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もうこれは「社会実験」レベル!部下の給料を決められない上司は果たして機能するのか?〜カヤックにM&Aされちゃった社長の頭の中#02 〜

カヤックの制度で一番驚いた「人事評価制度」


前回の記事で、なんと120以上の♡(スキ)を頂きました。身に余る光栄です!ペースは月1~2記事ののんびりですが、頑張って書いていこうと思いますので、どうかお付き合いください。

※前の記事はこちら↓

さてさてタイトルにも書いた通り、自分がカヤックに入って一番驚いたのが、いわゆる人事評価制度です。

なんとカヤックでは、自分のレポートライン(上司)の人に、給与査定権限が無いんです!

それはあまりにもユニークというか衝撃的で、最初はその意味がよく分かりませんでした。「それって上司じゃないんじゃない?」と思うくらい、
「上司=自分の給与を決める人」というのは当たり前なことですからね。

「じゃあどうやって決めるんですか?」

当然すぐにそう聞きたくなりますよね。
自分たち(元ネイティブのメンバー)はまだ入社して間もないので、実際には体験していないのですが、月給は、いわゆる360度フィードバックを参考に、社員同士の相互投票によってランキングを決める月給ランキングなどによって決定するようです。
※参考サイト:https://www.kayac.com/company/institution

逆にその労力は想像以上にかけているようで、「これ大変なんですよ〜(苦笑)」って話してくれる社員は少なくありません。
実際に仕組みの説明を受けると、確かにこれは大変そうだなと思いました。

「給料を決める権限」の隠れた弊害

この制度の話を聞いたときに、自分は驚いたのと同時に、そのことがもたらす影響に思いが駆け巡り、ちょっとゾクゾクしました。

というのも、ある意味カヤックでは「上下関係を含めた社員同士の関係性」を根本から考えなおして組み立てているんだなと感じたからです。

少し極端ですが、自分はこう解釈しました。

※前提としてカヤックはかなりフラットな組織なので、「上司」と「部下」という立場自体がほとんど感じられません。ただここでは分かりやすく説明するためにあえてその言葉を使って説明していきます。

私達は一般的に、自分の査定権限を持つ上司に”仕えて"います。
もちろん多くの場合は健全な関係性の中で、指導し指導され、お互いの成長を支えながら仕事をしている。

ただ、やはり「給料を決める」という権限はあまりに"鋭利な刃物"です。
上司がそうは思わなくとも、部下にとっては普通は抗い難い。

振りかざされたりはしてはいなくても、どこかで無意識の内に意識してしまっているいることが少なくありません。

そうなると、本当に自分の言いたいことが言えないこともままあります。
あるいは自分の意見は主張しても、最後は「決定には従います」と言わざるをえないこともあるでしょう。

それはそれで必要なことなんですが、そうした関係性の内側には、おそらく少なからず「主体性の欠如」というか、「他者依存的な意識」はどうしても含まれてしまう。

もちろんそれが決定的に"悪性"とまではいえません。
また完全にゼロにするのも難しいし、減らしすぎると逆の弊害もありそうなんですが、増えすぎると様々な弊害を引き起こすのはほぼ明らか…というようなものではないかと。

例えて言えば「血中脂肪(コレステロール値)」のような感じでしょうか。
自分が健康診断でよく指摘されるやつです(笑)

これが血管に溜まりすぎると、血流が悪くなったり、血栓ができたり、場合によっては脳溢血のような致命傷につながるのは、法人という組織でも同じでしょう。
ある意味「大企業病」=「生活習慣病」とも言えるのかもしれません。

カヤックのこの「直属上司に給与を決めさせない」という評価制度は、「血中脂肪の上昇を防ぐために、そもそも夕飯を食べない」というくらい極端なやり方ともいえます。それはそれで、すべての人がやるべきとまでは言えませんし、もちろん他のやり方もいくらでもあるでしょう。
カヤック自体もこのやり方だけに頼っているわけでないことも事実です。

しかしある意味これはこれで、非常に理にかなっているとも言えます。

制度と理念との整合性が鍵

その理由のひとつが、これによって自然と強いられる上司の側の姿勢です。
ある意味当たり前に持つであろう"伝家の宝刀"を取り上げられた上司は、非常に戸惑うはずです。
それを武器に部下を従わせようと思っているわけではなくても、丸腰を強いられるわけですから、より真摯に対応しないと、リードできる気がしない。
「やれやれ、これは大変だな…」と思うんではないかなと。

だからこそ、それはある意味かなり健全な誘導でもあります。
なぜなら、本来人をリードするという立場では、そもそもがそうあるべきだし、その姿勢自体は揺るぎなく維持しなければならないからです。
(もちろんそれは半端なく難しいことなんですが…)


もう一つの理由は、経営理念とこの制度の整合性が非常に高いという点です。

カヤックの経営理念は「つくる人を増やす」です。詳しくはこちらをぜひご一読ください。

「つくる人」というのは、いわゆる職業的な「クリエーター」というニュアンスも含まれているでしょう。創造的な仕事をしたいと言うのは普遍的な価値観ですから。

ただそれだけではなく、究極的には「主体性をもって仕事にあたれる人」という意味だと書かれています。

この部分には自分も本当に強く共感しています。

やはり"主体性"こそ"幸せな人生"の原動力だと思うからです。

もちろん、みんながみんな、仕事だけに主体性を持つべきだなどというつもりは毛頭ありません。仕事以外にも主体性を持てる対象はいくらでもある。

ただ会社という組織を考える上で、平日の1/3くらいを費やす仕事を"主体的に"できたほうがより良いことは確かです。
であれば、それを愚直にどう仕組み化するかを考えて、その方法論の一つがこの評価制度というのは、かなり一貫性があるなと思いました。

もちろん、今の仕組みが完成形かは分かりません。
これからも色々と進化させていく余地もありそうですし、すべての会社に導入すべきとも全く思いません。

でもカヤックが、「この理念にしてこの制度」として長年やってきていることは、小さいながらも組織を作ろうとした経験者としては本当に興味が尽きない「萌えポイント」ですね。

そういうポイントが、カヤックにはまだまだ他にもあります。
次の記事はこちらです。よろしければ続けてどうぞ!


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