#526 「報告フォーム」で報告を求めると、大事故が起こる!?
知りたいことが書かれていない!と報告フォームを作ると、ボロボロとこぼれ落ちることをあるなぁ、と思ったので、メモ。
1、できないときほど求められる報告。
ザ中間管理職です。上にも2階層、下にも2階層あります。
ここ半年、私の部門は業績的に厳しく、それは会社都合、と言う側面もあってマネジメントの理解は得られているものの、とはいえ、報告は多く求められます。
これは共通だと思うのですが、うまくいっていない時ほど求められるのが報告ではないでしょうか?
うまくいってないからマネジメントは何が起こっていてそれに対してどのような手を打っているのか、そしてそれは本当に効果的なのか、回復までにどれくらいの時間がかかるのか、を詳しく知りたいのです。
分かります。先の見込みがないのであれば、その資源を他に振り向けたいですし、株主にも説明をしなければなりません。
分かるのですが、その報告を求められる当事者となると、なかなかに辛いものです。。
2、知りたいことは書かれていないのが「報告」。
一方で、現場から上がってくる報告というのは、「他責」です。
シェアは健闘しているが市場規模が縮小している、競合の値引きについていけない、競合の新商品が自社商品の売りだったところを潰してきた、などなど。。
もちろん、一生懸命やっていることに間違いはありませんから、それでも数字がいかないのであれば、その原因は「自分たち以外」となる報告となるのは必然です。
でも、そのまま報告しても「じゃぁ、どーすんだ」となりますので、現場に再度何が起こっているのかをヒアリングしたりすることになります。
このように、報告には知りたいこと、は書かれていないものなのです。
3、「報告フォーム」誕生と「報告の作業化」。
このようなケースで多いのが、「報告フォーム」を作ることです。要はマネジメントから聞かれること(聞かれるであろうこと)を項目として明確化して、それを埋めてくれ、というものです。
そこには、市場の状況やシェア、競合の状況やらはもちろん、目標未達の場合の要因を他責だけでなく自責も分けて欄を設けて他責だけにならないようにしたりします。さらには、営業だけで短期的に(商品などはそのままで)できる打ち手の欄もあったりします。
となると、どうなるか?
最初こそ四苦八苦して埋めてきます。どうしようか、と考えますから、効果的だったりします。
でも、それも最初の2、3回です。
実は、報告フォームというのは、一度固定してしまうと、単なる「作業」になります。特に、項目が多ければ多いほど、です。
なぜなら、報告を求める方も、実は「上から聞かれる(聞かれそう)なこと」を幅広に羅列しただけで、まとめて報告に使うだけです。
もちろん、最初こそ上がってきた報告をみてツッコむこともしますが、そもそも報告のために集めている情報なので、中身は報告するために辻褄さえ合っていれば良いですし、いちいちチェックなんてしなくなります。
となると、現場も「あ、これはツッコまれないんだな」ということが分かってきますので、作業となります。つまり手は動かしますが、頭を動かさなくなります。
4、そして大問題発生!?
で、この「報告の作業化」が定着すると何が起こるか?
実は、大変恐ろしいのですが、本来知らなければならないことを見落として重大な問題を起こすリスクがどんどん高まっていくのです。
「報告フォーム」は知りたいことを現場から吸い上げるために作られるものですが、VUCAの時代、それで十分、というのはほんの数ヶ月ではないでしょうか?
現場はとにかく「報告フォーム」を埋める作業で報告義務は果たしている認識です。面白いもので、報告を求められていないことに関しては、文字通り「見えなくなる」傾向があります。
自社商品の属する市場規模は求められているので常に気にしているが、代替可能な別の市場の登場やその成長が目に入ってこなかったり(この場合、頑張ってシェアは維持している、と書けるのでそこで思考停止になったりします)、競合の新商品の対抗策に時間がかかる方法を選択してしまったり(本当は新商品をよく研究すればクイックにすぐにできる対抗策もあるのに担当者からの最初の報告(言い訳)を鵜呑みにしてしまい、その他のことを考えない)、といったことが起こるのです。
それら報告を取りまとめている本部でも作業になっており、気付けない。
となると、気付くのは、問題が大きくなり嫌でも目に入ってくるようになってから、ということになるのです。
5、まとめ(解決策??)
いかがでしたでしょうか?
厳しい時ほど報告が求められ、でも知りたいことがないために、「報告フォーム」が作られるものの、それがワークするのも最初だけ、それだけでなく、最後は大問題が起こる(かも)、という話でした。
かなり極端に書きましたが、皆様の周りでは同じようなことはありますでしょうか?
過去、業務改善や組織改善という仕事をしていましたが、問題が起こる組織パターンの一つにこうした「報告フォーム」依存もありました。
かっちりと決めれば決めるほど、項目が多ければ多いほど、そうした問題が発生しやすくなるようです。
その原因は、繰り返しですが、「報告フォーム」で求められる以外のことが「目に入らなくなる」ことです。
「報告」と一言に言いますが、するほうも求めるほうも、本当に難しい。
正解は私も持ち合わせていないのですが、現時点では、「誰もが共通の認識を持てる数字を元に差分を埋めるアクションを質問していく」ということが良いと考えています。
未達の要因は聞きません。あくまで足りない分を埋めていくアクションに焦点を絞って質問を繰り返していくのです。
次に、そのアクションを貫徹させるための方法をなるべく具体的に質問します。いつまでに、誰が、何を、どこまでやるのか、というようなことです。
資料は作りません。業務システムなどで全員が共通に取れる、見れる数値だけで議論します。
そして、そのアクションを短いサイクルでチェックするのです。
このチェックをきちんとしないと、全て無駄になります。
あ、最後はまた当たり前、の結論でしたね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
例によって個人的なメモでしたがどこかお役に立つところがあれば嬉しいです。
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