無職の読書感想文_末永 幸歩《13歳からのアート思考》

こんにちは。
溜まっている読書感想文を書き終えよう週間です。

最近、山口 周さんの「読書を仕事につなげる技術」を読んで、本は3回読むを実践し始めた私です。そして、本は汚して使うものという教えも忠実に実行し、今は本の中身にマーカーを引くことも厭わなくなってきました。


今回は私が初めて「3回読み込んだ本」の、読書感想文です。


本日は、末永幸歩《13歳からのアート思考》

この本を読んで、自分がどれだけ他者の意見と固定概念に縛られて、アートを見ていたかを実感させられました。これは、アートの見方を解説する本ではありません。
早速ネタバレですが、この本は自分の価値観、考え方を見つけるための本です。

早々にネタバレをしてしまいましたが・・・。

なぜこう思ったかは後ほど説明をするとして、まずはざっくりと本の中身についての説明をします。

まず、この本の冒頭では、アートって何? アーティストって一体何?ということについて問いています。

そして、この本ではアートはタンポポに似ていると表しています。
個人的にタンポポは春に咲く鮮やかな黄色の小さい花というイメージなんですが、実はタンポポの根っこって、画像検索をしてもらえば一発で分かる通り、めちゃめちゃゴン太なんです。

そんなタンポポに似ている「アートという植物」は「表現の花」「興味の種」「探究の根」の3つからできているそうです。

その「アートという植物」の中で重要なのは、空間的にも時間的にも大部分を占めている、地表に顔を出さない「探究の根」の部分だと言っています。

そして、最終的に作品として出来上がる表現の花を育てるために頑張る人が「アーティスト」だと説明されています。


CLASS 3 アート作品の「見方」とは? 
ー想像力をかき立てるもの


いつものように興味深かった内容から、一つの章を抜粋してご紹介します。

この章では、ワリシー・カンディンスキー(1866~1944)というアーティストが描いた《コンポジションⅦ》という作品を例に解説されています。

パッと見てこの《コンポジションⅦ》という作品は具体的なイメージが描かれていません。

これは我々が美術館で出くわすことも多い「よく分からない絵」に近いと感じました。

この作品を生み出したのはカンディンスキーというアーティストの方ですが、この絵が生み出されたきっかけはまさに「この絵よくわかんねぇ・・・」でした。

カーディンスキーはパリでクロード・モネというアーティストが書いた《積みわら》という作品を見たとき、「なに」が描かれているのかがまったく分からず、困惑したそうです。

でも、「なぜ、その絵に惹きつけられた」のかについての体験を振り返ってみると、

『なに』が描かれているかわからなかったのに、惹きつけられたのではなく『なに』が描かれているかわからなかったからこそ、惹きつけられたのではないだろうか

と考えたそうです。

そして、その時の感覚を再現しようと思い、カンディンスキーは幼少の頃から愛してきたクラシック音楽を色や形に置き換えて表現をしてみることにしました。

音やリズムは目に見えないし、具象物ではありませんが、自分が感じたままに表現をすることに徹したのです。

カンディンスキーは、人の心に直接響き、見る人を惹きつけるような絵を追求した結果、「具象物が描かれていない絵」という「表現の花」を咲かせるに至ったということなんですね。

この章を読んで、具体的なモノが描かれていないアートがなぜ生まれたかについて知ることができました。
「具象物を描くことだけが、アートではない。」これが分かると美術館の「よく分からない絵」をこれまでよりも興味深く鑑賞できそうです!


・・・・


この本を読み進めていくと、アーティスト一人一人には絵を完成させるまでの歴史があり、根っことなるような体験があると知ることができました。

そして、「アートはこのようにあるべき。」「アート作品はこのように鑑賞するべき。」というものはそもそも存在しないし、そんな議論には意味がないことも分かってきます。

改めて、この本の良いところは、本の途中に自分で手を動かして絵を描くような簡単なワークがいくつかあるところです。

実際に手を動かしてみてから本を読むと、内容に対しての理解度や納得感が違います。自分が描いた絵だからこそ、言い訳もできないし、それが自分の価値観である確固たる証拠となります。
結果、自分自身と向き合えるわけなんですね。

図解や写真も充実していて、重要と思われる部分には文字の色が変わっていたり、太くなっていたりするので、全体的にとても読みやすい本だと感じました。


「アートの本当の見方を知りたい!」と思って買った本が、「自分自身の価値観を見直すきっかけをつくる本」だったとは…。なんとも皮肉なものです…。

私も自分に正直に「探究の根」を伸ばせるようになるぞ〜〜〜!!


それでは!







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