ロックヒストリー ロックの歴史 その3

ロックヒストリー ロックの歴史 その2より続き

 50年代も後半に差し掛かる頃にはロックミュージックのポピュラー音楽界における地位は決定的なものとなり、関係者や音楽の道を志す若者達はこぞって「次のエルヴィス」の座を目指し始め、徐々にポストロックンロールとでも言うべき流れが顕著になり始めた。

それは旧来の白人エンターテインメントの中心地であったニューヨークのブロードウェイ周辺や当時の大衆娯楽のメインであった映画産業が盛んなハリウッド、そしてカントリーミュージックの伝統が根付くナッシュビル近辺にも大きな影響を及ぼした。

 白人大衆ポップのメッカであったブロードウェイでは若手の作曲家達が活躍し始めた。彼らの作品は伝統的なポップスのツボを心得えつつ、新たなロックンロール的感性をも加味した軽やかなノリの「ポップンロール」で高いヒットポテンシャルを有し、コンペ方式の合理的なシステムで次々と生まれる楽曲群は、ポールアンカ、ニールセダカ、リッキーネルソン、フランキーアヴァロン、ジョニーシンバル、ボビーヴィー、ボビーライデル、ジョニーティロットソン、ジーンピットニー、ブライアンハイランド等の男性歌手、コニーフランシス、ブレンダリー、ジョニーソマーズ、マーシーブレーン、リトルペギーマーチ、ダイアンリネイ、リトルエヴァ等の女性歌手によって歌われヒットチャートを賑わした。現在も「オールディーズ」と呼ばれ広く人々に親しまれているような曲はこの土壌から生み出された物がその多くを占め、所謂「60年代アメリカンポップス」のイメージを作り上げた。

 又シーンを支えた若手作曲家達の中にはもう少し後になってアーティストとして表舞台で活躍するキャロルキングやバートバカラックも含まれており、アメリカンポップスの礎を築いた。
  

 2度目の世界大戦の暗い記憶も過去のものとなり始めた1960年代初頭、時代は白黒からカラーへ、次々と発売される家電製品やテクノロジーやスピードアップする華やかな世相を反映するかのように、音楽もカラフルで楽しげなものが好まれるようになり、人種の壁や様々な逆風と対峙したレベルミュージックしてのロックの姿は過去のものとなりつつあった。



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