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世界電子政府ランキングを正しく理解して考えなければならないこと3

昨日に引き続いて、国連UNDESAが発表した世界電子政府ランキングについて書いていきたい思います。本日で第3回目となります。

▼第1回目、第2回目のnoteはこちら▼

改めてE-Government Surveyとは

国連の経済社会局(UNDESA)が、2年ごとに行っている国連加盟国の政府電子化を、いくつかの指標を用いて調査している報告書になります。

EGDI(E-Government Development Index)と呼ばれる指標値を用いて、各国の電子政府開発の進捗状況をまとめられております。また、EGDIはOSI/HCI/TIIという三つのの指標値の平均値に基づく複合指標になっています。詳細は昨日のnoteご覧ください。

昨日も書いた通り、この指標値やEGDIのランクが高い低いが重要なのではなく、2030年までに達成すべきSDGsで掲げている世界共通の目標とゴールに向けての活動が重要です。EGDIを元に自国のポジショニングを俯瞰してみることで、今後のアクションや改善点などを考えていくためのツールがこの調査となります。

日本は14位で先進国として遅れているのか

確かに日本は2018年の前回10位から14位へ後退している事実はありますが、「転落」という言葉を使われるとかなりバイアスかかってくると思っています。「日本は遅れている」「政府は何をやってるんだ」という、マスコミの声が聞こえてきます。

しかし、先日のnoteでも書いた通り、日本は前回2018年の調査よりもEGDIのポイントを改善することが出来ています。それでも順位を落としているということは、他国は日本以上に様々な施策を進めているだろうと、容易に想像することができます。

電子政府

それでは日本は先進国として、14位というポジションは世界に後れを取っているのか?ということですが、私は決してそんなことは無いと思っています。そもそも、この世界電子政府ランキングの指標や全世界の国を比較するのにも無理があるのではないかと、報告書を読み進めるにあたって感じています。

例えば、OSI(行政サービスのオンラインサービス化指標)についてですが、世界の149もの国が出生届はオンライン化されていると昨日noteで書きました。これはこれでオンライン化を進めてもらいたいと思う一方で、以下理由により一概に比べることでも無いなと感じました。

国の規模
国の歴史(社会の成熟度)
法律

国の規模

まず国の規模ということですが、自治体システム統一というnoteでも言及した通り、自治体規模も違うのに統一した仕組みを使えない。つまり腐っても1.3億人の人口のある日本において、そんなに物事を簡単に進められないし、オンライン化を進めるのも難しいと思っています。

ランキング上位の国別人口と、日本の主要都市人口を一覧表にして見比べてみましょう。

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このように見ると、日本はアメリカに次ぐ人口第2位の国であることが分かります。もちろん地方自治のやり方も国ごとに異なるので一概に言えませんが、これだけの人口規模を抱えるにしては健闘している方だと感じられます。一方アメリカはこれだけの人口を抱えているにもかかわらず、上位ポジションにいるので、さすがと言ったところでしょうか。

また、日本の主要都市の人口と見比べていただきたいのですが、1位のデンマークの人口は大阪府よりも少ない小さな国家であることがわかります。さらにIT立国エストニアも132万人と、福岡市よりも規模の小さな国家です。さらにさらに、アイスランドに至っては沖縄県那覇市と肩を並べる程度です。

国の歴史(社会の成熟度)

コチラに関しては、ほぼエストニアを狙い撃ちになってしまいますが、国の歴史(近現代)が比較する上で難しいポイントとなると思っています。

私も歴史については詳しくないのですが、Wikipediaによると第一次世界大戦末期の1918年にロシア帝国より独立。第二次世界大戦中にソ連により占領され、1991年にソ連崩壊の過程の中で独立した国家のようです。

つまり現代史的には、建国(独立)30年という非常に若い国家となります。そのため、社会制度や法律などの面において一気に整備を進めることが可能であったのです。本来の意味とは異なりますが、リープフロッグ的に近代国家として理想のITを行政に活用する、電子政府を築き上げることに成功しました。

一方日本は1991年と言えば、バブル崩壊が始まり社会の混迷期に差し掛かっているタイミングです。同じ30年でも、これから国を整備していくエストニアと、戦後の高度経済成長の終わりを迎えていた日本。なかなか一律に並べて比べるのは難しいですね。

法律

基本的にあらゆる電子化を阻む要因の一つとして、日本の法律に壁があると聞きますが、私も法律に関しては何の知識も持ち合わせていないので、なかなか書きずらいところです。

正直、何故電子化をできていないのか、法律の条文を見ても理解ができません。今後調べて理解を深める必要がありそうです。

例えば出生届の件を、引き合いに説明をしてきましたが、出生届は戸籍法という法律に則って役所で手続きが行われるようです。

戸籍法第49条
1.出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。
2.届書には、次の事項を記載しなければならない。
 一.子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
 二.出生の年月日時分及び場所
 三.父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍
 四.その他法務省令で定める事項
3.医師、助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には、医師、助産師、その他の者の順序に従つてそのうちの一人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによつて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

これだけ読むと、電子申請フローを申請者→医師→役所と回送すれば良さそうな気もしますが、他に何か事情でもあるのでしょうか。この法律に関しては、知り合いの弁護士に今度確認してみたいと思います。適宜更新致します。

中締め2

次回は各国の様々な取り組みも報告書の中で紹介されていましたので、そちらを紹介する回にしたいと思います。




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