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芸術新潮 2月号『正統なんてぶっ飛ばせ! 奇想の日本美術史』

私は有給をとる。週末から始まる『奇想の系譜展』を平日見るために。少しでも空いている状況で見たい。じっくりどっぷりうっとり見たい。

おそらく2000年の若冲展をきっかけにBRUTUSか何かで特集されていたんだろう。大学生の私は伊藤若冲に出会った。江戸時代なのにドット絵みたいな絵、異様に書き込まれた鶏、象と鯨の屏風。何これ、かっこいい。若冲にドはまりした私は母をスポンサーにして京都へ彼の墓参りに行った。若冲だけでない。奇想の系譜系でいえば特に曽我蕭白もえらく気持ちが悪くて、とてつもなくかっこよかった。果物の盛り合わせとか、微妙な表情を浮かべた少女といった西洋画よりも、ズバっとしていてかっこいい日本画や浮世絵のほうが断然好きで、よく美術館に通った。

あれから20年くらい経って、休日の混んでいる美術館を避けるようになったし、感受性もかつてのようではなくなってしまった。だがしかし。読書会 猫町倶楽部の課題図書だった『奇想の系譜』を斜め読みしたら、やっぱりかっこよかったのだ。絵師もそうだけど、彼らに脚光をあてた辻さんや、彼を継ぐ山下裕二さんの「好き」も熱くて、私の気持ちも再燃した。

しかも、今回の展示は白隠も入るっていうじゃない・・・絵はもちろん、元ガチ健康オタクの私としては禅病になるほど修行をして軟酥の法を編み出したりするところとか、ぐっとくるのです。そして2月号では縄文土器から最近の作品まで、「やりすぎ」「役立たず」「怖い」といった独特のチャートを切り口に全部カラーで、連綿と受け継がれる奇想の系譜が紹介されている。アツい。

ちなみに2月号の第2特集はBANKSY。ロンドン留学中、ある日近所にBANKSYのグラフィティが登場したことがあったっけ。もちろん好き。というわけで偶然にも、薄れていっていた情熱を再燃させてくれた芸術新潮2月号。ありがとう。

雑誌2 芸術新潮2019年2月号

特集『正統なんてぶっ飛ばせ! 奇想の日本美術史』

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