日本が縮んでいる??

コラム318:日本が縮んでいる??
 日本から撤退するブランドが多いことに最近気づいた。ラブリーなところだと、ローラ・アシュレイやキャス・キットソン、イタリアのカバンのマンダリーナ・ダック。どれも個性的で、変わるもののない店だ。
 予兆は以前からあった。コロナ前にイタリアで見つけたメンズ・ブランドの海外展開を見ると、アジアでは上海にしか支店がないケースも目にしていた。
 とはいえ、エルメスやシャネルなどのハイブランドは、盛況の様子である。貧富の差が大きくなり、富裕層が買い支えられるのだろう。撤退したブランドは、いずれも1万円前後までの商品を扱う店だ。若い会社員がお小遣いで買うようなところは、経済格差と不景気の影響を受け、売り上げが低迷するのだろうと察する。
 私は、バブル期にはハイブランドの店にこそ入ったものの、最近では経済的変化から、とても買える身分ではなくなった。貧富の「貧」の方に入るわけだ。
 そうなると、新聞代の月3800円や、趣味のサークル900円などの支出も絞ろうかと思案中である。ウォーターサーバーも贅沢かもしれない。
 報道では、手取り12万円のシングル・マザーの家庭を紹介していた。子どもには諸費用がかかる。少し大きくなれば、安い量販店の服も着られなくなるし、書籍、教材、学校納入金もバカにならない。食費と住居費を賄うのがやっとである。非正規雇用の収入だけでは豊かな暮らしを望むのは難しい。
 会社員であっても、ボーナスが少ない、出ない、副収入がない、となれば、「貧」となる。親などから援助なしに住宅ローンを抱えると、首都圏では生活の質が以前よりも落ちる。
 日本が経済的に縮んでいる。社会的にも亀裂が生じ、貧困問題、治安の悪化も重大である。
それを省みると、政治家が呑気に見えてくる。二世、三世議員も多い中、一般的な会社員や非正規雇用家庭の状況を把握しているとは思いにくい発言や政策も目立つ。孫の教育資金の相続減税などは最たるものだ。逆進性の高い消費税の増税もしかり。
 この縮む日本で、どのように生きるか、子ども達に示す指標も見つからない。モデルとなる大人も示せない。高級官僚になれば幸せか?疑問である。
 岸田内閣の目指す大企業の賃上げもはかばかしくない。昇給も、「昇給相当」「ベア相当」と表現され、来年の収入を保証するものではない。第一、大企業正社員をターゲットにした景気刺激策に意味があるのかどうかも疑問である。
 こどもが、将来に希望を持てるような社会はなくなったのだろうか?ユーチューバーを目指す子ども達に対し、「それはないんじゃないの」と言える環境にもない。ぼんやりしている間に、あるいは仕事に忙殺されている間に、大変な変化が起きたのかもしれない。哀しみをもって、世の中を見つめる。
以上
2022年3月30日

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