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Ane Canの吹かす都会の風にインスパイアされて買ってしまった品々

20代の頃、私は結構小金持ちだった。
理由はいくつかある。
仕事がハードで残業が多かった。
そのため残業代が基本給を超える勢いで、毎月いただくお給料が多かった。
仕事がハードすぎて休日はダウンしていたため、外に出てお金を使う機会がなかった。
加えて実家暮らしである。

20代小金持ちあるあるではないかと思う。

そんな20代、私は女性誌「Ane Can」に影響されまくっていた。
Ane Canでは当時、女性誌でも特に知名度が高い、綺麗なお姉さん系のモデルが多く活躍されていた。その美しいモデルが都会の風を吹かせまくる雑誌がAne Canである。

その中でも、1カ月着回しコーデに毒されまくった私。
主人公は港区か丸の内のIT企業の広報部で働くキラキラ女子。
1カ月の間、キラキラ女子は様々なお洋服を身にまとい、キラキラと働き、キラキラと彼氏とデートを楽しみ、キラキラと友人とドライブに出かけ、キラキラと一人時間を満喫する。

ちなみに余談ではあるが、「1カ月着回し」と銘打っているにもかかわらず、キラキラ女子は月の途中で小物やバック、靴をいくつも買い足し着回しにアレンジを加えていく。これはいかがなもんかと毎月苦々しく思っていた。

ともかく、彼女の1カ月の充実ぶりはすさまじい。
重要な会議の準備に追われ、徹夜したかと思えば(会議当日は普段掛けないおしゃれなメガネをきりっと掛ける)、翌日は力の抜けたラフなスタイルで溜まった洗濯物をコインランドリーに持っていき、ゆるいお団子頭でコーヒーを飲む。そこで彼氏以外の素敵なメンズとの出会いがあったりもする。

気の置けない友人とお家でDVDを見ながらポップコーンを食べたかと思えば、ちょっとしたパーティーにお呼ばれしたりしてドレスアップをする。(そしてそこで、コインランドリーで出会ったメンズと再会したりしてちょっと気持ちが揺れたりする。ちなみにその頃本命彼氏は海外出張中)

最終的にはコインランドリー男は当て馬パターンのことが多く、最終日の日曜日には、彼氏のご両親と初顔合わせをするため、彼ママ好みのお嬢さん風ワンピースに身を包み、高級和菓子を用意する。

何たるバイタリティー。
このくらい逞しくなければ花の大東京では生きていけないということなのか。


悪いことに、私が働いていた会社は全国規模の上場会社で月1度程度東京出張があり、私は自分はAne Can側の人間だと錯覚してしまった。
目を覚ませ!お前は九州在住なんだ!
近くに港区もタワーマンションも無い!九州で開催されているパーティーは結婚式かリッツパーティー、もといルヴァンパーティーだけだ!(知らんけど)

そんな私がAne Canスタイルに影響されて購入した品が以下になる。

・シャネルのサングラス
⇒トレンチコート着て、オール明けのすっぴんを隠すという名目(Ane Canではそうやって使ってたし!)で使用したかった。そもそも私はオールをしない人間だし、横顔のフォルム=スヌーピーの私には壊滅的に似合わないアイテムだった。

・ちょっとしたパーティーにも使えるマキシ丈ワンピース
⇒先述の通り、九州にルヴァンパーティー以外の「ちょっとしたパーティー」は存在しない!(断言)存在したとしても招待してくれるようなチャラついたツテは持ち合わせていなかった。日常使いするには夜の匂いが隠し切れないアイテムだったためお蔵入り。

・セールで買った卑弥呼の10㎝超えヒール
⇒一人で海外旅行する際(この行動もAne Canにインスパイアされてる気がする)に初おろし。地元空港で即2回こけ、恐怖を感じ、沖縄の島草履に履き替えた。
卑弥呼は国境を跨ぐことは出来なかった。(卑弥呼だけにな…)


とまあ、己を知らない若い時分によくある過ちであった。
未だにAne Canを思い出すと、恥ずかしさと同時に拭い去れない憧憬を覚える。



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