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国立大学卒業後、お笑い養成所に入って、芸人になったけど挫折した話 その9〜初めてのネタ見せ〜

コンビ名を決める

 ※これから出てくるコンビ名や名前はフィクションであり、実際の個人や団体とは一切関係ありません。ただ、話の内容は事実に基づいております。

 コンビ名の決め方は色々ある。
 よくあるものだと、お互いの名前や名字を引っ付けたり、コンビ名に「ん」が入ってたら売れるという縁起をかついで(ダウンタウン、バナナマン等)決めたりする。
 お互いの好きなものを組み合わせて決めるというのもよくある。

 僕達はというと、お互いの嫌いなものを組み合わせて「ハトの学校」というコンビ名にした。
 相方がハトが嫌いで、僕は学校でいじめられていたという理由からそう決めた。

練習

 僕達はコントをすることにした。理由は僕がコント師に憧れていたからである。だから、その時のネタ帳にはコントの台本ばかり書いていた。

 ネタの練習は過酷を極めた。なぜなら二人とも演技力が全くないからである。
 まぁ当たり前といえば当たり前である。少し前まで普通の大学生と浪人生(相方)であった二人がいきなり演技ができるわけがない。
 しかし、できないからといって諦めるわけにはいかない。毎日声が枯れるまで練習をした。

初めてのネタ見せ

 そして、コンビで初めて臨んだネタ見せの授業。僕達はなんと講師の先生から高評価をもらうことができた。
 素人としては面白くできたくらいの評価ではあるが、僕はそれがとても嬉しかった。

 僕達は真面目な見た目をしていて、大人しい性格だったので、クラスの中での存在感は薄かった。
 しかし、今回のネタ見せではっきりと自分たちの存在をアピールすることができたので、話しかけてくれるクラスメイトが増えた。それも嬉しいことであった。

 当たり前のことではあるが、養成所では面白さが唯一のステータスである。面白ければ、友達が増えるし人気者になれる。逆に面白くなければ、あまり相手にしてもらえない。

 僕は特にお笑いが好きで芸人になろうと思ったわけではない。前に書いた通り、頭がおかしくなって芸人になろうと思いついたのである。
 しかし、今回の件から、僕は少しずつお笑いのことを好きになっていった。

次へ続く

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