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鮎川誠と家族とロック

 2023年1月29日、鮎川誠は惜しまれつつこの世を去った。74歳だった。40年以上にわたってご機嫌なギターを鳴らし続けてくれた鮎川さんと愛妻シーナさんら家族の日々を描いた映画がやって来た。
 その映画「シーナ&ロケッツ 鮎川誠~ロックと家族の絆~」(監督・編集:寺井到、配給:KADOKAWA)が2023年8月11日(金・祝)に福岡県先行公開された。同25日(金)には全国ロードショーされる。

 鮎川誠。福岡県久留米に生まれた。1975年にブルース・ロック・バンド「サンハウス」の一員としてレコード・デビュー。翌年、シーナと結婚。サンハウス解散後は「シーナ&ロケッツ」を結成して上京した。
 79年には細野晴臣が作曲とプロデュースで関わった「ユー・メイ・ドリーム」が大ヒット。以来、約36年間をシーナとともにバンドで転がり続け、2015年にシーナが急逝してからもバンドを続けた。
 余命5か月の宣告を受けたが「死ぬまでライブをやりたい」という鮎川さんを家族がサポートした。次女の純子さんはマネージャーとして鮎川さんを支えた。末娘のルーシーはボーカルとして参加して、ツアーに同行。
 揺るぎないロック哲学とロックの教養を持った鮎川誠という唯一無二のギタリストはまた、妻と3人の娘たちと過ごす時間を何よりも大事にした。
 「生活とロックはイコールという世界に、シーナが引き込んでくれたんだと思う」。そう語られる本作は、家族との穏やかな日常を大切にしながらロックに生涯を捧げた鮎川誠の、胸を打つドキュメンタリーである。
 2023年春に開催されたTBSドキュメンタリー映画祭で上映された「シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢」をもとに、ゆかりの人物へのインタビュー映像や秘蔵の未公開映像を加えて再編集した。


 初期シーナ&ロケッツの演奏シーンから、亡くなる2か月前に行われた「シーナ&ロケッツ45周年ライブ」まで、多数のライブ映像に加え、「ユー・メイ・ドリーム」の初期バージョンの貴重音源など、音楽ファン垂涎の映像がふんだんに盛り込まれている。
 「優しいことがカッコよく見える人は他にはいない」と鮎川にとことん惚れ込んだという寺井到監督。笑顔でロックを続けた日本で最も愛されたロックンロール・ギタリストの素顔と、最後までステージに立ち続けたいという情熱、そして生涯見続けた夢とは・・・

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