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答えは、勇気の要る方にある。〜山田ズーニーさんの表現力ワークショップで見つけたこと〜

山田ズーニーさんの「表現力ワークショップ」に参加した。

小手先の技術を学ぶ場じゃない、「書く」とはいったい何なのかを体験し実践するワークショップだった。
まるで、自分が隠していた正直な思いに再会し、向き合って抱き合い背中をバシバシ叩き合う熱いハグのような時間だった。終わった後の心地よい疲労感は、出せる力を出し切った爽快感を伴っていた。
朝から夕方までの間で(あっという間だった!)、今までまともに見つめようとしなかった夢が、ムクムクと膨らんで、これからはわたしをどんどん行きたい場所へ連れ出してくれるだろうという強い確信になった。

思いを書くこと、それを人に伝えること、そして自分の正直な気持ちを必ずそこに載せること。書くことで、個人の夢が社会と繋がるのだ。
そうして目の前にドアを見つけたら、開けて一歩踏み出す力が、わたしにはあるのだと強く信じられるようになったのだ。
それほど、書くことには力がある。そして、わたしたちには書く力があるのだ。

ワークショップの内容ややり方は、ここでは詳しく書けないのだけれど、「将来つきたい仕事」がテーマだった。大人のわたしが?なんて思ったものの、一瞬で思い知らされる。大人だからこそ、「あれはもっとずっと若い頃に見た、ただの夢」なんて埃を被せて捨てきれない夢があったりするのだ。気づかないふりをして、でも、何かのたびにモヤモヤしたりチクチクしたりする。そんな中にこそ、真実が隠されていたのだ。

そして、最後の課題で「大波乱が起きることもよくあります」というズーニーさんの言葉通り、わたしにも起きた。もっともらしい夢の理由を書いていたのだが、ふとした瞬間にもっとずっと根源的な出来事を思い出してしまった。そう、"思い出してしまった"のだ。

気づくと、不都合があるから。大人だからわかってる、周りに迷惑かけちゃいけないって。でもそれって、結局言い訳だったよね?

その後は、1人で号泣しながら書いていた。画面はオフにしていてよかった。出来上がった文章は、一人ひとりが皆の前で読み上げる。いつ自分の順番が来るかわからなかったから、1人が読み終わるたびに心拍数が上がった。緊張していたかもしれない。これを誰かに伝えるのは初めてだから。一番最後に、順番が来た。鼓動は速かったが、聞いてもらえる場にいることがうれしくなった。でも、読み出すと、声が震えるのを抑えるのが大変だった。「真実は、いつも勇気が要る」ズーニーさんの言葉の通りだった。今のわたしの心の底からの正直な思いが、やっと社会に一歩を踏み出したのだった。


わたしが将来なりたい職業は、旅の日常を伝える「旅作家」だ。

中学の頃に知った谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩。地球上のある場所で朝を迎える頃には、他の場所では誰かが眠りにつく。そんな内容だ。そこで初めて、果てしなく遠く感じていた「外国」は誰かにとって日々の生活の場なのだと腑に落ちた。それまでは映画やTVの中の世界でしかなかったのだが、もしかしたらわたしもいつかそこに行って、そこに住む人たちと話ができるかもしれないと思ったのだ。その時、灰色だった世界に、光が差したような気がした。それからいくつかの国に長く滞在し、そして数々の国を訪れた。いろんな生き方、いろいろな暮らしがあるということを知るだけで、ちぢこまっていたわたしの背中は伸びてきた。

今は、本に加えてSNSやブログなど文章を公開する場が数多くある。そしてそれを読む人たちも多い。それは、誰かの物語を読みたい場合だったり、知識を増やしたいからというのもあるだろう。そして、自分の可能性を知りたい・広げたいという理由もあるはずだ。

その中であえて、これからわたしが書く役割とは?それは、過去のわたしのような人に可能性のドアがあることを伝えることだ。

わたしが旅や現地での生活を文章や絵、写真で伝えることは、今いる場所を窮屈に感じている人に対して新しい提案をすることだと理解している。目の前の場所だけが現実ではなく、身近にある決まりごとがいつでもどこでも誰にとっても常識だとは限らない。実は、可能性のドアは誰にでもいくつかあって、その気になりさえすれば開けることができるのだ。

わたしが伝えたいのは、特別な旅でもなく、高級な旅でもない。現地に住む人たちのなんでもない日常を知ってもらうことで、身動き取れず苦しい気持ちが少し緩むのならうれしい。

時間内で書いたのは、ここまで。
誤字は修正したけれど、他はそのまま。

これから先、もしかしたらこの夢は少しずつ形を変えていくかもしれない。だけど、必ずわたしの夢の土台であり続けるはずだ。
だから、ここに残しておこうと思う。

未来のわたしへ。やっと昔蒔いた種が芽を出し始めたよ。見ていてね。


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