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【体育】フロアーボール(ネット型)の魅力

こんばんは。
現在、3年生の体育で、「フロアーボール」をやっています。
10年以上前に長野県の先生方が実践されている動画を見てからというもの、その映像に衝撃を受け、3年生をもつと、ネット型はとりあえずこの教材から始めています。
今日は、そのフロアーボールのどこに魅力を感じているかをお話します。

参考: 岩田靖(2012).『体育の教材を創る――運動の面白さに誘い込む授業づくりを求めて』.大修館書店


魅力①「ボールをゆっくりにできる」

フロアーボールの魅力の一つ目は「ボールの動きをゆっくりにできる」というところにあります。

ネット型の多くは空中でのボールのやりとりになるので、ボールが止まっている時間がありません。空中にボールがある間に状況判断をしなければならないので、「攻撃」するところまでいかずに、「とりあえず繋ぐ」で精一杯になってしまうことが多いです。それは、大人同士でも未熟達者がバレーボールやバドミントン、テニスをやる状況をイメージするとご理解いただけると思います。

その問題を解消するために、「キャッチあり」というルールが入るゲームがあります。(キャッチバレーボールなど)これも有効な方法ですが、「キャッチあり」の難しさは、ボールが止まっている時間=プレーが止まっている時間 になるので、どうしても「停滞している感」が生まれがちだということです。判断のスピードが速くないとゲームが楽しくありません。

フロアーボールでは、ボールを床が転がっているため、相手から来たボールを味方へつなぐとき、ゆっくりコロコロ転がすことができます。これが、アタックの判断する時間の余裕を生みます。ここが重要なのです。ゆっくり判断できるという安心感が、ボールに対して苦手意識のある児童でも、「できる」感を味わえることに繋がります。キャッチに近いですが、ボールは止まっているわけではないので、停滞感はあまり生まれません。

だんだん慣れてくると、「判断が速い方が攻撃が効果的である」ことがわかってくるので、ボールが転がっている時間がだんだん短くなっていきます。つまり、判断が速くなってくるのです。この教材を十分に行うことで、その後の学年でキャッチバレーボールなどを行っても、判断が速くできているなと感じています。

魅力②「ボールの動きが2D」

もう一つ、ボールが苦手な児童に有効である理由がこれです。
「ボールの動きが2D」

ボールは床の上を行ったり来たりします。エアホッケーのようなイメージですね。それに対し、バレーボールやバドミントンをイメージすると、動きが「3D」になっていることがわかると思います。

これの何が良いかというと、「視点の動きが少なくて済む」ということです。ボール系が苦手な児童の中には、視点移動を苦手としている児童も少なくありません。空中にあるボールを取るのが苦手な児童の場合、視点移動がボールの動きに間に合わないことによってキャッチのタイミングがつかめないという要因が考えられるわけです。

フロアーボールでは、ボールの動きが全て床の上で行われるので、視点移動が最小限で済みます。つまり、相手から来た速いボールにも、比較的対応しやすいわけです。

魅力③「狙った攻撃 が生まれる→1対1が生まれる」

魅力の3つ目は「狙った攻撃ができる」ということです。上記の①②からわかるように、ゆっくりとした動きを生むことができるので、それだけ、相手の位置を見る時間も生まれます。つまり、相手の位置を見て「空いているスペースを狙って」攻撃ができるわけです。これがとても大事になってきます。

しっかり狙って打つ時間をとれるということは、しっかり守る態勢を整える時間を生み出すことができるということでもあります。つまり、攻撃も守備もしっかりできるということは、「打つ人」と「守る人」での「1対1」を楽しむ瞬間が生まれるということです。「打つぞ~」というワクワク感「来る来る~!」というワクワク感。この「1対1」の楽しみを生むことは、ゲームの単元の中でものすごく大切なことだと思っています。詳しくはこちらの記事で↓

魅力④「瞬間的な役割の判断が必要になる」

ゲーム系の単元で大切なことの一つに「役割意識」があります。例えば、サッカーをやっているとします。自分がボールをもっているときと、もっていないときで考えることは変わりますね。また、そのボールの位置やディフェンスの位置によっても、自分の役割は変わってきます。バレーボールでも、相手のボールの位置と自分の位置によって、レシーブする人なのか、カバーに入る人なのか、セッターになるのか、その役割の判断が重要です。野球であれば、打球の位置によって、「とる人」なのか「中継」なのか、「カバー」なのか、変わってきますよね。ゲームを楽しむ上では、その瞬間瞬間で「自分は今何をすればよいのか」がわかることが大切です。

フロアーボールで、私は必ず「一人一回、全員触球して相手に返す」というルールを設定します。基本的に3対3ですので、いわゆる「3段攻撃」の感覚をつかむことができるわけですが、3段攻撃のリズム感を味わうことは副産物的なねらいで、私個人的には「役割意識」がとても重要な目的となっています。

つまり、相手からボールが返されたときにボールのコースに一番近い場所にいたら「ボールを受ける人(レシーバー)」になりますし、味方がレシーブしたら、残りの2人のどちらかが「セッター」となり、最後の一人が「アタッカー」となります。これを、ゲームの流れの中で、流動的に状況判断していくことができるゲームなのです。ここにとても大きな価値があると思っています。このゲームの落ち着いた判断のできる状況で「役割の判断」の経験を重ねることは、それ以外のゲームの単元にも必ず生きます。

おわりに

フロアーボールはとても魅力のある単元です。もちろん、これだけやっていればOKではなく、これを系統の中のどこに位置付けるか、その狙いを明確にして単元にすることが大事です。そんな系統の話や、フロアーボールの実際の話を今後記事にしたいと思います。

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