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3行日記 #161(石焼き芋、グラニュートウ、バイオリン)

三月十七日(日)、くもりのち雨

昼、昨日買った石焼き芋と、妻の実家でもらったちまきのようなものを食べる。ちまきといえば、もち米と豚肉の味つきおこわのようなものを思い浮かべるのだが、そのちまきのなかには寿司が入っていた。柿の葉寿司のように、葉っぱの香りが移っていておいしかった。

午後、妻の職場にきている男の子の個展へ。色の使い方が鮮やかだった。その後、いつもの喫茶店へ。ふとまわりを見渡すと、ひとつのトートバッグが目にはいった。ベージュの生地にイラストが描かれている。なんとなく眺めていると、犬が何かをくわえて、追いかける女性から逃げている。そのくわえているものには、「竹」の文字が書かれていて、なにか引っかかる。見覚えがあったのだ……。あ、あれだ! 昨日買った石焼き芋の移動販売のイラストだ。そこの席のひとも食べたことあるのかな、グッズ展開しているのかな、とあれこれ考えが浮かんだので、スマホで検索してみると、画像がたくさんでてきた。やはり、あの焼き芋のトートバッグだった。画面をスクロールすると、あ! 仕掛け人だと思われるひとのインタビュー記事があったのだが、そのひとの顔はあのひとだ! いつもいく喫茶店で、三十代前半くらいで、このひとも在宅勤務なのか、いつもパソコンをひろげて仕事をしているひとだ。このひと、焼き芋屋のひとだったんだ。そういえば、昨日もらったいも新聞のイラストの似顔絵も、たしかに似ている。昨晩、寝不足気味でうつらうつらしていたのだが、びっくりして、目が覚めた。

夜、妻の実家でスーパーの寿司、味噌汁、苺、パウンドケーキ、シュークリーム。机のうえで夕飯の準備をしていても、チャックは机の下で大人しくしている。大人になったなあ。冷蔵庫の横の白板に、医りょうひ払う、マツイさんへTEL、グラニュートウと書いてあった。チャックの散歩、神社を抜けて東へ、ファミマを右に折れて、JRの駅前を通り帰宅した。家に帰る途中、商店街のほうに歩いていると、なにやら楽器の音がする。バイオリンだ。伏見とバイオリンのイメージがすぐに結びつかない。きれいな音色だった。近づくと、おじさんが路上でバイオリンを弾いていた。一曲、弾き終わり、私たちが拍手をしていると、アイルランド音楽、ふだん聴きますか、と訊かれて、いえ、聴きません、とドライに答えてしまった。コロナ前はそこでときおり弾いていたみたいだが、コロナ以降にはじめて、久しぶりに来たらしい。

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