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LINEスコアと個人スコアリングの可能性は

昨年夏ごろにサービスリリースされていた「LINEスコア」「LINEポケットマネー」だが、また中国の後追いをしているな、という印象で日本でも利用が広がるのかどうか疑問を抱いていました。

しかし、このコロナ禍の影響もあり新規申込件数は、ぐんぐんと伸びているようです。

記事要約(一部)
・4月の単月新規申し込み件数が、アコムやアイフルなどの既存大手消費者金融業者を、後発のLINEポケットマネーが上回った
・4月の新規申込件数3.9万件
・LINEポケットマネーはLINE、みずほ銀行、オリコが設立
・8,400万人が使うLINEの知名度に加え、スマホに特化した非対面の簡単な手続きで貸付を受けられることが奏功している
・LINEは膨大なデータを使った与信審査が特徴
・対話アプリの利用頻度や決済履歴などで個人の信用力を点数化
※あくまで新規の申し込み件数なので、実際の貸付金額は気になるところ。わざわざ件数としているということは、やはりまだまだ貸付金額は既存の消費者金融業者の方が圧倒的に多く、LINEポケットマネーは小口貸付がほとんどなのだろう。

この記事の中で着目すべきは、もちろん消費者金融の世界にもフィンテックの波が押し寄せており、個人のスマートフォンを使ってスマートに貸し付けを受けられる点ではあるが、それ以上に気になっっているのが個人の信用スコアリングだ。

個人スコアリングというと、中国の「芝麻信用」が日本でも有名だが、まさにこのサービスの日本版、LINE版ということになる。

LINEポケットマネーは純粋にオンライン型のキャッシングサービスはあるが、貸付を受ける前にLINEスコアを必ず通過しなければならない。ベースのスコアリングとして、年齢や家族構成、年収といった基本的な質問が15ある。

スコアリングに応じて、貸付を受けられる金額が上下してくるというわけだ。本人確認やLINEのサービスを使っていると、スコアリングにさらに加点されるという仕組み。つまり、本人そのものの信用度とは別にLINEのサービスをたくさん使っていればスコアも上昇するみたいです。加点の配分は分かりませんが、1,000点満点のようです。また、貸付限度額は300万円。

個人の信用スコアリングがその他のサービスに転用できるのか

これまでも、個人はいろんなところで評価という名のスコアリングはされてきたと思います。

通知表、テスト、入試、ボーナス査定など、極々身近なところでスコアリングされています。しかし、これらのスコアリングはアナログなデータとして、あるいは利用目的は限定的で、転用をされることは基本的には無かったかと思います。(もちろん、通知表の内容は入試の際に受験先に提出することはありましたが、あくまでオフラインにアナログでの授受が基本であった)

また、根本的に異なるのがスコアリングする目的です。LINEスコアは(現段階においては)LINEポケットマネーでいくらお金を貸しても良いのかどうか?です。つまり経済力・返済能力の信用スコアリングです。そのため、今すぐにLINEスコアが他のLINEサービスに転用できるものではないと思います。

LINEスコアは、LINEポケットマネーの貸付金額にしか活かされていないようですが、LINE社はもちろんその他のLINEサービスをはじめとするオンラインでの利用や、リアルでの活用も検討している事だろう。芝麻信用は既にスコアリング情報をリアルの世界に転用、あるいはリアルの世界での振る舞いをスコアリング情報に取り込まれている。

(※しかし、各種ソースを見ている限り、日本のメディアが騒ぐほど芝麻信用のスコアリングを気にしている人はほとんどいないとか。結局、芝麻信用でお金を借りたい人だけが気にしているだけ説。恐らく日本もそうなるでしょうけど、その説はいったん無視します)

◇ ◇ ◇

ここで一度、個人の経済力・返済能力スコアリングを必要とするケースが、人生のどのようなタイミングで発生するかを考えてみたい。基本的には何かを買う時になると思いますが、

賃貸住宅への入居
自動車ローン
住宅ローン

しかしこれらに関しては、既にCIC日本信用情報機構(JICC)といった、個人の信用調査を行っている機関がすでに存在しており、必ず契約前にチェックが入ります。(金融事故を起こしていないかどうか)

また基本的にはその人の勤め先と勤続年数と年収でしか、現時点においては判断されていないですが、ここに個人(パーソナル)スコアリングが必要になるかどうか?が論点になるかと思います。契約金額が大きい分、些細な情報の影響度合いはたかが知れているでしょう。なので、少額であったりスピードの求められる新しいサービスが出てくれば可能性はあるかもしれないですね。

となると

収集 → リアルでの振舞いデータ収集・データ化・スコアリング
転用 → お金の伴わないサービス

になってくるのではないだろうか。

◇ ◇ ◇

芝麻信用では、リアルでの振舞いデータとして「キチンとシェアサイクルを返却しているかどうか」といったことをスコアリングに活かしているらしい。それだけでは弱すぎるので、もっと人間個人の信用度を測れるようにしなければならないと思う。

課題は、常にスマートフォンを介したサービスでないと、データを収集できないという点にある。中国のように監視カメラが町中に張り巡らされていれば、街中での行動がデータ化できそうだけど、それこそ本物の監視社会になってしまうので、日本では100%不可能な話となる。

◇ ◇ ◇

一方で、転用先となるお金を伴わないサービスは思っているよりも、必要とする場面はありそうな気がしている。

採用全般に言えることだが、例えばアルバイトの採用なんかでは、たかだか1回の面接と履歴書でその人がきちんと真面目に働いてくれるかどうかなんてわかりっこない。データに基づいたスコアリングがあれば、履歴書なんて必要なくなるだろうし、採用判断も簡単で面接すら不要になるかもしれない。

また、最近はやり(?)のマッチングアプリや婚活アプリ。オンラインでのやり取りだけではなく、データに基づいてやりとり相手の信用度を測ることができれば、より安心で安全に運命の相手に出会うことができるようになるかもしれない。

▼マッチングアプリや婚活についてのnoteはコチラ▼
Withコロナの婚活戦略とは?結婚とはコンバージョン

なんとなく個人スコアリングの可能性は見えてきたが、日本では今後利用が広がる可能性はあるだろうか。

まとめ

経済力スコアリングは既に、情報機関があるため小口での決済や、今後スピード賃貸のような新しくてスピードを売りにするサービスが出てきたら需要はあるかもしれない
スマートフォンを介さない、リアルな世界での振舞いのデータ収集・データ化・スコアリングは日本のような国では難しいが、サービスの中での需要はあると思う。

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