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いま、ライト建築にいこう:自由学園 明日館

こんにちは 

現在、パナソニック汐留美術館では世界的建築家 フランク・ロイド・ライトの展覧会「世界を結ぶ建築」展が開催されています。
※会期:2024年1月11日(木)〜 3月10日(日)まで
※只今、とても盛況のようで混雑緩和のため日時指定の予約制となっているようです。詳しくは公式サイトをご確認ください。

|フランク・ロイド・ライト「世界を結ぶ建築」展

展覧会概要
アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867–1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。

パナソニック汐留美術館HPより抜粋

ボクも観に行ってきました。
展覧会はライトの建築作品を初期から晩年に向けて紹介しています。
その設計活動の過程で、ドローイングや模型等を展示しながらライトが建築やその土地に、どう向き合ってきたのかを知ることが出来る展覧会だと思います。

展覧会の様子
撮影可能場所が限られています。

そして、今回のフランク・ロイド・ライト展は東京開催。
また、東京にはフランク・ロイド・ライトが日本に残した建築があります。ですので、展覧会を合わせてその建築も見学すれば、ライト建築に触れる一日を過ごせるんじゃないかなぁと思います。

ということで、このあとは東京に残るフランク・ロイド・ライト建築のお話をしていきます。

お付き合いくださると嬉しいです。

|建築家 フランク・ロイド・ライトと「自由学園 明日館」

建築家「フランク・ロイド・ライト」は近代モダニズム建築における「ル・コルビュジェ」「ミース・ファンデル・ローエ」と並び、世界的な建築家で3巨匠の1人と紹介されています。

ライトは日本と馴染みが深く、日本文化にとても感銘を受けた建築家です。
有機的建築を掲げていたライトは日本各地を多く見て回り、自然と融合した伝統的な日本建築から得られた事柄を自らの建築にも反映させたと言われています。

明日館の模型
ここでもライト建築の展示が行われている。

ライトは日本にもいくつかの建築を残しています。
現存している建築が東京都豊島区にある「自由学園 明日館」です。

自由学園 明日館
ファサード

自由学園明日館は、1921年(大正10)、
羽仁もと子、吉一夫妻が創立した自由学園の校舎として
アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトの設計により建設されました。
明日館建設にあたり羽仁夫妻にライトを推薦したのは遠藤新。
帝国ホテル設計のため来日していたライトの助手を勤めていた遠藤は、
友人でもある羽仁夫妻をライトに引きあわせました。
夫妻の目指す教育理念に共鳴したライトは、
「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充たしめたい」
という夫妻の希いを基調とし、
自由学園を設計しました。

自由学園 明日館HPより抜粋

概要にも載せたように当時、帝国ホテル設計のために日本に訪れていたフランクロイドライト。
弟子の遠藤 新と共同で自由学園明日館の設計を進めたとされています。

アプローチ

自由学園 明日館は左右対称のシンメトリーの配置、屋根の水平ラインがとてもキレイな建築です。
そう、ライトの建築は、水平に伸びていく形態が特徴の一つ
その場に抗うことなく馴染むような佇まいから落ち着いた印象を受けます。

左右に配置された回廊
回廊を歩いてみると
どことなく日本的なものを感じる


パッと見た印象が、どことなく日本っぽさを感じさせるところもライトが日本建築を意識したのが窺えます。

例えるならボクは平等院「鳳凰堂」を思い出します。


|ライト建築を堪能しよう

では、ここからはボクが見た自由学園 明日館のお話をしていきます。

自由学園 明日館はボクが学生時代に初めて見た著名な建築家の建物。
学ぶためにちょこちょこ訪れていたのですが、コロナ禍もあって久しぶりに行けました。

明日館の内部に入ってみると、
ホールや食堂は外(大開口窓や高窓)からの日の差込が部屋の床に反射し、光が天井を照らし、とても美しい姿を目にすることができます。

天井に反射した光が差し込んでくる


また建物入口、通路の天井高が低く感じます。
これは当時ここに通っていた学生さんの背丈(130~140cm)ということから低めに抑えた要因の一つと言われています。

この低さがボクには興味深いところで、明日館は「強弱のある空間」が特徴ではないかと思っています。

暗さと明るさの対比で空間が分けられている

では続けます、

その低い通路から中央に位置するホールに入ると一気に空間が広がります。

もう少し言うと、天井の低さという負荷(強:なんか低いなぁと感じる心理)から解放(弱:解き放たれた気持ち)へ向かうのがホールで、そこは天井高く吹き抜けた空間で、さらに大開口から差し込む外の光がふんだんに入り込んだ開放的な部屋となっています。

ホール
通路と異なり開放的な空間が広がる

それは階段の(上下の)移動でも同様です。
食堂へ向かう階段は上った先が見えづらく、段を見つめて上り、上り切ったところで大空間が広がっていきます。ここにもトンネル効果的な強弱があると思います。

食堂
高窓からの優しい光が差し込む
食堂のテーブル
繋ぎの木もデザインされている

また明るさ、という部分においても「ホールと通路」や「長廊下の過程」で明暗の強弱(対比)が作られています。

明と暗、高と低、木と石など相反する構成によって空間の切り替えを作り出し、部屋から部屋へ移動する変化を感じ取ることが出来ます。

フランク・ロイド・ライト設計の椅子
かわいいサイズ感

今こうして、東京で展覧会が開催されているタイミングでフランク・ロイド・ライト建築を実物も合わせて体験出来るのは貴重なことではないかと思います。

ぜひ、ライト建築に触れる一日を過ごされてはいかがでしょうか。

※ちなみに明日館は見学できる日が決まっていますので、行かれる際は公式サイトで見学可能日を確認してから予定を立てることをおススメします。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

ではまた

春になると桜で包まれます。

その時また行こう



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