秋葉純次郎

海外で諸外国の方たちと国際契約のプロジェクトに多数関わりました。施工管理、工程管理、原…

秋葉純次郎

海外で諸外国の方たちと国際契約のプロジェクトに多数関わりました。施工管理、工程管理、原価管理、安全・環境・品質、契約管理、契約交渉、国際入札図書作成などのプロジェクトマネージメントと組織運営が専門の技術士(建設部門)です。

最近の記事

プロジェクトの計画(Planning)

2025大阪・関西万博の準備状況はあまり芳しくないようです。外国パビリオンの準備が順調に進んでいないといわれています。2020東京オリンピック組織委員会の運営もあまり誇れるようなものではありませんでした。リニア中央新幹線の開業は2027年から2037年以降への延期が発表されました。プロジェクトの工程や費用問題が表面化するのは、行程が伸びるとか予算が膨らむと言った情報が流れた時です。一般には「またか」という感じで受け取られています。 プロジェクトの工程が伸びたり費用が膨らんだり

    • 次期戦闘機プロジェクト(Next Generation Fighter Project)

       イギリスとイタリアと日本の3国で次期戦闘機を共同開発することが発表されました。開発計画を管理運営する政府間の機関としてGIGO(GCAP, Global Combat Air Programme, International Government Organisation)の設立が合意されたのです。 国際機関であるGIGOの本部はイギリスに置いて、組織は運営委員会と実施機関で構成されています。運営委員会には参加国の政府代表が参加します。実施機関は運営委員会のもとでプロジェク

      • 国産旅客機プロジェクト(Domestic Aircraft)

         国産旅客機の開発に再挑戦することが報道されました。国産旅客機というと、双発ターボプロップエンジンの旅客機YS-11と、開発が中止された双発ジェットのMRJを思い出します。 YS-11は1959年に政府と民間が出資し設立した特殊法人日本航空機製造の製造で、1962年に初飛行し1973年までに182機製造されました。運用は1965年に始まり、国内はもとより世界中で活躍しました。2006年に国内の定期路線は終了し、海上保安庁所属の機体も2011年に退役しました。 特殊法人日本航空

        • 道路インフラの整備(Development of Road and Highways)

           鉄道が人や物のほかに情報や文化を運んだように、道路も生活を支えてきました。高速道路は物流を支え、国道は都市と都市を結んで、街道筋は地域を走っています。道路は生活に欠かせないインフラですから、道路の整備は私たちの安心と安全に応える必要があります。 一般の道路で改良が完了した道路の延長は約6割で、改良が必要な道路が4割あります。今後も整備が必要な一般道は少なくないのです。たとえば、通学路の安全確保や毎日の生活で使う道の歩道確保が課題です。消防車が入れないような路地が密集する地域

        プロジェクトの計画(Planning)

          鉄道インフラの整備(Development of Railways)

           2024年3月16日に北陸新幹線が金沢から福井・敦賀まで延伸されて開業しました。これまでに新幹線が建設された地方は、新幹線の開業を歓迎してきました。新幹線が通った地方では、地元に伝わる伝統文化を多くの人に知ってもらういい機会として、地元の方たちは大変な努力をされています。確かに、新幹線は地方を元気にしてきましたが、時がたつと地方の衰退化に拍車をかけてきたように思われます。 新幹線を利用して地方を訪れる方は、仕事で出張される方もありますが、日頃の緊張した都会生活を離れて地方の

          鉄道インフラの整備(Development of Railways)

          労働生産性の改善(Improvement of Japanese Labour Productivity)

          過去30数年にわたって日本が成長しなかった理由の一つとして、低い労働生産性が改善できなかったことがあります。経済成長のためには労働生産性を改善し生産性をあげて、産業の供給力の強化が必要です。持続的な成長経済を確実にするためには、たゆまない労働生産性の改善が欠かせないのです。 日本経済の課題点と改善策について、いろいろな議論が長らく交わされています。議論の中心は新技術開発し最先端技術を実用化して導入することや賃金体系を見直して労働市場の流動性の確保などです。労働生産性の改善につ

          労働生産性の改善(Improvement of Japanese Labour Productivity)

          労働生産性を支える技術(Technology supporting Labour Productivity)

          日本は戦後の廃虚の中から驚異的な高度成長を遂げ、先進諸国に追いついて並ぶまでになりました。成長の原動力は重厚長大や軽薄短小の「モノつくり」産業にみんなで一緒に携わってきたからです。 「モノつくり」のモノは形のあるものばかりではありません。モノに形があろうがなかろうが、個人で作ろうが団体で作ろうが、製品を製作したり、作品を制作したり、創作したりする仕事は何かモノを作りますからすべて「モノつくり」といえます。 製品や作品の「モノつくり」に携わる人は、対象と会話する技術が必要です。

          労働生産性を支える技術(Technology supporting Labour Productivity)

          日本の労働生産性(Labour Productivity in Japan)

          2024年2月15日、内閣府は2023年の日本のGDP(国内総生産)は、ドイツに抜かれて4位に転落したことを発表しました。昨年11月の時点で国際通貨基金(IMF)は日本が4位になるだろうことを予測していました。IMFの2023年12月の発表では、日本のGDPは44,100億ドルでドイツは43,090億ドルでした。両国の差は10億ドルで、かろうじて日本は世界3位の座を守っていました。GDPはドル表記なので、円安によるドル換算によって3位と4位が入れ替わったと発表されていました。

          日本の労働生産性(Labour Productivity in Japan)

          プロジェクトの運営(Project Management)

          2025年に開催予定の大阪・関西万博の準備が遅れていることが報道されています。特に海外参加者のパビリオン建設の遅れが指摘されています。原因は万博を管理運営する組織と建設関係者間の交渉が十分にできないことにあるようです。海外の参加者からは不参加表明も出てきています。不参加表明は、パビリオン建設費用の予算確保ができない参加国の国内事情によるところが大きいようです。 現在、木製大屋根が施工されていますが、リンクを作ると中央部のパビリオン建設用資機材の搬出入アクセスに制限が出て、さら

          プロジェクトの運営(Project Management)

          上下水道の整備(Improvement of Water Infrastructure)

          1月1日に能登で大きな地震(震度7)がありました。被災現場を見ると家屋の倒壊や津波による被害、海岸線の隆起など能登半島の悲惨な状況が報道されています。7週間たっても多くの人が避難所で避難生活を余儀なくされています。道路の寸断による集落の孤立は解消されたようですが、自由通行ができるようになったわけではありません。断水や停電の復旧には時間がかかる状況も報道されています。 地震による断水の復旧は都市部と地方部では違いがありますが、これまでに発生した震度6の地震では、概ね1週間以内に

          上下水道の整備(Improvement of Water Infrastructure)

          品質保証(Quality Assurance)

           多くの組織で運営の信頼を揺るがすような不正行為が次々と明らかになってきています。長年にわたって国会議員をはじめあらゆる分野で不正が行われていたことは、日本が先進国から後れてきた理由の一つです。信頼を裏切るような不正行為が長らく行われてきたことと、日本が後れてきていることとは無縁ではありません。 組織の運営は法や組織の規則によって手順が決まっており、ルールに沿って運営しなければなりません。法や規則で業務の執行手順は決められていますが、実態は不正を防ぐための手続き機能が働いてい

          品質保証(Quality Assurance)

          品質管理(Quality Control)

          日本経済が成長していたころ不正行為が明らかになることは稀でしたが、経済の停滞が長く続くなかで、最近不正が次々と明るみに出るようになりました。 日本社会が先進国から後れてきているといわれるようになった原因の一つに、多くの組織が長期にわたって品質に関わる不正行為を行っていたことがあります。不正が明らかになった組織の責任者が、テレビで頭を下げる姿を何度も見てきました。日本製品が得てきた高品質による絶対的な信用が揺らぎ始めているのです。 不正は世界をリードしている業界で長い間行われて

          品質管理(Quality Control)

          基礎的インフラの整備(Improvement of Basic Infrastructure)

          能登半島地震の発生から4週間がたちました。孤立集落へのアクセスは確保されたようですが道路、水道、電気は未だに完全復旧はしていません。真冬の雨や雪が降る被災地で、被災されたみなさんはどれほどのご苦労をされていますことでしょうか。お見舞い申し上げます。 避難施設や給水設備とトイレ設備などのハードインフラは、緊急対応が十分にできていなかったようです。行政の応急対応や避難所の手配、施設の運営などのソフトのインフラでも時間がかかっているようです。 地震や水害などの自然災害が起きるたびに

          基礎的インフラの整備(Improvement of Basic Infrastructure)

          経済成長を支えた制度(Characteristic System supporting Japanese Economy)

          日本の経済発展は、長い歴史の中で育った独特の文化を持つ国民性が産業全体を支えていたからだといえます。今まで独特の国民性を発揮することができたのは、多くの国民が仕事に対する昔ながらの姿勢を共有していたからです。独特の成熟した文化の下でみんなが一緒に育ったという背景があったから発揮できたのです。 今に続く忠誠心を持って所属先に尽くしてルールに従い黙々と働き我慢する文化は、江戸時代に私たちのDNAへ刷り込まれました。下地が出来上がっているところに加えて「みんなで一緒に」の教育が日本

          経済成長を支えた制度(Characteristic System supporting Japanese Economy)

          経済成長の背景(Background of Growing Economy)

          1960~1980頃の日本が好調な経済成長をしてきた背景には次の三点がありました。一つ目は独特の国民が育った歴史、二つ目は経済に集中できた環境、三つ目は産業を支えた豊かな人材です。 一点目は封建時代のユニークな歴史です。江戸時代は人口約3,400万人のうちの一握りの武士(国民の約7%)が社会を運営していましたから、武士階級の子弟が教育を受けるのは当然の社会でした。一般の人の子供たちも寺子屋で、論語などの中国の古典や精神的な支えでもある武士道の教えを背景にした教育を受けていまし

          経済成長の背景(Background of Growing Economy)

          経済成長をしていた頃 (When Japanese economy was growing)

           日本経済はバブル経済の崩壊(1991年)以降30年以上にわたって対処療法的な政策に追われて現在も安定的な成長をしていません。見方を変えれば危機的な状況は、社会の運営手法を見直す絶好の機会だったともいえます。しかし、社会が立ち直るために必要な修正を加えることはできませんでした。結果として、現在の日本は世界から3周後れとなり、先進国から脱落するかもしれない危機に面しています。 日本は戦後の復興から高度経済成長期(1955年~1973年)を経て安定成長期(1973年~1984年)

          経済成長をしていた頃 (When Japanese economy was growing)