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右方向への外因性注意の移動は、左半側空間無視患者の空間位置の知覚記憶を損なう



概要

空間リマッピングは、目の動きによる網膜上のオブジェクトの変位にもかかわらず、時間の経過とともに連続する視覚画像内のオブジェクトの空間位置を更新および維持することを意味します。
頭頂葉皮質では、空間位置の表現は部分的に視線方向に集中しているように見え、したがって現在の視線位置によって調整されます。左空間無視を伴う右脳損傷患者では、遅れによる空間位置の短期記憶が損なわれている可能性があることが示唆されているが、視線が左方向よりも右方向に移動した場合のほうがより顕著であり、この非対称性は、通常は空間表現から伝達される空間表現の喪失に起因すると考えられる。再マッピング中の左半球から右半球。
いくつかの研究が脳内の注意回路と眼球運動回路の間に強い関連性があることを指摘しているため、我々は、明らかな眼球運動を伴わない注意の変位によって同様の再マッピング効果が生じるのではないかと仮説を立てました。私たちは、視空間記憶課題における左無視の有無にかかわらず、右脳に損傷を受けた患者を対象にこの仮説を検証しました。予想どおり、ネグレクト患者は、右(左ではない)視野の周辺での短い閃光によって引き起こされる外因性の注意の変化に続いて、位置記憶の選択的欠損を示しました。
我々は、目の動きを伴わない注意の移動は、半視野全体の空間表現を再マッピングするのに十分であり、位置を現在の視線または注意の焦点に対して無視された/左側に移動する必要がある場合、無視された患者ではこのプロセスが損なわれると結論付けています。より一般的には、これらの結果は、眼球運動機構と注意機構の間の神経の重複の概念を支持し、積極的な注意行動中に対病変位置の空間表現が維持されない可能性がある無視症候群における再マッピング障害の役割を裏付ける。

個人的な見解

空間リマッピングは、常に新しい視覚情報を更新し続ける必要があり、半側空間無視ではこの遅れがみられます。
特に視線が右側の偏位した場合に左側への移動に対して顕著にみられます。
頭頂葉病変の場合、これは右側空間への強いバイアスが関与していると考えられます。
以前紹介した論文の中で、姿勢を正中にすると無視症状が減る、線分二等分試験のずれが小さくなる、自律神経が活性化する等の報告がありました。
これも姿勢を正中にしたことで左側の空間リマッピングがしやすくなったのではないかと考えます。そのため、正中軸が正中に近づいたと感じました。
さらに、この遅れが左側にあるものや左側から近付いてきたものへの注意の移動を阻害し、衝突してしまったり店頭に至る場合があるのではないかと感じます。
結論として、姿勢崩れや右・左への姿勢の偏りがある場合、正中に戻した中での課題を行うことで、よりよい課題となるのではないかと感じました。
また、歩行中や車いす駆動中での左側への衝突はなるべく姿勢を正中に保つことで軽減する可能性があると考えます。

今回の論文はいかがだったでしょうか。
また論文紹介で会いましょう。^^

参考文献

Saj A, Pierce J, Caroli A, Ronchi R, Thomasson M, Vuilleumier P. Rightward exogenous attentional shifts impair perceptual memory of spatial locations in patients with left unilateral spatial neglect. Cortex. 2020 Jan;122:187-197. doi: 10.1016/j.cortex.2019.10.002. Epub 2019 Oct 30. PMID: 31761271.


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