見出し画像

バイオ医薬品でも連続生産ができるのか!

ちょっと前に、初めて知った医薬品の連続生産についてnoteを書いたのですが、その情報をアップデートする記事が2021年11月15日に日経新聞にありました。

ちなみに連続生産のことを書いたnoteはこれです。もしよかったら。。。


そして本題の私の知識のアップデートをしてくれた日経記事はこちらになります。

富士フイルムホールディングス(HD)が、医薬品の開発製造受託(CDMO)で累計6000億円を投じて攻勢をかけている。半導体産業では「設計」と「製造」の分業が進み、半導体受託生産会社の台湾積体電路製造(TSMC)が台頭した。医薬品産業でも同様の分業が一段と進み、CDMOは大きく成長する見通し。スイスのロンザなどが先行するが、強みの材料生産技術を生かして「医薬のTSMC」の座を狙う。

この記事は、医薬品の開発製造受託ビジネス全般の話が纏められています。今世界をみると、ロンザ、ベーリンガーインゲルハイム、サムスンバイオロジクスが3強として名を馳せていて、日本勢としては富士フイルムとAGCがこの戦いに挑むかたちになっています。

そして富士フイルムの取組みとして、抗体生産などのバイオロジクス製品での連続生産を世界で初めて導入するのだそうです。

富士フイルムは23年、英国の拠点で純度の高い抗体を効率良く製造する新しい生産方式を導入する。新たに開発した「連続生産」と呼ばれる手法だ。連続生産は培地などを連続的に投入しながら培養・精製工程を並行して稼働させ、抗体を連続で回収する。培養から精製工程まで連続で稼働させる生産方式は世界初になるという。

この生産方式を導入するメリットは、コスト低減にあります。

連続生産方式は生産効率が高く、純度の高い抗体を採取できる。連続して生産できるため、これまでのような大規模タンクが必要なくなり、設備投資を約7割抑えられる。生産コストも3割程度下げられる一方、採取できる抗体の量は従来のバッチ生産から3倍になる。

ただ、抗体産生細胞用の培地が通常のバッチ生産に比べて、30倍以上必要なため製造コスト高から導入されてこなかったところ、富士フイルムはコストを抑えた培地開発に成功し、製造設備も開発し、連続生産方式に漕ぎ付けたとのことです。

ご存知に方もいるかもしれませんが、研究畑に居た人なら覚えているかもしれませんが、2016年に富士フイルムは和光純薬工業を買収し、100%子会社にしています。この和光純薬工業は、試薬の国内大手企業として知られていますし、細胞培養用培地の製造販売もしています。

少し調べて見ると、「細胞培養用培地&培地最適化サービス」も手掛けているので、今回のように低コストを志向した培地作成はお手の物なのだと思います。抗体産生だと、CHO細胞が良く使われると思うので、このサービスラインナップにも入っていますね。

富士フイルムのバイオCDMO事業部長の石川隆利副社長は「新たな生産技術はゲームチェンジとなり、トップの地位を狙える」と自信を見せる。すでに複数の大手製薬会社と商談が進む。25年3月期にはCDMO事業の売上高を21年3月期に比べて約2倍の2000億円に引き上げ、その後も年率20%の成長を目指す。

と言っているのように、低コストでの製造が可能であれば訴求力も高まりますから、大きな成長が見込める気がします。


そして最後に手前味噌なのですが、この日経記事には弊社 #Evaluate のデータが使われているんです。それが以下の箇所。このように、私たちが保有する医薬品の売上予測データなどを使い、様々なトピックに対してデータを提供しています。

CDMOが成長分野とみられるのは、バイオ医薬品市場の拡大で、創薬と開発・製造の分離が一段と進むとみられているためだ。英エバリュエートによると、世界のバイオ医薬品市場は26年度に5515億ドルと21年度比で約5割増える。

今年2021年に弊社データは日経新聞で19回使用されています。その19回の記事がどんな感じかは以下のnoteにまとめてありますので、こちらもご興味があれば覗いてみて下さい!



#日経COMEMO #NIKKEI #連続生産 #バイオCDMO #抗体製造 #富士フイルム #AGC  

この記事を読んでいただいたみなさまへ 本当にありがとうございます! 感想とか教えて貰えると嬉しいです(^-^)