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「プレーンマフィンにはプレーンマフィンの良さがある」

「風の歌を聴け」を読んだのは、かれこれ40年前になるのかと知り愕然としている今日この頃ですが、みなさん、いかがお過ごしでしょうか?どんな書き出しなん?すみません。

さて、久しぶりの長編「壁とその不確かな壁」ですが、今回は偶然がいろいろと重なり、読書会にも参加することになり(一時間半では語り尽くせるはずもなく、第2回目も開催されました)、これまでの作品の中で最も真剣に読み込んだのでした。

読書会@素敵な古民家

僕としては、とてもナチュラルに読め、これまでのベストに入る作品かなと思ってます。さまざまな解釈がありますが(どう読んでもいいのが村上作品の魅力ですよね)、物語に通底していたと感じたのは「人を愛することの素晴らしさ、そして、愛した人を失う悲しみの深さ」。主人公が彼女を思う気持ちが切なくて切なくて、すっかり感情移入してしまいました。中年になるまで初恋の人を思い続けるって、どうなのよ?という感想を持つ方も少なくないですが、なんと言われようと僕は主人公を支持します。長いこと会っていなくて、かなり美化されているであろう彼女を思い続ける。素敵なことじゃないのかな?初恋の人を忘れられないこじらせ男子の気持ちが強すぎて集合的無意識レベルで彼女とつながったお話と僕は読んでいました。僕も初めて好きになった女の子(50年前のこと)は今でも忘れていないし、たまに夢にも出てくる。

子易さん。かれはある意味でこの物語のスターですね。いろいろあったけど、やっと中年になって心の安寧を得て、自分のDNAをつないでくれるであろう子供ができたときの喜び。よーくわかります。そして訪れた悲劇。愛した人を失った悲しみが切々と伝わってきて、彼にも感情移入しました。

最後に一番かっこ良くて気に入ったフレーズはこれです。

「プレーンマフィンにはプレーンマフィンの良さがある」

フィリップ・マーローが、ニューヨークの下町のダイナーで、ほんとはブルーベリーマフィンを食べたかったんだけど、あいにく売り切れで、仕方なくプレーンマフィンを注文した場面っぽくないですか???


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