見出し画像

祈りの幕が下りる時(後編)

 先だって私のライフワークにしている「バリュー・ライブラリー」が終了しました( ノД`)シクシク…
 この時に触れさせていただいたのですが、「心のなかの幸福のバケツ」の本を紹介して、争いに関係のない一般国民を巻き込んで、心の中にあるバケツの水をくみ出そうとしているとお話をしました。
 「心のなかの幸福のバケツ」のお話は、過去のnoteに書かせていただいていますので、そちらをご覧ください。

 住民の心の中にあるバケツの中の水がいっぱいあっても、そんなことは関係ないと思う政治家の存在は必要なのかと思います。
 バリュー・リノベーションズ・さの(VRS)が活動する大阪府泉佐野市では、いち早く人道支援を表明し、いまあらゆるリソースを活用して支援に取り組んでいます。
 まずは、そのご報告を前段としまして、前回に引き続き「祈りの幕が下りる時」の後編を始めさせていただきます。
 前回のnoteはこちらをご覧ください。

◆物件が現れるも・・・

 VRSが活動してから分かったことですが、まち再生事業で大きな課題は、空き物件があっても、こちらが考えている相場観の家賃で貸してくれない、しくはそもそも知らない人に貸したくないため、空き物件が残ったままだということです。
 いくら借りたい、使いたいと思っていても、不動産オーナーが耳を傾けてくれなければ、まちの再生すら取り組めないのです。
 他の地域でも商店街の道沿いは空き店舗が多いのに、少し入った路地裏でお店を出しているところって、見かけませんか?
 そういうところは、固定費を抑え、いいものを提供したいという思いのあるビジネスオーナーさんが少なからずいてますので、機会があれば寄ってみてください。
 話を戻しますが、まち再生事業の大きな課題となる遊休不動産の活用の相談を、不動産オーナーの親族の方から受け、VRSが誕生してすぐに実績か?と思い、意気揚々いきようようとしながら、使ってくれそうな人に声をかけてみたら、「一度見させていただき、検討させていただきます」という返事をいただき、そこから2週間後にお会いすることになりました。
 そして当日、相談に来られた不動産所有者の親族の方と一緒に、中を見させていただきましたが、思っていた以上に大きな敷地に、写真で見てもお分かりのように、かなり古い物件で、まさしく「古民家」という言葉がぴったりの物件でした。

VRSが初めて相談を受けた物件の外観

 あまりの大きな物件のため、ご紹介した人はゲストハウスをされていたのですが、「ちょっと大きすぎて、うちでは扱えないですね」と後からお断りを入れられました。
 この頃は、インバウンド需要で多くの外国人観光客が市内を訪れていたので、この方がダメでも他の人がすぐに現れるだろうと考えていました。
 でも、物件を借りたいと相談を受ける人は、駅近で家賃が10万円まで、しかもそこまで広くなくてもいいとかいう人が多く、なかなかこの物件を紹介できる人が現れることがなく、そのままズルズルと時間だけ過ぎていきました。

◆物件オーナーにお願いする

 その物件とは並行して、中心市街地のある駅周辺をなんとか活気づけないとと思い、駅から見える場所で道路を挟んで2軒空き店舗が向き合っていましたが、その物件をなんとかしなければと思っていました。
 それがインバウンドで賑わう駅の反対側の商店街とは、活気が全く異なり、駅の反対側に行った瞬間、真っ暗なもの寂しげな街並みの印象を与え、VRS事務所の近くにあるお店の人と話をしていると、「外国人がこちら側に来た瞬間にくるぶしを変えて、元に戻っていくんだよ」とよく仰っていました。
 そういうこともあり、駅前の雰囲気を変えなければな~とおぼろげに考えていましたところ、VRSの取組に興味を持っていただいた不動産屋さんがひょっこり顔を出され、「うちは向かい(=空き店舗)を持っているものですけど、またよかったら色々と話を聞かせてください」と仰っていただいて、VRSがめざす街並みや、取組みについて説明させていただきましたところ、「また何かあったらご相談させていただきます。また向かい(=空き店舗)のご利用とかの相談があればご協力させていただきます」と仰っていただきました。
 そのお話をいただいてから2ヶ月後に、嶋田さんがVRS事務所に来られた際に活用の相談をさせていただきましたが、「まずいくらで借りれるか確認してください」と一言だけ仰って、活用のお話は一切でませんでした。
 この時は、「なぜ活用のアドバイスをもらえないのかな」と思っていましたが、まちづくり活動を続けていくうちに、事業の採算性を考えるのに、その家賃が非常に大きなウエイトを占めることを、この時はつゆ知らずに活動していました💦
 嶋田さんから言われたことを確認するために、その物件のオーナーに連絡を取り、相談に上がりましたが、「まず、どういう活用するのかご提案をいただき、効果があると思ったら家賃は相談しますよ」と言われました・・・

物件オーナーと相談している様子(イメージ)

 このほかにも、今の「SHARE BASE つむぎや」の物件オーナーとも借りるお話をしましたが、こちらは「お酒を提供するお店が増えると、まちの風紀が乱れる」と仰っておられ、こちらは難しそうかなと思い、まずは「SHARE BASE つむぎや」の前の物件を借りれるようにと全力を尽くしました。

◆空回り

 「SHARE BASE つむぎや」向いの物件を借りるため、VRSのスタッフが色々と案を練り、その中からりすぐりの案を、物件オーナーさんに提示しましたが、「うーん、これって何か収益につながるんですかね?うちが期待しているのは、市がバックアップしているVRSでなければできないことなんですけどね」と言われてしましました。
 確かに、他の人ができることであれば、他の人に貸せばいいのだし、家賃交渉もする必要もないというのはうなずけました。
 それでもあきらめずに、色々と提案をしましたが、結局のところ、物件オーナーの心を射止める提案はできないままでした。
 そんな折、商店街を活性化する委託事業が、大阪府から募集があり、この物件を活用して提案できないかと、物件オーナーさんと相談を持ち掛けたところ、それであればとようやく相談に応じてくれました。
 話も順調よく進みかけていたところ、物件オーナーさんが所属する団体と連携して事業提案をしようと先方より提案があり、その方向で進めているうちに、コロナ禍の影響で大阪府の公募事業がコロナ対策事業に振り替えて事業実施するため、今回の公募は中止すると連絡が入りました。

ショックを受ける様子(イメージ)

 そうして、「SHARE BASE つむぎや」の向かいを借りることを断念しました・・・
 この時期、物件活用で意気揚々としていたVRSスタッフも、目の前にあった目標を失い、茫然自失ぼうぜんじしつとしたのか、1人去り、また1人去っていきました・・・

◆諦めきれずに

 それでもVRSを立ち上げた目的が達成できていないこともあり、簡単に諦めるわけにもいかず、ダメ元で「SHARE BASE つむぎや」の物件オーナーさんに会い、勝算もないのに「この物件をお借りできますか?」とだけ言ってお願いしました。

お願いする様子(イメージ)

 「また断られるんだろうな」と思っていたら、物件オーナーさんはじっとこちらを見たままひと言仰りました。

「いいですよ」

一瞬、頭が真っ白になり、もう一度聞き直したところ

「貸しますよ、好きに使ってください」

こう仰ってくれました!

私はあなた方の活動をずっと見守ってきていましたが、この人たちなら、あの物件をお貸ししても間違いないだろうと確信したので、お使いください」と仰られ、ようやく希望の光が差し込んできたのです。

 「この物件をうまく活用しなければ、駅の衰退感を解消できない」と心に誓い、1年近くかかりましたが、ようやく「SHARE BASE つむぎや」を完成までこぎつけました。

SHARE BASE つむぎや

 あの時、工事する前の物件の窓から外を見た風景が頭によぎらなければ、この物件のことを忘れたままになっていたかもしれません。

工事前の「SHARE BASE つむぎや」の窓から見たまちの風景

 この「SHARE BASE つむぎや」が借りることができず、リノベーション工事もできなければ、VRS自身、もっと早くに解散していたと思うと、この「SHARE BASE つむぎや」の存在が、VRSの活動の幅を広げてくれたのだと感謝の気持ちでいっぱいです。
 もちろん、「SHARE BASE つむぎや」の物件オーナーさんには、お借りすることを許可してくださっただけでなく、VRSの活動の幅を広げていただくご協力までしてくださって、感謝してもし切れなほどです。
 こうした人がまちにいるということは、VRSだけでなく、まちにとっても貴重なのだと思います。
 この後のことは、こちらのnoteに逐次書かせていただいている内容となりますので、またそちらもご覧いただければと思います。

◆祈りの幕が下りる時

 VRSが誕生して3年が経とうとしていますが、この3月31日をもって、VRSが取り組むまちづくりプロジェクトは終了します。
 この3年間の活動を総括して、3月27日(日)14時~15時30分YouTubeLiveで「~活動報告会~NEXT STAGE~3人の想いがつむぐまちの再生物語」を開催させていただきます。
 3年間の嶋田さんを含む3人の想いをつづるVRSのまちづくりプロジェクトをお話させていただきます。
 日曜日の午後という参加しにくい時間帯ですが、まだコロナ禍がまだまだ収束していないことより、「ステイホーム」の観点よりご参加いただければと思います。
 ご参加いただける方は下記の画像をクリックしていただきますと、申込のサイトに移動しますので、そちらからお申込みをお願いします。

活動報告会~NEXT STAGEのチラシ
※画像をクリックしていただきますと、申込サイトに移動します

 前回・今回のnoteのタイトルとしました「祈りの幕が下りる時」ですが、実は東野圭吾さんの作品で映画化もされ、個人的に好きな本のタイトルから拝借はいしゃくしました。
 この作品では「幕が下りる」ことを、悲しいことととらえていますが、VRSの場合はどうなるかは、活動報告会の最後の方で発表しますので、お楽しみにしてください。 
 なお、この模様は後日配信をしない予定ですので、お聞き逃しのないようにお願いします。
 今週末から気温が高くなるそうですので、そろそろ春本番といったところでしょうか。
 VRSが活動している泉佐野のまちも、少しずつ春の便りが訪れて来ています。

長い間シャッターが閉まっていて空き店舗に新たに出店する駄菓子屋「きくりん」
VRSの紹介で出店が決まった「佐野まちライブラリー」の改修工事の模様

 この2軒は来月4月にオープン予定となっています。
 また泉佐野市にお越しになられる時には、こちらもお越しいただければと思います。
 もちろん、こちらもお忘れなく!

SHARE BASE  つむぎや
つむぎやAmenity

 世界中の人々の心のなかの幸福のバケツの水がいっぱいになり、一日も早く平和の鐘が鳴り響くことをお祈り申し上げます。


この記事が参加している募集

推薦図書

サポートしていただけると、モチベーションをもってnoteに取り組めます!(笑)