業務マニュアルの意義を知り、使いものになるようにアップデートしていく
私は業務マニュアルというものを割と活用する。
その理由は2つある。
―― 1つ目は「業務を確実に遂行するため」である。
人間はルーティンで行っていることを無意識で行うことができる。
それは脳の構造として、最初は1つ1つ「これをして、次は・・・」と処理していたことも、繰り返し同じことを繰り返すことで思考をせずともショートカットで処理をできるようになるからだ。
そうすることで、他に思考を必要とする処理や新しい処理に対して脳をフル活用できるようになる。
しかし、これは日常生活においては問題なくても、仕事においてはデメリットになることがある。
それは人間は繰り返し同じことをしているうちに、決められた手順よりも「自分にとってのやりやすさ」や「自分の価値観」を優先するようになる。
その職場で「A⇒B⇒C」という順番の作業なのに、自分にとっては「A⇒Cでも大丈夫」として工程Bをすっ飛ばしたり、新たなDやEなど独自工程でしてしまう人もいる。
それでもうまくいくかもしれないが、それだと職場で求めている水準にブレが生じてしまう。
プロフェッショナルとは、一定水準の成果を継続的に提供できる人である。
人それぞれ違って良いという職場・業種もあるだろうが、大半はそうはいかない。だからこそ、仕事を確実に遂行するツールが必要なのだ。
それを職場で共通化するためにマニュアルというものがあるのだ。
――― 2つ目は「業務を忘れているから」だ。
別に忙しいというわけでないが、例えば介護現場の業務と管理者の仕事、そして経営の仕事と色々やっていると、「あれ、これってどうやるんだっけ?」ということが多々ある。
そのようなときのために、ノートの記録やテキストデータなどを日々残しておくようにしている。
そして、ある程度の量が蓄積されるとマニュアルになる。
それを要所要所で開くことで「ああ、そうだった」と気づいたり、自分で作ったテキストなのに「?」となったりする。
このような体たらくなので、私は人間の記憶というものを信じていない。
特に自分の記憶は常に疑ってかかっている。
それは、人間の記憶なんて曖昧であることを知っているからだ。
忘れないようにメモしたことも、後で「このメモ何だっけ?」となる。
脳内ではちゃんとデータとして残っているが、単純にそこまで行きつくのに脳内回路で迷子になって辿り着かないだけだ。
そのため、その場では分かったと思っても忘れることもあるし、アイディアを閃いたと思っても、数分後には閃いたことすら忘れることもある。
ときには人間は記憶を都合よく改ざんすることだってある。
そこに他者も介入して作ったマニュアルという共有ツールがあると、ひとまず自分の曖昧な記憶よりは信頼できると思える。
もちろん、他人が介入したところで正しいというわけではないが、独りきりで「どうだったっけ?」と悩んで時間をかけるよりはマシだと思う。
――― ときに仕事で分からないことがあると独りでずっと調べている人がいるが、ハッキリ言えば時間の無駄だと思う。
分からないことがあれば知っている人に聞くか、マニュアルを開いたり、サポートセンターなどに問い合わせすればいいのに、それをやらない人は少なくない。
時間をかけて調べることも成長になるが、成長と実績は違う。
時間をかけるのはプライベートなことに留め、仕事において質的な努力をする人のほうが評価できる。
そこで身近に聞く人がいれば良いが、仕事においてはマンツーマンでその都度教えてくれるサポートセンターなんてない会社がほとんどだ。
だからこそマニュアルがあるのだ。
――― 本記事のような話をすると、「マニュアルなんて使いものにならない」という人がいる。
それならば、自分にとって使いものになるマニュアルに変えればいい。
分かりにくい要因を分析し、職場全体で使えるマニュアルを作ればいい。
そもそもマニュアルは改訂(アップデート)するべきものだ。
それを同僚が見たときに「これは使える!!」となれば、それは仕事にとって大きな価値につながるだろう。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?