強炭酸

潤いと刺激とパンチのある毎日がいいです。

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  • 5分間小探訪(改め)

    できるだけ毎日、5分くらいで、詩のようなものを投稿しようと思います。

  • 雑感

    業務連絡とか、取るに足らない話とかはこちらです。

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マガジン「5分間小探訪(改め)」にて掲載している詩のようなものを月別にアーカイブしています。 マガジンからも月別にはご覧いただけますが、探しづらい場合に使ってみて…

強炭酸
3か月前
2

彼方

今日を終えて眠る少年の隣には 今まさに命を終える老人がいた 飽食に欠伸をする下卑た男の隣には 飢えて散漫な目をした少女がいた 退屈しのぎに蟻を潰す子どもの隣には ま…

強炭酸
14時間前
1

9,9,9

9時9分 旅に出る9日前 心に決めた9つの約束 どうしても会いたい9人の旧友 君に黙っていた9つの嘘 さよならの9分後 揺り戻す9年前の記憶 苦しいことにはさようならと 9人目…

強炭酸
1日前
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幾何

思ったよりも複雑になってしまった世界に 産み落とされてもう何年も経つ 空には無数の電波塔とそこから伸びる稜線 どこに繋がっているのかも定かではないのに さも世界の全…

強炭酸
2日前
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old

何の気なしに通った道 気まぐれに出会った風景 こともなげな思い出ばかり浮かぶ日 焼き肉、美味しかったな 僕にとって人生は贖罪で 誤ったこと 謝ったこと 須く首を垂れ…

強炭酸
3日前

忘れること

大事なこと 大事じゃないこと 大体のことを忘れてしまうから それがきっと人間なんだろう かつてここにあったもの 賑わいや喜びや悲しみの夜もあった もうすぐきっと自然…

強炭酸
4日前

考え事

頭の中 いつも考え中 まとまったり 崩れたりを繰り返す 頭の中 いつも五里霧中 見えてきたり ぼやけたりの繰り返し 言葉のタワー いつも組み立て中 積み立てたり 崩した…

強炭酸
5日前
1

そよぐ

老舗の定食屋さんの暖簾が 柔らかい微風に揺れている 昼の光が窓辺に差し込んで テーブルのグラスがじっと汗をかく 騒がしくなく静かすぎず いくつもの世界が入れ替わり立…

強炭酸
6日前

胡蝶蘭

誰にも邪魔されないように 夜明けとも 夕暮れとも取れる時間に 静かに家を出た ほとんど誰もいない街の ほとんど誰も渡ったことのない歩道橋を ひとりで歩いている 何を…

強炭酸
7日前

深い空

青い空に足をつけて せーので飛び込む 深く深く降りて行く 心地よい冷たさに沈む 怖くなんてないさ 少し泳ぎたいだけ 少し揺蕩うだけ 柔らかに揺れる球体 美しい構造物の…

強炭酸
8日前
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モーメント

変わらないものは無いし 終わらないものは無いのだろう 生まれてからずっと 死に向かって動き続けている その世界は滑稽か? 素粒子は気まぐれなのだろう 動くことも止ま…

強炭酸
9日前

止まるな

何があっても止まるな 心まで止まってしまうから 誰に言われても止まるな 行動原理の中心にいるのはあなた 例えば嘘を吐かれたとして 蹴散らして進めば良いだろ? 例えば…

強炭酸
10日前

昭和99年

晴れた空に飛行機雲が走る 5月 よく晴れた日 この木は一体いつからここにあるのだろう とこしえに産み出される木漏れ日 昭かなものはいつの間にか令として 自由は随分と…

強炭酸
11日前

ロマンチカ

絵本の中から落ちたように 鮮やかで瞬く光 憧れていたんだ 都市の隙間を縫うように 環状線に乗る血液 見蕩れていたんだ 割れる喝采のように 溢れる電飾の脈動 惚けていた…

強炭酸
12日前
2

come / go

温度のない夏に 凪いだ道すがら 思い出の場所まで もう会えない君に会いに 待ってよ おいでよ こっちよ どこ? 音のない昼下がり 誰もいない国道 止まる時間 グラスに張…

強炭酸
13日前

次はどちらへ向かいましょうか

よく眠れましたか? ただの連続音に さまざまな意味を持たせて 眼差しの奥に たくさんの慈しみを込めて 今日はどんな日でしたか? 記号の羅列に 優しさの魔法をかけて …

強炭酸
2週間前
2
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マガジン「5分間小探訪(改め)」にて掲載している詩のようなものを月別にアーカイブしています。
マガジンからも月別にはご覧いただけますが、探しづらい場合に使ってみてください。
随時更新予定。

1月

1 無菌室
2 今際の際の別れの言葉
3 5
4 まやかし
5 2番街
6 煙
7 Cutty Sark
8 蜃気楼のまち
9 嵐を待つ人
10 SinあるいはCos
11 空を分つ
12 夢の中へ

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彼方

彼方

今日を終えて眠る少年の隣には
今まさに命を終える老人がいた
飽食に欠伸をする下卑た男の隣には
飢えて散漫な目をした少女がいた
退屈しのぎに蟻を潰す子どもの隣には
また已む無く1人の命を奪う兵士がいた

遠くのものはあまりにも遠すぎて
まるで地図の端々のように
隣り合い知らん顔をしている

ごらん
暑い雲の彼方には夕焼けが
その手前に雨を降らせ
空の上は晴れているように
ひとつ過ぎれば他人ではいられ

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9,9,9

9,9,9

9時9分
旅に出る9日前
心に決めた9つの約束
どうしても会いたい9人の旧友
君に黙っていた9つの嘘

さよならの9分後
揺り戻す9年前の記憶
苦しいことにはさようならと
9人目の悪魔が言う

ねえ、気づいた?
9行前の9分前
オクロックの96時間後
表と裏がくるりと回る
ようこそ、ここが極楽浄土
遠慮しないで

ロックンロールは狂ったら勝ち
緻密に黒く塗りつぶせ

幾何

幾何

思ったよりも複雑になってしまった世界に
産み落とされてもう何年も経つ
空には無数の電波塔とそこから伸びる稜線
どこに繋がっているのかも定かではないのに
さも世界の全てかのようにありがたがって生きている
幾何

自然の中に聳える人工の動態
何も育まず何も傷つけない
とはいえそこに成り立つ誰かの人生もある
いったいこれは何なのだろう
幾何

隣人は誰だろう
後ろの席のあの人は誰だろう
もしかして目の前

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old

old

何の気なしに通った道
気まぐれに出会った風景
こともなげな思い出ばかり浮かぶ日
焼き肉、美味しかったな

僕にとって人生は贖罪で
誤ったこと 謝ったこと
須く首を垂れる日々
本当はね、楽しかったんだよ

夢の中できっと君は
誰も責めずに笑っているのだろう
変わらないままずっと
屈託のない顔で

日記の中で僕は
「ごめんね」より一つだけ多く
「ありがとう」と言うんだ
いつか訪れる酬いの日々に向けて

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忘れること

忘れること

大事なこと 大事じゃないこと
大体のことを忘れてしまうから
それがきっと人間なんだろう

かつてここにあったもの
賑わいや喜びや悲しみの夜もあった
もうすぐきっと自然に還る
いろいろなものがゆっくりと思い出になる

隠れてしまっても消えてしまうわけじゃない
押し並べてその上にまた新しい物語の種が蒔かれる
それがきっと大きな命の営みなのだろう

大事なこと 大事じゃないこと
大体のことは忘れてしまう

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考え事

考え事

頭の中
いつも考え中
まとまったり
崩れたりを繰り返す

頭の中
いつも五里霧中
見えてきたり
ぼやけたりの繰り返し

言葉のタワー
いつも組み立て中
積み立てたり
崩したりの繰り返し

言葉撓む
いつも張りつめない
張り巡らせ
絡まって網になる

あなたのこと
いつも考える
私のこと
思って欲しいのにな

そよぐ

そよぐ

老舗の定食屋さんの暖簾が
柔らかい微風に揺れている
昼の光が窓辺に差し込んで
テーブルのグラスがじっと汗をかく
騒がしくなく静かすぎず
いくつもの世界が入れ替わり立ち替わる
交差点のような店内は
それでいて静謐なルールを孕む

春でも夏でもない曖昧さが
僕は好きだった
誰ともつかぬ幸福と憂鬱の残滓
どちらともない感情が僕は好きだった

やがて俄かに一筋吹いた風が
遠く黒雲を連れてくる
もうすぐ雨が

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胡蝶蘭

胡蝶蘭

誰にも邪魔されないように
夜明けとも 夕暮れとも取れる時間に
静かに家を出た

ほとんど誰もいない街の
ほとんど誰も渡ったことのない歩道橋を
ひとりで歩いている

何をしたいのか
もしくは何もしたくないのか
考えるのも億劫で
ただひたすら考えなくても良いように
歩いたり止まったりを繰り返す

もうすぐ朝になるのだろうか
それとも夜になるのだろうか
いったい僕は誰で
みんなどこに行ったのだろうか

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深い空

深い空

青い空に足をつけて
せーので飛び込む
深く深く降りて行く
心地よい冷たさに沈む
怖くなんてないさ
少し泳ぎたいだけ
少し揺蕩うだけ

柔らかに揺れる球体
美しい構造物の線形
ごらん
ここには沢山の思念が泳いでいる
それは例えば
昨日亡くなった誰かの無念
明日産まれる子どもに宿るべき
誰かの最後の別れ

逆さまの世界
創り出したお釈迦様
まさかそんな
華奢なままで

出会いであり
揺るぎなき世界

モーメント

モーメント

変わらないものは無いし
終わらないものは無いのだろう
生まれてからずっと
死に向かって動き続けている
その世界は滑稽か?

素粒子は気まぐれなのだろう
動くことも止まることも
ただの暇つぶし
何者にも縛られない
僕たちに為す術はない

瞬間を切り取ること
フィルムに載せたそれだけが
少しだけ許された自由として
僕たちは滑稽か?

赤い空を見せたかっただけ

止まるな

止まるな

何があっても止まるな
心まで止まってしまうから
誰に言われても止まるな
行動原理の中心にいるのはあなた

例えば嘘を吐かれたとして
蹴散らして進めば良いだろ?
例えば裏切られたとして
切り捨てて前を見れば良い

自分を信じられなくても
気持ちの良い方だけを見て
誰も信じられなくても
私だけは見ていてあげる

誰かのせいにするな
誰のためにも生きるな
ただ止まるな

あなたの世界はあなたのもの

昭和99年

昭和99年

晴れた空に飛行機雲が走る
5月 よく晴れた日
この木は一体いつからここにあるのだろう
とこしえに産み出される木漏れ日

昭かなものはいつの間にか令として
自由は随分と不自由になった
こんな時代を誰が想像したのだろう
真綿を巻きつけ合って死に向かう日

ここはディストピア?
いや、ユートピア
けれどもきっといま
失われるさ ひとひら
ここはユートピア?
いや、ディストピア
さりとて知っている
覆る 

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ロマンチカ

ロマンチカ

絵本の中から落ちたように
鮮やかで瞬く光
憧れていたんだ

都市の隙間を縫うように
環状線に乗る血液
見蕩れていたんだ

割れる喝采のように
溢れる電飾の脈動
惚けていたんだ

ただの街灯から
目を瞑れば
衝突する光の粒
音のない雷のような
眩いロマンチカ

come / go

come / go

温度のない夏に
凪いだ道すがら
思い出の場所まで
もう会えない君に会いに

待ってよ
おいでよ
こっちよ
どこ?

音のない昼下がり
誰もいない国道
止まる時間
グラスに張り付いた水

瞬きの先に
風鈴揺らす風
湿る空気と夏の気配
いつかの君に会いに

次はどちらへ向かいましょうか

次はどちらへ向かいましょうか

よく眠れましたか?

ただの連続音に
さまざまな意味を持たせて
眼差しの奥に
たくさんの慈しみを込めて

今日はどんな日でしたか?

記号の羅列に
優しさの魔法をかけて
触れる肩に
丁寧ないたわりを乗せて

どこへでもどこまでも
いつだっていつまでも
なんだって何でも
思うまま 気のまま

次はどちらへ向かいましょうか