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奥さまは小学生

小学生の頃、将来の夢はお嫁さんだった。

好きな男の子の名字に私の名前を足して、ノートに書いては(見られないように)すぐ消した。早く赤ちゃんがほしくて、女の子なら「りなちゃん」と決めていた。ときめきトゥナイトの「愛良ちゃん」という名も、響きが可愛い♡と思っていたっけ。

当時、既に父子家庭で暮らしていた私。
自分のことは棚に上げて夫を嫌い、文句ばかりの感情的な母が嫌で父を選んだ私は、早く自分の家庭が持ちたかった。
大好きな人と結婚して、温かく幸せな家庭を築こうと夢見て。子供にはたくさんの愛情を注いであげるんだと決めていた。

竹内まりやさんの「 家に帰ろう( マイ スイートホーム) 」が大好きな小学生だった。

↑西島秀俊さんが夫って!そうそうこんな家庭が理想だったの(涙)

たくさんの料理本、調理器具、すてきな奥さんという主婦向け雑誌を父に買ってもらい、家事についての興味が尽きなかった。私が整えた部屋は「モデルルームみたい!」と従兄弟に言われていた程だ。中学生になりお弁当が必要になると、色鉛筆で日々の弁当をデザインしたレシピ帳を作って、前の晩に仕込んだミニサイズのコロッケを揚げたりしていた。
そんな風に嬉々として家事を楽しめたのは、中学一年まで。以降は忙しさで家事はどんどん嫌いに、押し付けあうようになっていく。。
今思えば、12時間勤務(勉強熱心な学校)、残業あり(宿題や受験勉強)、更に家事ってそりゃあイライラするし、「何で私ばっかり!?」と泣きたくもなるよ。

と、前置きが長くなってしまいましたが、あれから約30年。
私、「小学生のままだな」って思うんです。

精神年齢とはちょっと違うんです。経験も知識も増えたぶん、変化してきた部分もたくさんあります。ただ、心の奥深く、何かに反応してしまう部分だけは、ずっとそのままだなぁって。

瞬間的に欲しい!ってときめく気持ち。照れてしまう瞬間。怖い!と体が反応する瞬間、怒りや悔しさ。そんな直感的で反射的な部分。

「いい歳してぶりっ子するなよ~」って弄られていた芸能人の気持ちが、今は良くわかります。
照れちゃう瞬間って、女の子のままなんですよ。身体だけが歳を重ねていて、鏡に映った自分にギョッとする(笑)
私には子供がいないせいか、年月を重ねている実感があまりなく、解離が大きいのかな・・?と、近所の奥さん(70代)に話してみました。

「私、見た目ばかりが歳を重ねて、気持ちは小学生のままなんです」って。

すると、「私もそうよ!90のおばあちゃんでもそうみたいよ!」と共感してくれて。
「俺は幼稚園の頃と全然変わってない!」と笑っていた60代の方もいました。


なんだぁ。この先もこのままなんだ。


そういえば父も「心だけはずっと20歳のままなんやけどな~」と、最近も言っていたっけ。

大人になれば、自然に大人になるものだと思っていました。
ドラマや映画に出てくるような、凛とした女性になって、お悔やみの場面でも、相応しく美しい言葉がスラスラ出てくるのだと。
今の私は、滅多に帰らない義実家の仏壇で、「あれ? 線香一本?二本だったっけ!?さすのか、折って寝かせる宗派だっけ?鳴らすの何回・・?」と綺麗サッパリ忘れています。

誰かをもてなす時にも、大人になれば当たり前に振り舞えるのだと思っていたのに、お茶の濃さやお菓子のチョイスには、今でも自信が持てません。

ただ、小学生の私を認めた今、思いがけない変化が起こりました。

つづきます。


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