山陽の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に１度木曜日に更新します。

昼過ぎ、私は大安売りのニラを2束掴んでほくほくしていた。

実はこのニラ、午前中にすでに1束を買っている。昼ごはんのついでに、買ったニラを夕飯のために下ごしらえしようと茹でたら、これがまたずいぶんと甘くておいしかった。
葉の部分は柔らかく、根に近い白い部分もくにゅくにゅと優しい歯ざわり。これは良いニラですねぇと刻んで醤油をたらして口運ぶと、もうひとくち、もうひとくちとやっているうちにあっという間に1束が私のお腹におさまってしまった。とはいえ、ニラを茹でたことある方ならおわかりでしょう。茹でた1束のニラの量なんて、片手に乗るくらいのものでたかが知れてる。

これはいいニラ安いニラ。と気をよくした私は昼食後にダッシュで再びスーパーマーケットに向かった。

光り輝くニラ1束78円の札。
こんなによいニラなのに「おひとりさま◯束限り」じゃないなんて。5束くらい買って、豚バラと辣油を合わせたニラ豚を家族全員でわっしわっしと食べるところを想像したけど、我に返って2束にとどめた。いくらなんでも5束は、ね。

大寒からこっち、温暖な岡山も冬らしく冷えている。でもニラが安くなると春はすぐそこで、きっともうすぐ暖かくなる。ニラは免疫力アップに効果があるらしいので、忍び寄るスギ花粉から少しでも身を守るために、いざ食卓へ。

おいしいとわかっている食材を調理するのはこの上なく楽しい。このニラはさっきみたいにお浸しにしようか。それとも、1束全部を細かく刻んで卵と味噌汁に投入しようか。そうだそうだ、やはり友人が送ってくれたとっておきの辣油を絡めてニラ豚にしようか。

冷蔵庫から豚バラを取り出し、細かく刻む。フライパンを熱して少々の胡麻油をたらり、豚バラをじゃじゃじゃと炒めて色が変わり脂が出たところへ醤油、オイスターソース、そしてこれがないとね！の具入り辣油で味をやや濃い目にしたら、3センチに切ったニラを一気に入れて肉の油がまわるようにひとまぜ、ふたまぜ、10まぜくらい！

ニラがしんなりする直前に急いで皿にあけて！
もたもたしてたら火が入りすぎるから！

着席ーーーー！全員着席ーーー！ごはんだよーー！豚バラの脂であつあつだから気をつけるのよ！！

そんなとある寒い日の、とってもおいしいニラの話。