【収支公開】とある小規模米農家の現実
先日した田んぼに関するツイートに至った背景について少しだけ書きます。
◼︎前提
自分の祖父は兼業農家(公務員もしながらお米も作っていた)でした。面積でいうと大体5反(約5000㎡)の田んぼです。70代半ばでありながら今も元気に毎年お米を作っています。大体このくらいあると2400kgくらいのお米が取れます。
農林水産省によると大体今は1人当たりの米消費量が1年で53.5kg(2018年のデータ)らしいので、45人が1年間食べるお米の量を作っているということになります。
*大規模にお米作りを生業にしている農家さんとは全く別の話なのでご注意ください。あくまでも小規模の米農家の話です。
◼︎収支を見て驚愕した話
ある日たまたま祖父が収支をまとめた資料を作っていたのでそれを見せてもらいました。
「米なんか作っても儲けにならんし、大変なだけや」
いつもこんな感じで言っていたので、勝手に利益はほぼないか少し赤字くらいなんだろうなあと思っていました。
しかし現実は全く違いました。
収入合計:39万円
経費合計:73.5万円
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利益:-34.5万円
少し赤字どころではありませんでした。想像以上に経費が多く、売上が少ない・・・。
経費の内訳は以下の通りです。
苗代:4.5万円
肥料農薬代:7.5万円
トラクターなどの減価償却:51万円
動力の光熱費:5万円
税金や組合金:3.5万円
農機具の修繕費:2万円
お米を作る過程をあまり知らない人からすると、なんで減価償却こんな高いんだと思うかもしれませんが、稲刈り後と田植え前に田んぼを耕すためのトラクター、稲を植えるための田植え機、稲を刈るためのコンバイン、米を乾燥させるための乾燥機などなど、無数の機械が登場します。
しかもそれぞれが100万円~300万円くらいするのでこんなことになってしまうようです。(祖父が機械好きなので平均よりは多少高くなっているとは思います。)
◼︎課題は後継者問題だけじゃない
農家の話になると、「後継者がいない」ということがよく話題になります。
でも後継者がいないというのは結果の話で、もし継ぎたいという人がいてもこれだけ赤字の状態では負の遺産を渡すことになってしまいます。
今と昔では米自体の価格も低下しているので年々状況は厳しくなっています。
(引用先:https://toyokeizai.net/articles/-/69457)
◼︎赤字でもお米を作り続ける理由
ここまでくると気になるのが「なぜ赤字でもお米を作り続けるのか?」ということです。
せっかくなので是非一度考えてみてください。
毎年赤字になりながら、半年間にわたり水の管理を行い、暑い中大変な収穫を行うことになるとしても作り続ける理由はなんなのかを。
考えてみましたか?
それでは考えた人からこの先を読み進めてみてください。
理由はこれです!!(ドンッ!)
とやりたかったのですが、理由がひとつだけだったらすぐに誰かが解決してる訳で、様々なことが絡み合って続ける理由になっています。
・何も育てなかった場合、田んぼが荒れてしまうこと。
・田んぼが荒れると周りの人に迷惑がかかってしまうこと。
・長期間田んぼを使えるのが米作りであること。
・代々受け継がれてきた田んぼを自分の代で終わらせたくはないということ。
・終わらせようとしても買ってくれる人がいないこと。
・買ってくれる人がいたとしても農家ではないと難しいこと(農地法参照)。
・親戚に毎年お米を配っているため辞めると迷惑がかかること(日本のお米の1/3は信頼のある人の間で無料で配られている)。
他にももっと理由はあると思いますが、これらが赤字でもお米を作り続ける理由です。
「意味がわからない、なんでこんな無駄なことをするんだ」と思う人もいるかもしれません。
でもこれが現実です。
「まあ自分には関係ないし」と思う人もいるかもしれませんが、おそらく読んでいる人の中にもお米を送ってもらっている人がいるんじゃないですかね?
残念ながら、今食べているそのお米はこういう背景の上に成り立っているということです。
◼︎最後に
近い将来祖父が田んぼを作れなくなる日が来ます。その時にこの現実が自分にも降りかかってきます。
それまでに、負の遺産としてではなく、自分も含めて多くの人に喜んでもらえるものとして受け継げるようにする方法を考えていきたいと思います。
まずは田んぼオーナーという形で実施できればと思っているのでまたいろいろ決まり次第報告します!
興味ある人いればぜひDMかコメントで連絡してください🙇♂️
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