりましたが、ここまでお読みいただき大変ありがとうございました。