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移民国家としてのアメリカ

高校の頃、漠然とアメリカはアングロサクソン系の国だと考えていた。
だけど、アメリカに2年間暮らした今、別の考えを持っている。

アメリカには当然、アフリカン・アメリカンもいるし、
宗教の観点ではカトリック系もいる。
ルーツで言えば、ロシア系、フランス系、アイルランド系と多様であり、
また、カリフォルニアではアジア系の移民一世も多い。
両親は他の国の国籍保持者であっても、
アメリカで生まれた子供はアメリカ国籍を取得できる。

そして、社会の構成をみると、
アジア系、アフリカ系、ラテン系、欧州系といった形で、
人種的ルーツに基づいたグループがあり、
また、例えば、アフリカ系からのアジア系への差別や攻撃といった、
人種間の差別や争いも少なくない。
NYでは、アジア系の人々が地下鉄のホームで突き落とされるという事件や、
道を歩いていて殴られるという事件も度々起きている。

自分自身も、アジアンヘイト的な経験をいくつかする中で、
ネイティブアメリカン以外の全ての人々が、
基本的には移民としてのルーツを持ち、
また、人種グループごとに、元々分断されているアメリカにおいて、
重要な意義を持つものが、
法律だと思うようになった。

人種間の差別や、敵愾心に基づく事件はどうしても起きてしまう。
そのような時に、各人の権利を保護しながら、
社会の統合を高めるよう、
特に、アメリカにおいて機能しているものが法律だと思う。

日本にいたときはこのようなことを考えることはなかったが、
アメリカでこのことを強く実感するようになった。

特にアメリカにおいては、法律や訴訟は、
人種間の争いを暴力以外の方法で調停し、
社会の秩序を維持するためのツールとして機能しているし、
その法律を、力として使いこなすことのできる弁護士は、
重要な役割を持っている。

政治家や大統領にも弁護士出身が多いことには、
このような背景もあるように思う。

政治や経済の観点で見ると、
白人系のグループが現在のアメリカでは主要な位置を占めている。
しかしながら、元々、アメリカは移民の国なので、
人種構成が変われば、このような状況も変わっていくのではないか。

アジア系アメリカ人は、人数も増えているし、
他の人種グループと比較して、教育水準や所得水準が高いとのことだ。
引き続きこの傾向が続けば、アジア系アメリカ大統領も、
そう遠くない未来に誕生しうるし、
アメリカに暮らすアジア系移民が増えていくことで、
アメリカも少しづつ、着実に、変わっていくのかもしれない。


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