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5月7日 「低学歴国」ニッポン!?博士減!?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→博士号取得者が減少を続けているのはなぜだろうか?それは日本の将来にどのような影響があると考えられるだろうか?

1888年(明治21年)のこの日、植物学者の伊藤圭介、数学者の菊池大麓、物理学者の山川健次郎など25人に日本初の博士号が文部省によって授与されたことに因んだ「博士の日」です。

博士
つい先日、日経新聞朝刊1面トップが『「低学歴国」ニッポン 博士減』でした。
なんとタイムリーな、と喜んでよいのかどうか…


ちなみに、いわゆる学位である博士(英語でDoctor)は「はくし」と読みます。「はかせ」は大化の改新以来の官職の名称だそうです。
知らなかった…

博士(はくし)になるには、博士号をとる必要がありますが、最も一般的なのが大学院の博士課程に進み、論文が大学に認められることで取得する方法でしょう。

学部、院、博士課程?と私もよく分かっていませんので、今一度全体像を確認します。
科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標2021」に、日本の各教育段階にいる学生数が1つにまとまった資料がありましたのでご紹介します(下図)。

これを見ると、2020年度に博士課程に在籍しているのは約7.5万人になっています。

この人数は、各学年まとめて、なので1学年にどれくらいいるか、という数字も確認しましょう。いずれも2020年度の数字です。

☑️ 大学学部入学者数 63.5万人
☑️ 大学院修士課程入学者数 7.2万人
☑️ 大学院博士課程入学者数 1.5万人

つまり、約1割強が大学院に、そのうち約2割が博士課程に進む、というイメージです。

博士課程の専攻別入学者数の推移は以下の通りで2000年代に入ってから減少傾向です。

最も多い保健というのは、医療系です。

特徴的なのが、博士課程入学者のうち、社会人入学者数が増加傾向にあることで、2020年度には0.6万人で全体に占める割合が4割を超えています(下図)。もしこれがなければ、減少ペースはもっと早い、ということになります。

さて、博士課程を修了した人たちの進路はどうなっているのでしょうか?理工系に限られますが、博士課程終了者の進路は7割が就職となっています(下図)。

有期雇用の割合が多いのはポスドク、任期付き教員等が多いことによるものです。また、その他が多いのは、博士課程を経た人たちはアカデミックポストを目指す場合もあり、それはポストの空き次第、という特徴からその他、とならざるを得ない、という面もあるそうです。

次に博士課程を修了して就職した人たちの職業・職種を見てみましょう(下図)。

研究者が最も多く、4割となっています。以前は2割程度だったんですね。続いて技術者が3割程度でこの割合は大きな変化はありません。研究者が増えた代わりに減少しているのが、教員で、現在では2割以下になっています。


最後に、国際比較のデータを見てみましょう。
まず、人口100万人当たりの博士号取得者数の比較です(下図)。


諸外国に比べて少ない、というか、変化がない
ことが分かります。実数で見るとさらに驚きます(下図)。

米国もすごいですが、中国もすごいですね。各国多少なりとも増やしている中で日本は徐々にですが減少傾向が続いている点が気になります。

→社会人から博士課程に進む人が増えているのは何故だろうか?



最後までお読みいただきありがとうございました。

一昨年7月からこうした投稿を続けております。
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