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韓国ECは黒船Amazonをどう迎え撃つのか

 韓国という国はスゴい。GAFAMが世界ITの支配を強めている中、日本やその他の国とは違い、自国の領土を堅守している。さらに言うと、韓国が世界ITを支配できていた可能性だってあったかもしれない。

 Samsungが世界のスマホシェアNo1であるぐらいは、私自身も知っていたし、あちこちでその報道を目にする機会があったと思う。しかし、昨日の紙面において巨人Amazonが韓国初進出という記事を目にしました。日本ではこれだけAmazon支配が進んでいる中、韓国はその地すらこれまで踏ませていなかったという事実を初めて知りました。(と言っても、まだ提携を結んだ程度)

 今日はそんな話で、韓国ECは黒船Amazonをどう迎え撃つのか?というよりかは、Amazonは韓国を攻略できるのか?韓国は日本以上に特殊な市場シェアになっているので、そのあたりを考察したい。

スマートフォン

 韓国と言えばSamsung。と大げさかもしれませんが、韓国の経済を支えているのはSamsungであると言っても過言では無い。韓国には10台財閥と呼ばれる財閥グループが存在しており、そのトップに君臨しているのがSamsungだ。

 日本ではiPhoneがぶっちぎりのシェアを獲得しているが、世界のスマホシェアはHUAWEIとそのシェア争いは肉薄しつつも、2020年3Q(7~9月)はSamsungが第一位となっている。

 当然、韓国国内におけるスマートフォンのシェアもSamsungがトップシェアにある。その市場シェアは圧倒的で、2020年3Q(7~9月)は7割を超えたと報じられている。

 日本もガラケー時代には、同じように国産メーカーがそのシェアを独占していた。パナソニック、ソニー、京セラ、NEC、富士通、三菱電機、シャープなど、現代っ子からすると信じられないでしょう。前述した通り、日本はiPhoneが過半のシェアを取っている世界でも珍しい国の一つではあるものの、もはや日本メーカーのスマホには誰も見向きもしない、そんな状況になっていると言えます。(ソニーはコアファンはいるものの、最近では使っている人を本当にめっきり見かけなくなった。そもそも、iOS vs Androidという競争構図で捉えるとソニーでもSamsungでも関係無い気はしていますが・・・)

SNS(メッセンジャーアプリ)

 日本ではLINEが生活には欠かせないサービスになりつつありますが、韓国でも同じようにカカオトークというメッセンジャーアプリが欠かせないようだ。(そもそも、LINEはNAVERという韓国資本の日本支社発なのですが、Yahoo!との統合など色々とややこしいので、それは置いといて。)

 Kepios社というシンガポールの調査会社によると、メッセンジャーアプリのシェアはカカオトークが占めていることが分かります。

※出典:https://datareportal.com/reports/digital-2019-south-korea

 それでは世界ではどうなっているのでしょうか。

第一位:WhatsApp(アメリカ)
第二位:Facebook Messenger(アメリカ)
第三位:WeChat(中国)
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第八位:LINE(日本)
圏外 :カカオトーク(韓国)

 韓国においてはぶっちぎりのシェアですが、日本では知らない人も多いのでは無いでしょうか?2010年ごろに日本でも一瞬流行っていた記憶がありますが、LINEの登場により使っている人はほとんど見かけなくなりました。

 このように、韓国は自国に閉じたと特殊なアプリを使っていることとが分かります。(当然、他も併用しているわけですが)メッセンジャーアプリについても、黒船による侵略は阻止出来ているようです。

 ちなみにですがLINEも世界から見れば、日本と一部アジアでしか使われていないローカルメッセンジャーとなります。お互いにローカルメッセンジャーのシェアが高い、と言う意味では日本と韓国は似ていますね。

検索サービス

 「ググる」という言葉が小学生でも使うほど、Googleの検索サービスは日本人のほとんどが知っているし、使っているサービスであることがわかります。私が学生の頃はまだまだYahoo!だったのですが、気が付いたググっていました。
 以下は日本での検索サービスのシェアになります。思ったよりもYahoo!は健闘しています。Yahoo!のニュースアプリを入れている人が多いからでしょうか?それでも、Googleが独占していると言えるのではないかと思います。

※出典:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/mobile/japan#monthly-201905-202005-bar

 一方、韓国はどのような状況なのでしょうか。ここまでの流れからすると、国産サービサーが奮闘している気がしますが・・・

※出典:http://internettrend.co.kr/trendForward.tsp

 やはり国産サービサーが強い。NAVERという検索サービスがGoogleを圧倒し、そのシェアを守っているようです。調査時期や利用デバイスなどで若干の差はあるでしょうが、どこのサイトを見てもこれでもかと言うまでにNAVER、NAVERと書いてあります。日本人の我々にとっては検索サービスとしての馴染みは非常に薄いですが、NAVERまとめサイトというのが以前まで良く見かけていたかと思います。あのNAVERです。

それでは、韓国ECは同じように黒船Amazonの侵攻を防ぐことができるのか

 ECにおいても、韓国は国産ECが盤石な体制を敷いています。

 CoupangというECサービスがあり、韓国内において人気を集めているようです。Coupangは創業からわずか10年で、韓国のEC事業者のトップクラスに上り詰め、日本のソフトバンクビジョンファンドからもこれまで34億ドルの資金を調達しています。

 Coupang以外にも多くのEC企業がひしめき合っています。過去にもアマゾンは進出の検討がなされていたようですが、多くの憶測が飛び交っています。以下のような理由で、これまでも進出してこなかったと言われています。

・高い関税による規制
・ECの既存ライバル企業が多い
・AmazonKoreaが無くとも、AmazonJapanやAmazonUSから買い物ができる(海外輸入にはなるけど)

 規制による影響が大きいのではあるとは思いますが、やはり既存ライバルの企業が多いというのもあるのではないでしょうか。日本は韓国よりもインターネットの普及が遅れていたため、国内におけるEC事業者がなかなか育ってこなかった。そのため、黒船Amazonに隙を与えてしまい、やすやすと侵略されてしまったのではないだろうか。

 そのため黒船Amazonは、今回提携という形で韓国侵略を試みて、ころあいを見計らい資本参加もしていくつもりなのだろうと推測されています。

結局どうなるのか

 ECにおいてシェアを獲得する要素は何だろう。品揃え、価格の安さ、配送のスピード。この3点であると考えていますが、既に韓国EC市場は成熟していると考えて間違いないので、付け入るスキはあまりない。

 日本ではAmazonPrimeのスピード配送が売りの一つとなっているが、その配送網を一朝一夕で築くことは難しい。韓国Coupang社は韓国人の70%が、Coupangロジセンターから10分以内に住んでいるため、ラストワンマイルの配送が容易にでき、驚異的なスピードでの配送が可能だと述べているようです。世界の中でも日本郵便、ヤマト、佐川と言った有数の運輸企業が日本にはありますが、それでもAmazonJapanの今日におけるスピード配送は、容易な道のりではなかったと思います。(※現在、私の居住エリアでは新聞配達員さんを使っての独自配送網による配送です。他のエリアはどうなっているのでしょうか?)

 そんな最強とも言える配送網を築いている韓国国産ECが盤石なのか?と言うとそんなことはない。結局は規模の経済が働いてくる部分が大きいので、近い将来はAmazonにそのシェアをそれなりに食われてしまうことは間違いないと思っている。

 韓国企業はより革新的な製品やサービスを開発することで、黒船の襲来を阻止することができるのだろうか。いずれにしても、GAFAM対抗手段として、見習うべき手立てを韓国企業が道しるべとして示してくれることはないだろうか。

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