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苦情や虐待(疑い)が起きたときにやってはいけないこと

苦情は問題解決のため重要


仕事において苦情はどこかのタイミングで起こる。

いや、むしろ苦情を受けたほうが良いこともある。

苦情は問題の氷山の一角であり、その下には大きな問題が潜んでいる。

そのため、苦情が出ることによって大きな問題に気づくきっかけになる。

逆に言えば、大きな問題が潜んでいるのに苦情が出ないと、取り返しのつかない事態に発展するということでもある。

よって「苦情はありがたいこと」という見方もできる。

また、真摯に苦情対応することで、その相手から信頼を得ることもある。

私も営業マンをしていたころは、よく苦情を受けたり顧客からダメ出しを受けていた。

しかし、1つ1つ課題を潰していくと「キミもようやく使いものになってきたね」と言われるようになった。

誰もが苦情を言ってくれるわけではない。

ほとんどの人は苦情も言わずに離れてしまう。
営業ならば担当を変えさせられたり、取引中止ということもある。

商品が売れなくなったり、サービスを利用する人が減少したりしたとき、その原因を探るための問題解決の要素として、やはり苦情は重要なのだ。


苦情と虐待の類似性


介護においては、苦情と類似した分野に「虐待」がある。

苦情は主に自社のダメージだけだが、虐待は利用者たる高齢者に何かしらのダメージを与えるものである。あってはならない。

苦情も虐待も、何かしらの問題が根底にあって、それが何かしらのタイミングで発覚することに類似している。

また、外部からの働きかけがあって自体に気づくことも共通している。

苦情は「この製品はここがダメですよ」という顧客の不満から端を発する。

決して商品やサービスを提供している企業が「自社製品のここが悪い!」なんて言わない。

虐待は「もしかして虐待の可能性がありますよ」という周囲からの申し出がきっかけで発覚する。

介護者や高齢者が「実は虐待をしています」「自分は虐待を受けています」と言うことはほぼない。

虐待は起こらないに越したことはないが、いずれにせよ苦情も虐待も早めに発覚することが望ましいのはどちらも同じだ。


苦情と虐待(疑い)におけるNG行動


苦情も虐待も早めに対処すべき事項であるが、とにかく早めに対応すれば良いというものでもない。

対応を間違えれば現状よりも事態が悪化したり、本質的な問題を履き違えたまま対応してしまいかねない。

しかるべき事実確認とともに、必要に応じて謝罪をしたり事態の適切な解決に向けて関係者で対応するのが適切である。

具体的な対応方法については長くなるので割愛するが、本記事では苦情や虐待への対応においてやってはいけないこと(NG行動)をお伝えする。

それは「まだ事実確認していない状況で騒ぎ立てる」ことである。

例えば、介護施設に入居する高齢者の体にアザができていたとする。

それを見た施設職員の一人が「こんなアザは昨日まではなかった。自分の後に対応した〇〇さんがやったに違いない!!」と見解を述べる。

すると、それを聞いた他の施設職員は「えっ、〇〇さんが手を上げたの?」「〇〇さんって普段から介助が乱暴だもんね」「いつかやると思った」などという噂が一気に広まる。

当然、その〇〇さんの耳にも入る。しかし、当人は身に覚えがない。
出勤してみたら周囲が自分を悪者のように扱って居心地が悪い。

しかし、事実確認やヒアリングにより、その日〇〇さんは介助をしていないことが分かった。

事実はどこにあるかは今後の調査で分かるかもしれないが、ひとまず〇〇さんは何もしていないのに悪者扱いされたわけだ。

――― これは極端な例ではない。虐待に限った話でなく、事実が曖昧な状態で騒ぎ立てると、問題を明らかにするより前に別な問題が生まれてしまう。

もしもワイドショーのネタのように職場のあれこれを騒ぎ立てたいならば、このような事態になることを肝に免じていただきたい。


事実確認が済むまでは静観する


苦情や虐待(疑い)を騒ぎ立てる人の中には、個人で事実を調査しようとすることがある。

ときには職場の報連相もないまま、ダメージを受けた当人へ話を聞きに行ったり、良かれと思って謝罪をしようとすることもある。

もちろん、その人は苦情処理担当でもなければ、虐待防止委員会のメンバーでもない。

正義感を振りかざしているようだが、単純に面白がっているだけだ。
(きっと他にやることがないのだろう)

しかし、お分かりのように担当者でない者が苦情や虐待(疑い)の事実確認や謝罪などを行うことはNGである。

とくに苦情においては顧客の理解不足であることだってあるし、実は虐待という事実すらなかったということもある。

そこで良かれと思って謝罪をしてしまうと、何の落ち度もないこちらに非があるという事実になってしまう。

また、虐待においては真偽の判断は難しく、認知症という要素やご家族との関係性なども複雑に絡むため「虐待だ」「誰がやった」という単純な話ではないことから、役職者や専門家が慎重に取り扱う問題である。

何が言いたいのかというと、苦情や虐待においては処理担当や対応メンバーでもない限りは騒ぎ立てずに、静観していつも通り勤務するのが吉であるということである。


――― 何だか当たり前のような内容だが、苦情や虐待というのは職場の存続において大きな事態であるが、中には面白がる人も少なからずいる。

いくら慎重に調査を進めたり当事者のメンタルケアに努めていても、横からしゃしゃり出てくる輩がいると調査の妨害になりかねない。

そうなると、適切に処理すれば円滑に収まることも、事態を悪化させる事態になる可能性だって少なからずある。

このような職場の問題を面白がってしまう人たちに対して、苦情や虐待などの問題が起きたときに対応する立場としてお願いしたいのは「お願いだから余計なことはせず、黙っていて」というだけだ。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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