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計画性などどこにもない。行き当たりばったりなハロウィンの一日。

ホットドッグ用のソーセージを10本とパンを8個。

10/31は娘の学校の秋祭り。保護者用に貼り出された「持ってきてほしいものリスト」から、私はそれらを選んで名前を書いた。

誤解が生まれる余地のないものにしなければ。例えば “Undecorated Sugar Cookies & 1 tub of Icing” なんて、何の物質を求めているかはなんとか理解できても、どの商品をどれだけ買うのが正解なのかが全くわからない。

秋祭りの前日、30日の朝に持ってきてねと書かれたそのリスト写真に撮った。持参の期限も、ホットドッグのソーセージとパンが何個ずつなのかも、覚えていられる気がしない。

そして30日の夕方。娘を迎えに行ったときに先生から「ホットドッグなんだけど…」と言われるまで、きれいさっぱり忘れていた。

写真を撮っただけで覚えていられるわけがないだろ!自分のポンコツ具合を正確に把握していない自分に腹が立つ。

当日の朝でも間に合うから!と先生に言われ、胸を撫で下ろす。すぐさま夫にソーセージとパンの調達を依頼した。

さて当日の朝。ソーセージはギリギリまで冷蔵庫に入れておきたいところだけど、忘れたくないので早めにパンと同じ袋へ入れて準備しておく。ちょっとの間だし、寒いし大丈夫だろう。

娘の着替え、朝ごはん、歯磨き、と朝はいつもバタバタだ。でも今日は秋祭りでお弁当が不要な分、いつもよりだいぶ楽だった。

無事娘を学校へ送り届けて気が付く。

ソーセージとパン、忘れとるがな。

やっぱり私は自分のポンコツ具合を正確に把握できてない。なぜソーセージとパンを同じ袋に入れただけで満足したんだよ!車の鍵と同じところにかけとけ!!

自分にうんざりしながら急いで家へ帰り、また学校へ戻る。ミーティングが9時からだったのが不幸中の幸いだ。不幸でもなんでもなく単なる不注意だけど。

秋祭りは11時から。教室はたくさんのかぼちゃやおばけのモチーフで飾り付けられていて、これをハロウィンと呼ばずに何と呼ぶ?状態なんだけど、キリスト教会が運営する学校なので、ハロウィンは公には祝えないんだろう。

ボウリングやら輪投げやら、たくさんのミニゲームと、それぞれに小さな景品が用意されている。
各ゲームに先生がいるわけでもなく、勝手に遊んで勝手に取れや形式なのには笑った。ガバガバじゃん!モラルが問われる。大した景品はなく、親サイドとしてはひとつも要らないことで成立している。

各自でゲームを楽しみ、みんなで無事にホットドッグを含むお昼ご飯を食べ、三々五々帰っていく。いつもは午後も学校にいる娘だが、今日はこのタイミングで全員強制帰宅である。

つまり午後は娘と二人きり。

うーん困った、プランなし。

前々からわかっていたのに、このざま。計画性というサプリがあれば毎日服用したい。このまま帰宅しても平静を失う自分しか想像できないので、Chick-fil-Aに行くことにした。アメリカの大人気ファーストフード、チキフィレ(正式?にはチックフィレと表記するみたい)。特別美味しいとかではないんだけど、店舗内にプレイグラウンドがあるので子持ちにはありがたい。

更にチキフィレのいいところは、バーガーセットのサイドでフルーツを選べるところ。ちょっとプラス料金はかかるけど。娘用にフルーツを頼み、私はバーガーにした。アメリカのファーストフードはソフトドリンクが飲み放題なのも助かる。

娘は偶然居合わせた子どもたちと楽しく遊び、午後の大半をチキフィレで過ごした。子どもはすごい。大人になったら、見知らぬ人といきなり遊ぶことなんて不可能だ。

ただ私自身は、初対面の子とすぐ打ち解けられるような子どもではなかったと思う。小さい頃は父や母に様々な集まりに連れて行かれ、そこにはだいたいの他にも子どもがいた。でも私はその得体の知れない子どもたちとどう過ごせば良いかわからず、親のそばを離れなかった気がする。

だから知らない子たちにどんどん絡んでいく娘の勇敢さには驚く。どこで身に付けたんだその社交性は。

もちろん初対面の子ども同士、いろんなことが起きる。この日も、私的にはきゅっと胸が締め付けられる出来事があった。なかなか文字では伝えるのが難しい出来事だったので、Podcastで話してみた。よかったら聞いてみてください。

さて、色々あったチキフィレを後にして帰宅した。ハロウィンの夜は近所で Trick or Treat に興じるのが子持ちの定番。

アメリカに来て最初に住んだアパートでは、誰もTrick or Treatをやっていなかった。ちょっとがっかりしたものの、きっとアパートではなく一戸建てが集まる住宅地でするものなんだろう、と自分を納得させていた。

ところが去年のハロウィン。帰宅した夫が開口一番に「ねえ!外でけっこうTreak or Treatしてるよ?!」と言ったのだ。
まさかの事態にびっくり。アパートだからとか関係ないのか!急いで娘をコスチュームに着替えさせた。

外に出ると、お菓子のたっぷり入ったバケツを持ち、椅子に座ってくつろぐ住人がチラホラいた。
通常(?)の Treak or Treat では、家のドアを一軒ずつノックするが、ここはアパート。一部屋ずつ回るのはかなり手間だし、非効率だ。お菓子を用意していないとこだって相当数にあるはずだし。

ずらり、というほどたくさんではないが、アパートの道の両サイドに並んだお菓子を持った人々。子どもには夢のような光景では。楽しむ娘とは裏腹に、どんどん袋に増えていくお菓子という名の砂糖の塊に、私は戦々恐々としていた。全部食べたら砂糖の過剰摂取で死にそうだ。

という思い出を胸に、今年は娘と二人で Treak or Treat へ繰り出した。

あれ?誰もいない?

ちょっと早かったのか、どこにも誰もいない。え、今日ってハロウィンよね?今のところただコスプレして歩く親子になっちゃってるけど。
途中、すれ違った車が窓を開けて "Happy Halloween!" と声をかけてくれた。アメリカのこういうところは本当に好き。そして今日はやっぱりハロウィンだよね、と胸を撫で下ろす。

トボトボと歩く私たち。「お菓子は…?」と尋ねてくる娘に、返す言葉がない。
どこかに、どこかにいないか?!歩きながら首を全方向にブンブン振り、絶対に見落とさない精神で探す。

すると遠く斜め後ろに、大きなボウルのようなものを抱えて歩く男性が見えた。遠いのでボウルの中身が何かは確証が持てないが、ハロウィンに大きなボウルを抱えていたら、中身はお菓子以外認められないだろう。一縷の望みをかけ、男性に向けてブンブン手を振る。お菓子?!それはお菓子なの?!と、振る手に思いを込めて。

割と遠くにいた彼は私たちに気が付き、こちらへやってきた。ハロウィンにコスプレ二人組に近づいてくるからには、もうそのボウルの中身はお菓子じゃないとは言わせないぞ。

そしてもちろんボウルの中身はお菓子だった。やったー!しかも「好きなものを選んで取っていいよ」形式ではなく、大きな手でガッサーと大量のお菓子を掴み、娘の袋に入れてくれた。一気に何軒分もの収穫を得た。

その後チラホラとお菓子を配る人たちに出会うことができ、Treak or Treat したと言えるでしょう、という量のお菓子を得た。

しかし去年よりは少なくなった印象で、楽しみにしていた娘はがっかりしたのでは、と思い「ちょっと少なかったね」と声をかけると、「でもたくさんもらったよ??」と心底不思議そうに返してきた。こんなにあるのに何をそんなに残念がっているのだ、と言われたようでちょっと母は恥ずかしくなった。ポジティブでいると人生は何倍も楽しいね。

こうしてたくさんの砂糖の塊と共に、私と娘は帰宅した。目下の課題は、この砂糖の塊たちをどのように処理するかということである。



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