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若竹七海 「さよならの手口」 読書感想

こんにちは、ジニーです。

今回の読書感想は、大好き若竹七海さんの「葉村晶シリーズ」です。
シリーズ4作目(暗い越流を入れると5作目かな)にあたる「さよならの手口」です。

前回の長編だった「悪いうさぎ」から13年ぶりの長編。
そのためか、いろんな要素がてんこ盛りに盛り込まれた感じの作品です。

■主人公はハードラックな女探偵

主人公「葉村晶」は女探偵。
クールでニヒルで口が悪く、納得いくまで真相を追求するため何かにつけてトラブルに巻き込まれる体質であり、ケガも絶えない性分です。

そんな葉村晶は、本作では「MURDER BEAR BOOKSHOP」というミステリー作品だけを取り扱った本屋のバイト店員をしています。
というのも、それまで勤めていた探偵事務所が廃業となり、そのまま再就職に乗り出せなかったためです。
なので、物語の冒頭では探偵としてではなく、本屋としての依頼が舞い込むところから話が始まります。

もちろん、葉村晶のことですから、単純に本屋の仕事で終わるわけはなく、天性の悪運で、隠されていた事実を明るみにしながら、大けがを負い入院する羽目になります。

そして、それで話が終わるはずもなく、入院先の病院で、今度は探偵としての仕事の依頼を受けることになります。

その依頼は「生き別れとなった娘を探してほしい」というもの。
いわゆる人探しの依頼なわけですが、その雇い主の周辺では昔から人がいなくなるということが何度か発生しており、単なる人探しだった依頼は少しずつ姿を変えていき、大きな事件へと発展していきます。

■見どころは、謎が謎を呼び繋がり回収されるストーリー

本作、「葉村晶シリーズ」の面白さは、葉村晶のハードラックを堪能するところ意外に少しずつ大きくなった謎が、しっかりと収束して回収されところなんですよね。
この過程が、本当に面白いんですよ。
前半は謎が謎を呼び、中盤でそれらの謎の背景がおぼろげながらに見えてくる、そして終盤、謎が収束して大きな事件となり姿を現す。

もうね、読み始めたら止まりません。
次が読みたくてたまらなくなります。

僕はこれまでにも「葉村晶シリーズ」を読んできましたが、個人的には本作が一番面白かったです。
これまでのシリーズの中で一番きれいに円を描くように物語が繋がっていった感じがします。

■読むのに心の準備が必要な理由(個人的)

もうね、病みつきです。
ただ、読んでいる途中、本当にかわいそうになるくらい葉村晶が怪我するし、襲われるし、苦労が徒労に終わるし、散々なんですよ。
だから面白い作品ですけど、読み始めるまでにはちょっと心の準備が必要な小説でもあります。

既出作品では「暗い越流」と「不穏な眠り」がまだ未読ですのでまた機会を見つけて、しっかりと心の準備をしたうえで手に取りたいと思います。

とにかく面白いシリーズ。
超絶お勧めです。

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