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『ひかりの歌』公開記念 往復書簡

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映画『ひかりの歌』の公開を記念した、宮崎大祐監督(『大和(カリフォルニア)』と杉田協士監督による往復書簡。 ひかりの歌 公式サイト http://hikarinouta.jp
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2018年12月の記事一覧

『ひかりの歌』公開記念 往復書簡5(宮崎大祐)

『ひかりの歌』公開記念 往復書簡5(宮崎大祐)

こんばんは。
昨夜は渋谷までSabaというシカゴのラッパーを見に行ってきました。
奇しくも会場は僕が一番好きな映画であげようと思っていた『ポーラX』を二十年ほど前に見たシネマライズの跡地でした。
ここまでのセゾン文化云々というやりとりを経てのライズでもあり、一区切りを予感していたところです。
いやーしかし昨夜のライブは本当に良かった。
ラッパーだからといって着飾って喧嘩やら麻薬やら拳銃の話をしなく

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『ひかりの歌』公開記念 往復書簡4(杉田協士)

『ひかりの歌』公開記念 往復書簡4(杉田協士)

宮崎大祐さま

宮崎さんから届いた手紙がとてもおもしろくて、読みながら声を出して笑っていました。宮崎さんが反抗の火柱として燃え上がっていく過程が、どうしてこんなにたのしく読めてしまうのかを考えていました。書いている宮崎さんが歳を重ねてすこし弱ってきて、そのことを受け入れているからでしょうか。映画をつづけるのが、意地と食い扶持のためだと言いきる宮崎さんが書く言葉だからこそ、私には響くのかもしれません

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『ひかりの歌』公開記念 往復書簡3(宮崎大祐)

『ひかりの歌』公開記念 往復書簡3(宮崎大祐)

杉田様、

おはようございます。
この手紙を僕が書いているのは早朝なのですが、メールを送信した時間で言えばこんばんは、杉田さんがメールを開く時間でいうとこんにちは、かもしれません。
ともあれ、ここしばらく狭い自室にこもって朝から晩まで様々な文章を並行して書いていたので、いささか混乱しており、返信が遅れて申し訳ございません。

杉田さんが映画を撮り続ける理由にはこういったささやかな生活や現実体験があ

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