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漢方逸話④ 華岡青洲について その2

1804年に世界で初めて全身麻酔薬を用いて乳がんの手術を成功させたのが、華岡青洲(はなおかせいしゅう)である。
今回はその青洲が創作した漢方薬について触れよう。

華岡青洲は約200年前に中国で作られた漢方薬に改変を加え、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を生み出した。
現代ではニキビなどにもよく使われいる処方だ。

この処方は元々15個の生薬で構成されていた漢方薬を10個の生薬に整理しなおした処方である。
じつは漢方薬は生薬の数が少ないほど、シャープに作用すると言われているのである。

さらには、散剤(生薬をすりつぶした漢方薬)から湯剤(生薬を煎じる漢方薬)に変更をしているのもポイントだ。
当時は散剤より湯剤の方が吸収性に優れ、効果も早かったのだ。

十味敗毒湯は、特にジクジク型の皮膚疾患に有効と言われている。但し、この漢方薬は瞑眩(めんげん)が起こりやすいと言われている。
瞑眩とは治療により一時的に病状が悪化後、速やかに病気が治ることを言いう。
ただ、現代の考え方では一時的に悪化した時点で服用を止めていただくしかなく、せっかくの処方をうまく活かしきれていないケースも多くあるという。

華岡青洲は、このほかにもやけどに使う紫雲膏(しうんこう)も創作している。
肉芽形成を促進して、やけどによるケロイドや傷跡を残しにくくする作用が有名である。
ただし、赤紫色と独特の臭いがあるのが難点である。

今回はここまで。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思う。

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