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2023年3月に読んだ本

1 たかたけし『住みにごり①~③』★★★★★

乗代雄介が解説を書いているのが本屋で目に留まり購入。不穏で最低。面白い。解説も愛があって笑える。読んだ方がいい。今のところ主人公がいっちゃん真面。

2 平田基『雲煙摸糊漫画集 居心地のわるい泡』★★★★★

私が知っているなかで近いのはpanpanyaあたりか。でもpanpanyaよりしっとりしている。世界観がいいなどと薄っぺらいことは言いたくないが、絵のトーンといい、ストーリーといい、とても心地よい。

3 中村祥二『調香師の手帖 香りの世界をさぐる』★★★★☆

資生堂の調香師のエッセイ。専門的な話が門外漢にも分かるように記されている。薔薇は品種改良が進み色・形は多様かつ美しいものが増えたが、香りは改良の際に取りこぼされていることが多く、総じてオールドローズの方が香り高いらしい。香りについての解像度が上がる一冊。

4 宮田珠己『いい感じの石ころを拾いに』★★★★★

『ジェットコースターにもほどがある』が面白かったので購入。石ころ面白い。石ころ拾いにハマるきっかけの一つになった。私は貝殻より石ころのが好きだ。石ころの方が多様性がある。

5 キャサリン・マンスフィールド『不機嫌な女たち』芹澤恵訳★★★★☆

感情の水面からその機微をさっと掬いだす手腕が見事。他の作品も読んでみたい。

6 意志強ナツ子『るなしい3』★★★★☆

『アマゾネス・キス』の方がちょいちょい笑かしに来ていた気がする。『るなしい』の方がトーンとしてはマジ。決して重苦しくはないのだけど、特に笑いがない。狭い世界で少人数がどんどんややこしく複雑な関係になっていくのはフィクションあるあるだけど、宗教っぽさもある。

7 水野一晴『地理学者、発見と出会いを求めて世界を行く!』★★☆☆☆

内容は興味深いが正直文体としては、つまり読み物としては二流。この類いの文章をもっと面白く書ける人はたくさんいる。

8 青柳菜摘『そだつのをやめる』★★★☆☆

前回の中原中也賞受賞作。チョウが一番頻出だった気がするが、他にもセミとかバッタとかドジョウとか、「みんなみんな生きているんだ友達なんだ」ないきものがたくさん出てくる。一読ではあまり分からなかったので、また気軽に読み返してみたい。

9 青柳菜摘『家で待つ君のための暦物語』★★★☆☆

一読では私には感想が書けない。

10 熊谷聖司『写真集の作り方』★★☆☆☆

パラパラとめくった感じいい気がしたから買ったのだけど思ったほどではなかったというのが正直な感想。つぶやき集みたいに思えてしまって、一冊の作品としては完成度が高くないように思えた。

11 金澤一志『雨の日のあたたかい音楽』★★☆☆☆

写真とテキストが混在していて、判型といい組といいビジュアル的で面白い。しかしごめんなさい、テキストの内容がまったく記憶に残っていない。

12 栗下直也『人生で大切なことは泥酔に学んだ』★★★☆☆

酒クズ偉人たちの珍エピソード集といったところか。読み進めていくと一番最初に出てくる太宰なんてかわいいもんだという気がしてくる。

13 セレン・チャリントン=ホリンズ『世界の奇食の歴史 人はなぜそれを食べずにはいられなかったのか』阿部将大訳★★★☆☆

こういう類いの本ってタイトルで面白そう!と思って買うんだけど、タイトルほど面白いことってあまりない気がする。正直この本も例外とまでは言えないが、よくできた本でなかなか面白いし、食物史と奇食をめぐる社会的・文化的背景が学べ勉強にもなる。

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