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若いってなんだ

朝6時の新宿の街は、異臭が漂った。ごみ収集車が至るところにいて、居酒屋のごみを回収して回っている。500mlの缶ビールにストローを差して、寒そうに飲んでいるおじさん。これから帰る人。外国人。わたしの住む町にはない景色があって、外国のように感じた。言葉が同じだけで、日本の中にも外国はたくさんある。

出張で山梨に向かっている。バスタ新宿からたった2時間で、これまた別世界にやってこれる。さっきはできるだけ呼吸をしなかったのに、いまは大きく息を吸いたいような清んだ空気が広がっている。山々が見える。空が青い。それだけだけど、幸せな気持ちになる。広い空はいつもわたしに勇気をくれるように思う。

バスの中で泣く赤子に狭い座席でミルクを作っているお父さんがいた。わたしもそうだったんだなあと思いながらじっと見てしまった。結婚式を控えているからか、余計に親と子みたいなものに敏感になっているかもしれない。「いつ何時でもあなたの味方でいたいです」と先日ママから来たLINEを思い出した。この間実家に帰った時にちょっと不安な顔を見せてしまった。その翌日に届いたメッセージ。わたしの人生は大丈夫だと思えるのには、きっと両親の存在があるからだと改めて思った。

「まだまだ若いね~」と最近よく言われる。確かに若い。若いって何だろう。あんまり年齢について考えたことがない。自分を若いと思ったこともあまりないし(相対的に思うことはある)、若くてよかったなあと思うこともまだない。歳を取ったら思うのだろうか、若いころはよかったなあとか。年齢は、数字でしかない。生きた年数でしかない。少ないからダメなんだということもないと思うし、多いからえらいというわけではない。昔はあったのだろう。家制度みたいな。年功序列みたいな。今も気づかぬうちに、そのシステムの中に生きているのかもしれないけれど。でも、若いからって自信をもっちゃいけないわけじゃないし、卑下しなくてもいいのに、と思うことがよくある。若くても、そっとプライドがあるといい。こだわりなんて豪勢なものではなくていい。でも、今の自分にプライドはもちたい。生きているひとみんなに、積み重ねてきた生きてきた時間がある。それに、明日死ぬかもしれないんだから、若いがいいってこともそんなにない。

だから、歳を取っても、歳を重ねることを嫌がりたくない。おばさんだからなんだ。できなくなることもたくさんあると思うけれど、できるようになることもきっとたくさんあるはずだ。

わたしはおばさんになるのは結構楽しみにしているのである。


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