秋田真梨子

愛知県出身今は東京24歳 ことばが好きです

秋田真梨子

愛知県出身今は東京24歳 ことばが好きです

マガジン

  • タイトル募集シリーズ

    Instagramで皆さんから募集したタイトルで文章を書きました。

  • 企画メシ2021

    コピーライターの阿部広太郎さん主催の「企画メシ2021」に参加していました。 それに関して書いたものをまとめておこうと思います。

最近の記事

  • 固定された記事

スポーツがくれたもの

そう聞いて最初に私の心に浮かんだのは、カンボジアだった。 カンボジアには歴史的な背景から体育や運動会といったスポーツ教育の文化が未だにあまり普及していない。 私は、学生時代にカンボジアで毎年自分たちオリジナルの運動会を開催する「FUMIDASU」という学生団体に所属していた。 夏の渡航までの約一年間、毎週メンバーで集まってミーティングを行う。新しいメンバーを集めるための新歓や広報活動のための写真展、そして運動会の資金を募るクラウドファンディングなど活動は多岐にわたっていた

    • 映画「佐渡島が好きだから」

      迷っていた。 何に迷っているのかもはっきりと見えないまま。 何も、何一つとして自分の中に肯定できるものが無かった。 だから、初めて佐渡へ行き、壮大な自然と、心根の温かく情の深い人達と出逢って正直くらった。 自分が情けなく、自分には何ができるのか、どうしたいのかと悩みや不安が募っていった。 その旅をまとめたフォトエッセイを作り、自分たちの"出逢い"を広めて、佐渡の人たちにも届けて、少しでも感謝の気持ちを伝えようと思った。 そこでも佐渡の人たちにも沢山支えられ、本当に沢山の人に

      • 朝1番に思ったこと

        朝ごはん。だ。 今日目が覚めた時、確実にまず「朝ごはん食べたい」と思っていたし昨日もおとといもそれは同じだったとはっきり言える。 平日の夜はいつもあまり沢山食べないので、基本的に朝は一番に空腹を覚えて朝ごはんを想う。 正直そんなにお腹がすいていなくてもとりあえず朝ごはん。と思っている。 目を覚まし、カーテンを開け、テレビ(ZIPから朝ドラの流れが日課)をつけて、今日の朝ごはんに向かっていく。 私の朝ごはんのレギュラーメンバーはホットのブラックコーヒーと野菜。それに加えてパ

        • 言葉の大切さ

          このタイトルをくれた人は、同時に「言葉とは何か」を問いかけてきた。 「言葉とは何か」 一番最初に行き着いた答えは「繋ぎ止めたいということ」だった。 やっぱり、この世に生まれてきたから繋ぎ止めたい。 独りきりではふわふわと浮遊して不安定なままになって飲み込まれてしまう自分と、自分が生きる世界を。 そしてこの世に生まれた自分自身に飛び込んでくる景色、もの、愛情、友情、できる限り大切な全てを。 記憶は簡単に薄れてしまう。 ことばが無ければ歴史も残らない。 生まれて名前をつ

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        スポーツがくれたもの

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        • タイトル募集シリーズ
          5本
        • 企画メシ2021
          8本

        記事

          麻布十番

          麻布十番に住んでいる。 理由はそこに社宅があるからで、住所が身の丈に全く合っていない。 三年近く住んでいればずいぶんと慣れてくるが、この街が自分の価値観の中にある「生活」という言葉とあまりにも離れていて、共感できない日々を過ごしている。 この街の景色、この街が身の丈に合っている人たち。 周りの建物も音も夜中の人の声も絶えず大きい。 港区と聞いてしっくりくる景色と人々。 少し前までははっきりとこんな所好きじゃないと言っていた。 そんな贅沢なことを言うなと言われたこともあった

          バイク旅

          バイクには乗ったことすら無い。 大学生の頃、友人の原付はよく借りて乗っていたが原付とバイクは排気量が違うらしい。 少し前に写真家の小見山峻さんの写真展に行った。 私が好きな芸人ラランドの宣材写真を撮ったのが小見山さんで、その写真の開放的で伸びやかな空気がとても好きになった。 それ以来小見山さんのInstagramをフォローしてよく写真を見ていた。 その日私が行った写真展は写真集「call, overhaul, and roll」の刊行に伴って開催されたものだった。 ”

          周りの目、自分の目

          結局どちらも自分の「目」であることには気が付いている。 「周りの目」は自分の想像や自意識。 「自分の目」は自分の事実や実感。 想像や自意識は危機管理と結びついていると思う。 それは、嫌われたくないということ。 自分の真ん中をぐっさり言葉で刺されたくないということ。 だから、簡単に周りの目なんて気にするなと言う方が無理がある。 分かったようなことを書いているが、ここで今自分が定義付けたようなことも今後変化していくだろうし、私も想像と自意識をフル稼働させて周りの目を気にしま

          周りの目、自分の目

          映画上映イベント

          2023年3月10日 スクリーンに照らされた、細い目の柔らかな笑顔が忘れられない。 島の人たちの嬉しそうな声。 その夜に見た人生で一番美しく眩しい月。 生きてて良かったと思った。 三人の仲間と共に「佐渡島が好きだから」という映画を制作した。 台本の無い5日間の佐渡島旅を一本にまとめた旅ドキュメンタリー。 2023年3月10日の「佐渡の日」に佐渡島で公開初日を迎え、その後東京と大阪で上映イベントを行った。 この三度のイベントを通して、 また、佐渡島にただいまと言えたこと。

          映画上映イベント

          映画館

          ひとりなのに気まずいくらい映画館で号泣したことがあった。 高校三年生の終わり。 ひとりで映画館に行って観た一本の映画。 思春期真っ盛りの子どもたちとなんとなく頼りない父親と母親。 日常では喧嘩や言い争いが絶えず、四人家族は一つ屋根の下で暮らしているがバラバラだった。 しかし突然、世の中の電気ガス水道などあらゆるインフラがストップする。 そんな世界で生きていくため、家族四人のサバイバル生活が始まる。 サバイバル生活の中でもはじめは四人の歯車が噛み合わず衝突ばかりしてしまう

          夜さんぽ

          同じ肉まんを同じ制服で持って。 この世界で二人だけにしか分からない世界を 二人だけで簡単に作って笑いながら過ぎていく女子高生。 小さな犬のリードを持って。 小さな犬より一歩遅れて全身で走る飼い主はきっとあの犬に前向きに生かされてる。 街で借りる小さな自転車。 大きいはずの大人二人がまるで少年のままタイヤで芝生の上を駆ける。 たった一人で大きなポテトチップスを袋で。 制服を着てるあの子にはきっと何をもっても勝てない。 空にした缶コーヒーに吸い殻を。 戻っても進んでも動か

          今とラジオと

          「今が大事」 3か月前に聴いたラジオのパーソナリティが言った。 「結局今なんだよね」 一昨日聴いたラジオのパーソナリティも言った。 そのラジオを3年前の自分に聴かせたい。 そこに流れていたのは肩肘張った「今」じゃなく、ただただ目の前にある現実であり、ありのままの今だった。 許されようとすることは暴力になる。 言いたかったことは沢山ある。 聞きたいことも沢山ある。 でも今の意味を私のものに出来なかった自信の無い自分のせいだから。 あの時があったからって前を向く自分と、

          今とラジオと

          四回目の口約束

          一週間のうちに三回の口約束をして、三回ともその約束が果たされなかったことがあった。 たかが口約束。 目に見えなくて形も残らない。 社交辞令と言い換えることだってできるかもしれない。 それでも約束じゃないか、と心の奥では信じたい気持ちも持っている自分もいた。 「付き合おうってことだって、たかが口約束じゃない」 ある友人からこう言われたときは、軽い衝撃にも似た驚きを感じた。 そんなこと、諦めたみたいに平然とした顔で言い出したら、人間はどこに救いを見いだすの。 口約束をテ

          四回目の口約束

          天気は気持ち

          天気は気持ちで晴れる。 わりと本気でそう思っているところがある。 気象予報士の方には失礼極まりないが、例えば「この日は晴れてほしい」という日の天気予報が雨であったらとりあえず信じないことにしている。 「絶対晴れる」と心の中で勝手に予報を塗り替えてみている。 そうすると案外雨が降らないことも多くて味をしめてしまった。 もちろん、自分の勝手な脳内天気予報に従って傘を持たずに外に出た結果、やはりしっかり雨に降られたという経験も何度かあるが、それでも私はある時から「天気は気持ち

          天気は気持ち

          羽音の形

          目を閉じても眠れない夜があった。 そこに、大きな理由はなかった。 なんとなく体調が良くなくて、体は疲れているのに頭の中は冴えていた。 眠れない。 そう自覚してからも何度も眠ることを試みたが、眠れない。 暗い部屋で何度もスマートフォンの画面を開いては閉じて、ついには今日の睡眠というものを諦めた。 部屋の明かりをつけて体を起こす。 まだ、窓の外は暗い夜の中だった。 家の目の前を走る大通りでは箱のようなタクシーばかりが動いていた。 何作かアニメやドラマを見て時間を過ごす

          母と娘

          母が使った孤独という言葉が、一日中ずっと頭から離れなくて、ひとり夜の公園でLINEを送った。 自分の想いや考えを、口から伝えられる気はしなかった。 "みんな幸せでも孤独は持ってて、その埋め方は人それぞれなんだろうね。 生きていればこの上なく幸せな時間も、底なしに寂しい時間もあるけれど、私の帰る場所はお母さんのところだと私は思っています。" 既読がついてから少し時間が経ってから送られてきた母の言葉を何度か読んで自分の中にも入れたら、なんだかとても泣きそうになって電話をかけ

          佐渡島が好きだから

          「佐渡島に行こう」 「フォトエッセイを作ろう」 Instagramでたまたま出会ったフリーランスの水田さんと共に、昨年の11月に新潟県にある佐渡島へと旅に出た。 勢いと感覚に任せて向かった小さな島で、たくさんの自然や文化、そしてあたたかい人たちとの出会いがあった。 そしてその旅のすべてを一冊のフォトエッセイ「佐渡島が好きだから」に綴った。 人生で初めて自分のことばをひとつの形として残したこの一冊を通して、本当に有難い感想や言葉をたくさん届けてもらっている。

          佐渡島が好きだから