漢方の事あれこれ 漢方療法推進会公式

漢方療法推進会がお届けする漢方のいろんな事。 「あんなこと、こんなこと・・・」 漢方療…

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漢方療法推進会がお届けする漢方のいろんな事。 「あんなこと、こんなこと・・・」 漢方療法推進会HP→ https://www.kracie.co.jp/ph/k-suisinkai/

最近の記事

漢方仙人による漢方逸話『胸のつかえ、種が詰まっているような違和感…これには半夏厚朴湯じゃ!』の巻

今回は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)について説明するとしよう。 5月頃は変化の季節じゃな。 新しい学校、会社、職場、環境などでストレスを受けることが多くなるのう。 そのような状況下で、風邪をひいたわけでもないのに、喉に不快感・異物感・異常感 ・喉がつまって息苦しいなどが起こることがある。 のどに何だか違和感がある、病院で検査をしても原因がわからない。このような症状があることを「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」と言うのじゃ。 また、ヒステリー球とも呼ば

    • 漢方仙人による漢方逸話『春はストレスの季節!柴胡加竜骨牡蛎湯の出番なのじゃ』の巻

       今回はちょっと長い名前なんじゃが、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方処方について説明しよう。  春は変化の季節じゃ。新しい学校、会社、職場、環境などでストレスを受けることが多くなるのう。その流れが五月病になって現れるのじゃが、その症状のうち、不眠は高い頻度で発生するのう。 その不眠に使われる代表処方が今回の漢方処方の柴胡加竜骨牡蛎湯じゃ。  この処方は、特に寝つきの悪い不眠(入眠困難)に使用されておる。ストレスを受けると様々な不定愁訴(うつ、イラ

      • 漢方仙人による漢方逸話『小青竜湯について』

        今回は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)について説明するとしよう。 この漢方薬はアレルギー性鼻炎に使われるものとしてとても有名じゃ。 日本のアレルギー性鼻炎の有病者率は約40%と言われておる。 春のスギ花粉症、秋にブタクサ、そして通年性のハウスダストなど原因もさまざまあるのう。 小青竜湯の作用としては、水分代謝を良くして、鼻水などを止めてくれるのじゃ。生薬では細辛や半夏などがよく使われるのじゃが、小青龍湯にも配合されておる。 さらには、体を温める作用もあり、冷えからくる水

        • 漢方仙人による漢方逸話『女性なら知っておきたい3大漢方処方 3つ目は加味逍遙散』

          今回は加味逍遙散(かみしょうようさん)について説明するとしよう。 前回までに説明した当帰芍薬散、桂枝茯苓丸と共に婦人科疾患に使われる3大漢方薬で、日本では人気のある処方じゃ。 他の2処方は体質(血虚や瘀血)を改善するものじゃが、このものは精神的な要因が婦人科疾患に影響を及ぼした場合に使う処方じゃ。 すなわち、ストレスからくる婦人科疾患(月経痛、月経不順、更年期障害など)に使ったりしておるのう。 特に、更年期障害に使用されることが多く、不定愁訴に良く対応する処方じゃ。 ちな

        漢方仙人による漢方逸話『胸のつかえ、種が詰まっているような違和感…これには半夏厚朴湯じゃ!』の巻

          漢方仙人による漢方逸話『女性なら知っておきたい3大漢方処方のひとつ桂枝茯苓丸』

          今回は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)という漢方ついて説明するとしよう。 この処方は、前回説明した当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と同様に婦人科疾患に使われる漢方薬で、日本では人気のあるものじゃ。 対象となる人は「瘀血(おけつ)」という漢方用語で表される体質の女性じゃ。 この「瘀血」は数ある漢方用語の中でも一番有名なものの一つで、体の血液が流れにくい、つまりドロドロ血液といった体質の人を指すのじゃ。 桂枝茯苓丸が合うとされる目安としては、比較的体力がありガッチリめの体

          漢方仙人による漢方逸話『女性なら知っておきたい3大漢方処方のひとつ桂枝茯苓丸』

          漢方仙人による漢方逸話『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。当帰芍薬散のおまけ話じゃ~』

          前回は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に使われておる当帰について、ネーミングの由来などについて説明させてもらったのじゃが、 今回は芍薬(しゃくやく)について触れみるとしようかのう。 有名な『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』という言葉を聞いたことがあるかのう。 これは姿が艶やかで魅力的な女性を形容しておる。 七七七五の都々逸(どどいつ)の形式を備えており、実際に唄われておった言葉じゃ。 これは江戸時代の書物に原型がみられるのじゃが、今のところは作者は判明しておらん

          漢方仙人による漢方逸話『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。当帰芍薬散のおまけ話じゃ~』

          漢方仙人による漢方逸話『女性なら知っておきたい漢方ナンバー1!当帰芍薬散のお話じゃ』

          今回は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)についてご紹介しよう。 この漢方薬は体の虚弱な女性の月経痛、月経不順などの婦人科疾患、冷え症などに使う漢方薬じゃ。 基本的な作用は漢方用語の血(けつ)を補う作用なのじゃが、この血とは血液の濡養・栄養物質の事を指し、単純には血液を増やす作用と考えてもらって結構じゃ。 体質的に血液の少ない女性の婦人科疾患などに使う漢方薬として古来から人気があるのじゃ。 体力虚弱で、顔色は青白く、貧血傾向があり、冷え症の女性の婦人科疾患、めまい、頭痛、む

          漢方仙人による漢方逸話『女性なら知っておきたい漢方ナンバー1!当帰芍薬散のお話じゃ』

          漢方仙人による漢方逸話『知っておいてほしいもう一つの有名漢方かぜ薬 銀翹散についてじゃ~』

           風邪に使う葛根湯は、小学生の子供さんでも知っておる処方じゃろう。 同じく漢方系の薬で風邪に使う銀翹散(ぎんぎょうさん)は、大人でも知っている者は少ないじゃろう。 じゃが、この処方もぜひ知っておいてほしい処方であり、今回はその銀翹散を説明するとしよう。  葛根湯はかぜのひきはじめで寒気(さむけ)悪寒(おかん)が強い時に使用する処方じゃ。 一方、銀翹散はかぜのひきはじめで咽痛(のどの痛み)が強い時に使う処方じゃ。 どちらも中国で作られて日本に伝わったものなのじゃが、実は本場中

          漢方仙人による漢方逸話『知っておいてほしいもう一つの有名漢方かぜ薬 銀翹散についてじゃ~』

          漢方仙人による漢方逸話 『ご存じ防風通聖散が作られた本来の目的についてじゃ』

          食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、行楽の秋…など秋とつく言葉はたくさんあるのう。 果物やお米が実る秋は、気温、気候的にも過ごしやすい季節で、食欲も旺盛になり、つい食べ過ぎてしまうことも多くなりがちな季節じゃ。 現代の標準体重の求め方じゃが、身長をメートル表示して求めておる。    「標準体重(Kg)=身長×身長×2.2」 さあ、標準体重と比べてどうだったかのう。  体重過多すなわち肥満の状態を改善する漢方薬として、近年有名になってきた防風通聖散(ぼうふうつうしょうさ

          漢方仙人による漢方逸話 『ご存じ防風通聖散が作られた本来の目的についてじゃ』

          暑い夏…。体の熱を取り去りたいときにおすすめの漢方のお話

           今年は熱いのう・・・。 猛暑日が続いたり、蒸し暑い日には熱中症が増えるものじゃ。本当に気を付けたいのう。  地球温暖化の影響じゃろうな。35℃を超える猛暑日が当たり前になってきておる。 気を付けたいのは、年配の方の熱中症は部屋でも発生しておるということじゃ。 人間の体の60%は水分であるというのは20歳前後の人の話であってのう、お年寄りは体の水分量が減少し50%近い人もいるといわれておる。 よって、クーラーが苦手で点けないといったお年寄りの方は、部屋でも熱中症になりがちじ

          暑い夏…。体の熱を取り去りたいときにおすすめの漢方のお話

          漢方仙人による漢方逸話『ハトムギの種も生薬なのじゃ!』

          今月は特別に2本目のNOTE記事もお送りするぞい。 今回も季節ごとによく発生する疾患と、それに使う漢方を紹介しよう。 梅雨の時期は雨が多く湿気が高い季節じゃ。 この記事を執筆している今この時も外は蒸し蒸し汗べったりじゃわい。 このような時期には神経痛を含め、四肢の痛みが多く発生するのう。 「雨の降る前には膝の痛みが悪化する」、「私の腰の痛みは天気予報より正確だ」などと年配世代の人達が話すことを聞いた経験があると思う。 漢方では四肢の痛みのことを"痺証(ひしょう)"と呼ん

          漢方仙人による漢方逸話『ハトムギの種も生薬なのじゃ!』

          漢方仙人による漢方逸話『梅雨時におすすめしたい漢方のお話じゃ』

          今回から季節ごとによく発生する疾患とそれに使う漢方薬をご紹介しよう。 じめじめしたお天気になってきたのう。 読者のみんなが住む地域はもう梅雨入りはしたかのう。 梅雨入りは毎年6月10日前後で、湿気が高く雨が多い季節じゃ。 梅雨寒(つゆざむ)と呼ばれることもあって、暖房が欲しくなる気温の時もあるのう。 漢方的には、湿気の多い季節は胃腸に負担がかかると考えておる。 このような湿気と寒気が胃腸に影響を及ぼすと、冷え腹、下痢、食欲不振、吐き気、体が重だるいなどの胃腸が冷えたよう

          漢方仙人による漢方逸話『梅雨時におすすめしたい漢方のお話じゃ』

          漢方仙人による漢方逸話『菊のお花も優れた生薬として用いられておるのじゃ~!』

          菊の花は皇室の紋章や仏花に使われ身近なものじゃのう。 菊は8世紀前後に中国から伝わったとされておる。 当初は宮中をはじめとする一部の階級層の間で、観賞用の花とともに薬用として用いられておったようじゃ。 そして今日では多くの品種が存在しておる。 よく刺身のツマに添えられているのを目にするが、これは生の菊の花に解毒殺菌作用があるためである。 食用としては、江戸時代から民間で食されるようになったようじゃな。 生薬としては、かぜを治す作用があるとされておる。炎症を鎮め、熱を下げ

          漢方仙人による漢方逸話『菊のお花も優れた生薬として用いられておるのじゃ~!』

          漢方仙人による漢方逸話『あの美味しいとろろも生薬なの!! 山薬(さんやく)について』

           今回は山薬(サンヤク)という生薬について説明したいと思う。 山薬は食物としては“ヤマイモ”“ナガイモ”と呼ばれている有名な食材じゃ。 イモ類はジャガイモ、サツマイモなど普通は生で食べることは少ないのだが、ヤマイモ、ナガイモはその中でもとろろ汁、山かけ、和え物などとして生食用として好まれているのう。 これは、成分にジアスターゼという消化酵素を含み、消化にもよい食材として昔から親しまれてきたためであろう。 また、ヤマイモ、ナガイモは「山のうなぎ」と古くから言われ、精力が

          漢方仙人による漢方逸話『あの美味しいとろろも生薬なの!! 山薬(さんやく)について』

          漢方逸話『すっぱくておいしいシソも生薬なの!?紫蘇(シソ)について』

          今回は紫蘇(シソ)について説明しよう。 食物としては青シソは大葉、生薬としては赤紫蘇を紫蘇葉(ソヨウ)と呼ぶ。 中国から伝わったと言われ、縄文時代の遺跡から紫蘇の実が出土している。 紫蘇の名前の由来は食中毒で死にかけた人が、赤紫蘇を食べて回復したことから、"紫の蘇る草"ということからきていると言われているよようだ。 平安時代までは、食用だとか薬用というよりは、シソ油として灯火用として使われていた。 それ以前まで使われていたエゴマからとったエ油より明るさ輝きが優れていたと

          漢方逸話『すっぱくておいしいシソも生薬なの!?紫蘇(シソ)について』

          漢方逸話『ショウガは漢方ではメインキャスト!生薬の生姜について』

          今回は生姜について説明しよう。 食物としてはショウガ、生薬としてはショウキョウと呼ぶ。 基原植物の状態において、日本と中国で若干の違いがあるが、今回は一般論で解説したいと思う。 食用としては、「新ショウガ」としてみそなどを付けて生のまま食べたり、様々な漬物、薬味や調味料・香辛料として使われている。 豚肉の生姜焼きや刺身の薬味も含めて誰でも知っている一般的な食材であろう。 あの生姜の辛み成分はジンゲロールという成分が含まれているためである。 原産国はインド辺りと言われてお

          漢方逸話『ショウガは漢方ではメインキャスト!生薬の生姜について』