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エリック極上ライブ

 ギターの神様エリック・クラプトン。2023年も日本にやってきてくれた。日本武道館公演通算100回を達成した日本びいきだ。
 そのエリックの数あるコンサートの中でも評価が高いのはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで1990年代初めに行ったライブである。
 90年1月18日から2月10日まで行われた18回のパフォーマンス。そして翌年2月5日から3月9日まで開催された記録的な24回連続公演。
 これら42回の公演の多くはフィルムで記録されているが、30数年を経た今、ベストパフォーマンスを選び抜いて編集、4Kで再度作られた。
 映画『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』は、彼のデビュー60周年記念として、ここ日本では2023年6月9日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、UPLINK吉祥寺などで公開される。
 セットリストは前奏を含めて17曲。代表曲「いとしのレイラ」、クリーム時代の「ホワイト・ルーム」、ボブ・マーリーのカバーである「アイ・ショット・ザ・シェリフ」、ボブ・ディランの楽曲をとりあげた「天国への扉」、妻パティに捧げた「ワンダフル・トゥナイト」を含む。
 ブルース、ロック、オーケストラ。クラプトンという十字路でさく裂する極上の映像と音。およそ2時間にわたる至高のライブだ。
 ミュージシャンの青山陽一氏は映画の公式ページで24ナイツ公演のタイミングについて語っている。「それまでのキャリアで築いてきたブルースと自分の折り合い方を、変化していく音楽シーンの流れにも沿わせつつ納得のいく形を模索していたのがエリック・クラプトンの80年代だった」。
 「悪癖だったアルコールの問題も抱えつつ試行錯誤を繰り返してきたが、『ジャーニーマン』を作り上げた80年代末になると吹っ切れた様子も窺え、90年代からの道行きにも新たな方向性が見えてきたように思う」。
 エリックのほかの出演者は、マイケル・ケイメン、フィル・コリンズ、アルバート・コリンズ、バディ・ガイなど。
 監督は、音楽のライブ映像を得意とする英国における第一人者であるデヴィッド・バーナードが務めている。
 全曲歌詞の日本語訳がついているのがうれしい。

 新たに編集が成されて生まれ変わった24ナイツ公演だが、背景にはエリックの息子コナーの事故死という悲しい出来事があった。91年3月20日、高層マンションの53階からコナーが転落死したのである。
 この悲劇が起こったのち、エリックは2年分のコンサート音源からライブアルバムを制作しようとしていたが、精神状態が悪かった。プロデューサーのラス・タイトルマンに選曲が全面的に任され、91年10月にCD2枚組『24ナイツ』が発売されたのだ。
 代表的な15曲が選ばれている。だが2年42夜にわたるコンサートの素材は膨大にあったはずで、あくまでもダイジェスト的だった。
 今回の映画で演奏を堪能出来る全17曲中、オーケストラによるプロローグを含めると、13曲がこれまで公開されていなかったものだ。その代わり、『24ナイツ』収録曲で落とされたものは11曲だが、ダブりは少ない。
 詳細は、TOP - 『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』公式サイト (onlyhearts.co.jp)まで。

 映画の上映に合わせて、エリック・クラプトン『ザ・ディフィニティヴ・24ナイツ』が2023年6月23日に国内発売される。
 ○『ザ・ディフィニティヴ・24ナイツ(スーパー・デラックス・ボックス)(6SHM-CD+3Blu-ray)(完全生産限定)』(WPZR-30961/69)定価35200円(税抜32000円)
 ○『24ナイツ:ロック(2SHM-CD+1DVD)』(WPZR-30952/54)定価6380円(税抜5800円)
 ○『24ナイツ:ブルース(2SHM-CD+1DVD)』(WPZR-30955/57)定価6380円(税抜5800円)
 ○『24ナイツ:オーケストラ(2SHM-CD+1DVD)』(WPZR-30958/60)定価6380円(税抜5800円)

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