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【詩】魔法の呪文

正しく生きようとするほど
脳みそが腐るような気がする

そんなばかな

悲しみが耳を後ろへひっぱっていく
呼んでるんだ
嘘のような声で

手ざわりのいいクマと一緒に
毛布にくるんで抱いてくれたらいいのに

光速の毎日と
思うほど進まない秒針と
閉じてほしい時には
ちっとも重くならないまぶた

仕方なくアイスコーヒーを作る

記憶を捏造するように
愛も作れたらいいのに
紙芝居が終わるように
嘘が終わったらいいのに
耳に這わせた舌のように
はにかんで笑えばいいのに

相対的な社会の
どうしても
気がつくと
端の端の端で
無力を嘆くばかりで

瑞々しい果実のように
朝日にチカリと光る
清々しい朝焼けのように
空の透明度を上げて
凛として
力をためる

魔法の呪文だってまだ忘れていないもの

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