見出し画像

「文理融合」は、単純にくっつけりゃ良いって話じゃない

再びくっ付いて元通りになるかどうかは、特に理系においてかなり進んでしまった専門分化の枠を飛び越えようとする人材とそれを後押しする制度設計が必須だと思うんです。そして各人の主体的に考えるスキルも。

文理融合が進んでいる。自然科学と人文社会科学などの分野を越えた研究活動や人材育成が活発になってきた。これまでの枠組みでは、地球環境など複雑なテーマに取り組むのが難しくなってきたからだ。流れは加速するのか。歴史を振り返りながら、考えたい。

この記事の流れは、明治以降に自然科学を中心に専門化が進んだが、当初は分野を分けずに学んだ人が多かったとのこと。

例えば、森鴎外、夏目漱石とかは文学と医学・科学の両方に興味をもった代表的な人物として描かれています。

そして核心の問題提起がこれ。

近年、理系では専門分化が進みすぎ、一般の理解を得られにくい面も出てきた。行きすぎに伴うリスクをどう防ぐか、社会の要請にどう応えるかなどの課題も浮上している。

この問題を解決する方法が文理融合とするのがこの記事の論旨です。たしかに、この論旨に全くの異存はありません。以下のような分析事例もありますし、学問・知識を総動員しなければならないような課題は多いと思う。

文理融合は「最も世界を変えられる、最も成功するイノベーションを生み出す公式」と指摘。協力で生まれた多くのハイテク企業や融合型の経営者を取り上げ、強みを分析している。

そのための人材育成は本当に大切だと思う。それも待ったなし感がある。

でも、人材面もさることながら、それを支える制度がないと結局は長続きしないのではないかと思っています。この取り組みは長い目で見ても、日本という国にとっても、様々な利益をもたらすのではないかと思っています。

大きく研究費(評価)、若手研究者育成、そして研究者に限らず多くの人が主体的に考えるスキルを持つ必要性の3点が文理融合に大切だと思っています。

研究費(評価)問題

文理融合を支える制度の一つとして、研究費の制度設計がまず思い浮かびます。これまで、出口(産業化)を念頭においた研究に対して多くの研究費を出していたと思います。もっと簡単に言うと、「それって何の役に立つの?」という問いにしっかりと答えられるような研究は評価されて、研究費が出されてきた経緯があります。

上記の流れに関連して、以下のNISTEPの報告では、研究の多様性の低下が指摘されています。

研究の多様性が低下している理由として、以下3点があります。
・一時的な流行を追った研究の増加
・新しい研究領域を生み出すような挑戦的な研究の減少
・新たな研究テーマを見出すための探索的な研究の減少

文理融合においては、もう少し長期的な視野に立った評価をし、研究費を付けないと、研究者としては活動しずらいのは明白ですし、研究の多様性の担保もままならなくなってしまします。

若手研究者の挑戦促進

そして、この記事にもあるように研究者の確保です。そもそも、研究者が減っています。これが一番の課題かもしれません。

この流れを断つためには、研究費の制度改革だけでなく、新しい分野に挑戦しやすい制度や博士号取得者の活用促進など、多岐に渡る施策が必要だと思っています。

主体的思考というスキル

そしてそうした文理融合の人たちが受け入れられるような社会であることもまた大切なポイントだと思っています。

その為には、各人が自分の頭で主体的に考えるスキルを身に着ける必要があり、こうした人が増えれば増えるほど、文理の壁は薄くなっていくと思っています。


これからはより長期的な視野に立った施策が必要だなと思わざるを得ないのですが、サイエンティストが国会議員になったり、色々な考えをまとめて政策に反映させるような取り組みとか本当に大切だと思います。


#日経COMEMO #NIKKEI #文理融合 #人材育成 #研究費制度 #主体性

この記事を読んでいただいたみなさまへ 本当にありがとうございます! 感想とか教えて貰えると嬉しいです(^-^)