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「三つ編み」著者の新作「あなたの教室(仮)」はまさに映像的だった。

死ぬまでに必ず訪れたい国。
IT大国であり、複雑な香辛料を魔法のように使いこなし、2024年には世界一の人口国となる、魅惑のインド。その南インドの貧村が物語の舞台だ。

フランスからインドへ導かれたレナ、
薄倖の少女ホーリー、そして女戦士プリーティ。

出身も出自も異なる三人の女たちが南インドで出出逢い、大空をゆく凧のように絡まり合って、たったひとつの教室をひらく物語。

Girl … NO SCHOOL

「女の子、学校いらない」と教育を阻まれ、低階層への差別、児童労働と搾取など悠久なるインドに脈々と流れる伝統と風習を突きつけられ、東奔西走するレナ。

飢餓と肥満が同時に起こるインドでは、いまだに女性は忍耐と服従に人生を費やすしかないのか。何度も胸を押しつぶされそうになり、泣きながら読んだ章もある。過酷な現実と立ち向かう三人に、大あっぱれを贈りたい。

ところで、著者レティシエ・コロンバン氏は作家でありながら映画監督であり、その文学は映像的でくっきりと描かれているのが特徴だ。「三つ編み」は自身の手で、映画化が進められていると聞き、私なら本作をどう料理するか、勝手に考えてみた(妄想)。

⚫︎薄幸の孤児ホーリーは「パジュランギおじさんと小さな迷子」のシェヒーダ役少女
⚫︎女性ばかりの自警団レッド・ブリケイドを率いるプリーティは「ダンガル」のレスリング選手ギータ(長女)役
⚫︎後半登場する黒一点のクマールは「スラムドック・ミリオネア」「ホテル ムンバイ 」の男優デヴ・パテル
そして 年齢不詳だが、フランスからたどり着いた女性教師は007シリーズでもお馴染みレア・セドゥ 
⚫︎監督は「きっと、うまくいく」の巨匠ラージクマール・ヒラニにお願いしたい。

最強キャストの誕生⁉︎

なんて胸おどる競演ができたら素晴らしい、なんちゃって。アーミル・カーンにもカメオ出演してもらいたいわ。

話はそれるが、我が相方の母国では“凧はあの世とこの世をつなぐもの”として象徴的に描かれる。浜辺で出会った頃の少女ホーリーは、毎朝ひとりボロ凧を上げていた、亡き母を偲んでいたのかもしれない。そして、熱心にノートに字を書くようになるに連れ、学ぶ喜びに目覚めていく。

インドでは7月、はじめて少数民族出身女性の、ムルム新大統領が選出された。「女性をひとり教育すること、それは国民全体を教育すること」の通り、変わりゆく大国を動かす根幹となるはず。
インドだけではない、忍耐と服従に押しつぶされそうになっている、全女性に元気を与えてくれる小説である

*ゲラ読み モニター の機会をありがとうございました。


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