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#529 押してダメなら引いてみな、は組織にも有効!?

いくら言っても動いてくれない、と嘆くマネージャーの話を聞く機会があったので、思ったことを、メモ。


1、「何度言っても動いてくれない」

最近オフィスが本社機能があるビルに移りまして、他の部門の方々と話す機会が増えました。今までは周りにいなかった同じような立場(ザ中間管理職)の方と話すと色々と気づきがあって刺激になります。

その中で、なかなかチームメンバーが思うように動いてくれない。という悩み(愚痴?)がありました。「何度言っても動いてくれない」というのです。

聞けば、今のやり方を変え、もっと効果的な動きをすべき、ということを掲げて昨年末から取り組みをしているのだが、ちょっと目を離すと元に戻ってしまう。指示がわかりづらいのかと思い、結構細かく指示をしているのだが、それでも気をつけてないと、いつの間にか戻ってしまう、というのです。

確かに、何度言っても動いてくれない、という感じですね。

これはマネージャーの皆様なら一度は思ったことではないでしょうか?


2、「何度言っても動かない」のはどうして?

さて、みなさまでしたら、どうされるでしょうか?

(そもそもやれと言っていることが正しいのか、そこから検証すべきでは?という方もいらっしゃっるかもしれませんが、ここでは、内容は一旦おいておいて、チームにこう変わってほしい、というときに、どうすればよいか?ということに焦点を当てたいと思います)

考えられるのは、
☑️ より細かいレベルまで行動を指示する
☑️ より細かくトレースや進捗管理をする
☑️ 率先垂範で自ら一人一人OJTなどで徹底させる
☑️ 完璧を目指さずある程度で妥協する
☑️ そもそも諦める
といったところでしょうか?

私の経験では、一生懸命やろうとすればするほど、空回りする、と言いますか、大変な労力がかかる割には、変化になかなかつながらない、という大変残念な結果になるケースが多いです。

ここには、以下の2つの大きな見積違いがあると思います。

☑️ 慣性の強さ
☑️ 指示だけで動く場合の障害にあったときの弱さ

まず1つ目の「慣性の強さ」ですが、組織や行動を変えようとする場合に、それまでの動きの「慣性」の強さを考慮に入れない、あるいは低く見積りすぎることです。
当たり前ですが、チームに変化を求める場合、管理職は、新しい動きの方が良いと思っていますので、「良いことなんだからみんなやるだろう」という前提をおいてしまいます。そのため、もちろん、変わることは大変だとは思っているものの、その大変さを低く見積もってしまうのです。

次に2つ目の「指示だけで動く場合の障害にあったときの弱さ」というのは、いわば「やらされ感」がある状態で、現場でうまくいかないことが1つでもあると、「やっぱり新しいやり方には問題がある」という思考を強く持ってしまい、その局面をなんとか乗り越えよう、という意欲は湧かない、現場での弱さがある、ということです。

だから、「何度言ってもうまくいかない」のです。


3、「言ってだめ」なら??

では、どうすれば良いのでしょうか?

原因が「何度言っても」なのですから、「言わない」ことです。
え?というところですが、はい、「言わない」のです。

「押してダメなら引いてみる」ということです。

「言う」が「押す」だとして、何が「引く」に当たるのでしょうか?

それは、「言わせる」、つまり、「質問」を通じてメンバーに考えさせる、です。

なんだぁ、と言うところですが、そんな簡単なことですが、意外とできていないものです。

また、「質問」は「指示」に比べて時間がかかりますし(実際にはチームが変わるまでの時間を考えると時間は短いのですが)、相手から思うような回答が得られないでイライラしたりしますから、これが本当に効果につながると確信が持てないとなかなかやりきれないものです。

一方で、こうした「質問」を通じて、それに答えるために自ら考えて自らの言葉で発したもの、その結果、決めた行動、というのは、現場で多少の障害にあっても、その場で自分で考えることができる力も併せ持ちますし、強く働くそれまでの慣性を超えて動きを変えてくれる力を持ちます。
(少なくとも「何度も言われる」というだけよりも)

ただし、ポイントがあります。

それは、なるべく短期間に成果が実感できることです。

人間誰しも今までと同じように動く方が楽です。それを変えるのは本当に大変です。一生懸命変わった行動を取れるのは数ヶ月でしょう。その間に、あ、こっちの方がいいな、という実感があれば、そちらに行動が変わりますが、そうした実感がないと、だんだんと元に戻ってしまいます。


4、まとめ

いかがでしたでしょうか?

チームを変えるには、「押してダメなら引いてみる」「言ってダメなら(質問を通じて)言ってもらう」という内容でした。

自分自身の営業や管理職研修の企画、講師をした経験や、組織改善で多くの組織を見てきた経験に基づく話です。

チームが一丸となって進む場合の力の大きさ、達成感は大変なものがある一方で、一旦それが惰性となるとそれを変える力は並大抵のものではありません。
また、指示待ち人間、と言われるように、単なる指示だけで動く場合には、指示以外のことが起こると対応できないことが発生します。

こうしたことを「口を酸っぱくしていう」ことでカバーできるか、というと難しいでしょう。

わからせる、だけでは、やりきる力にはなりません。

自ら考え、納得して動いてもらう、ということが必要なのです。

そして、そのための手法が「質問」なのです。


最後までお読みいただきありがとうございました。
またまた個人的な経験に基づくメモでしたがどこか参考になるところがあればうれしいです。
とはいえ、わかっちゃいるけど、これ、やるとなると、本当に大変です…





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