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温度差が生む歪み


きょうはいろいろな「温度差」を感じる記事がいくつかあったので紹介するにゃ。


① 【FINANCIAL TIMES】金高騰、世界の転換点映す

こうした変化により、多くのアナリストは金が大幅に上昇すると予測している。「The New World Economy in 5 Trends(5つの傾向にみる新しい世界経済)」(邦訳未刊)の著者である仏金融機関BNPパリバ・フォルティスのチーフストラテジスト、フィリップ・ギセルス氏とチーフエコノミストのコーエン・デ・レウス氏は、金価格は現在の1トロイオンス約2374ドルから「そう遠くない将来」には同4000ドルに達すると予測している。
ギセルス氏は「これは金利動向だけの問題ではない。人々は新たな世界に対してヘッジしているのだ」と指摘する。

日本経済新聞

今の金価格の上昇はブレトンウッズ体制の崩壊した1960年代から70年代の状況に似ていると興奮気味に話してるにゃ🤩 当時も今も🇺🇸が10%の関税をかけようとしている類似点などを挙げ、世界のレジームチェンジが金価格高騰の根本的な背景だと指摘し、今の倍近くまで上昇していくとも⤴️ なかなか野心的で大胆な見方で面白いけど、実際に現場で取引する人の視点はむしろ冷静なことが伺えるのが次の記事⏬

② 金「長期では右肩上がり」 オーストリア造幣局CEO

25年までは金融引き締めによる逆風が続きそうだ。今後、米連邦準備理事会(FRB)は金融政策の方針を転換し、欧州中央銀行(ECB)も同じように金融緩和に動くだろう。利下げに転換すれば金の投資需要も戻りそうだ」
――金の国際価格はここ数年上昇傾向です。
「ロシアのウクライナ侵略などの地政学リスクが価格を押し上げている」
(中略)
「金価格は上昇と下落を繰り返しながら、長期では右肩上がりで推移するだろう。金は金鉱脈から採掘するが、良質な金が採れる鉱脈が限られている

日本経済新聞

先ほどの記事のアゲアゲな雰囲気とは裏腹に、実際に金を供給している立場からすると、むしろ高金利下で逆風だという認識。「新たな世界」の出現が金価格を押し上げているという見方に対して、単純に「地政学リスク」が要因とも。そういう意味ではいくと、今の金相場は壮大なストーリーに基づいたある種のバブル的な感じににゃってるのかな?
けど、実物の金そのものは採掘量が減っていくことは確かなようで、急落することが起きても上昇基調はそう簡単には崩れにゃいとも言えそうですにゃ。
いずれにせよ、アナリストと現場ではまあまあな温度差がありますにゃ😹


③ カカオ密輸、品薄に拍車

農家の手取りの低さは、昨今の不作による供給不足の根本要因との見方もある。立花商店(大阪市)の生田渉取締役は「樹齢が古い木が多いため、農家に十分な肥料や農薬をまくだけの利益が残らないと、病気や異常気象に対して脆弱になる」と指摘する。新しく植えたカカオの木が実を付けるまでには3~5年程度かかり、供給を増やすには時間がかかる。

日本経済新聞

温度差という観点でいくと、カカオ高騰の裏にも農家と需要家の間の「温度差」があるようですにゃ。天候不順による不作が主因とされてるけど、もっと掘り下げると、農家の収入が低すぎて十分な投資ができず、そもそもの供給体制が脆弱ににゃってた面もあるみたいにゃ。疲弊する農家と搾取で儲ける業者という温度感。
シンプルに目先の利益だけ追ってるとこういうことににゃる好例といえば簡単だけど、今後もいろんなところでこういう温度差による歪みが出てきそうだから注意しておきたいものですにゃ。

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