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甘党もすなるヌン活といふものを辛党もしてみむとするなり

「寒い」以外の言葉を忘れたカナリアこと、たいたいです。
寒いですね!

明日以降さらにこの寒さが厳しさを増すと聞いて恐怖に震えるしか術のない哀れな九州人、それが私。
昼間っからせっせと用意した湯たんぽを抱えてソファーで毛布にくるまり惰眠を貪っていたらもう日曜が終わるって?
誰か嘘と言って。

さて、先週私は幼馴染である友人Kと共に、ホテルのロビーラウンジにて人生初のアフタヌーンティと洒落こんできました。

ちなみにタイトルのヌン活とは英国発祥の喫茶習慣「アフタヌーンティー」を楽しむ活動の略語です。タイトルに使っておいてなんですが、語感が嫌すぎるので以後一切使用しません(笑)

※友人Kはこの人です

やってみたかったんです。
ただただ、一度経験しておいてみたかったんです。
根っからの辛党の私が、ホテルのアフタヌーンティだなんて、アフタヌーンティと、アフタヌーンティを愛する甘党の皆様に泣いて謝るしかありませんが、やってみたかったんです。

白状します。
買った指輪を付けて行く場が欲しかったんです!!!
ホテルのラウンジなら最高でしょうが!(謎のブチぎれ)

鬼滅の刃原画展に会社を休んで参戦するという友人Kから、せっかくだから午後会わないかと誘われた私は、今だ!今しかない!と飛びついたのです。

この友人Kは根っからの甘党。
アフタヌーンティを誘うには絶好の相手。
懸念点はただ一つ。
一人当たり4300円という庶民をややたじろがせる強気な値段設定。
平静を装って伝えると、意外にも友人Kは二つ返事でOK。
さすが根っからの甘党だ。金に糸目は付けぬと、こういうわけかい。

甘党の考えることは分からんぜと、誘った分際で若干呆れていると、後日友人はこの金額を2人分の合算だと勘違いしていたということが発覚し、胸をなでおろしたのであります。
だよね!高いよね!

駅で待ち合わせした私達は、来たるべき無限スイーツに備え、先に塩辛いものを補給することにした。
生ハムとグラスの赤ワインで優雅さをめいっぱい味わい気分は貴族。
「自慢していい…?」
の言葉とほぼ同時、友人の了承を得る前に右手に輝く指輪を見せつけ渾身のにやり。
やなやつである。

「これを付けて行く場が欲しかった。つまりそういうことよ。」
友人Kはその言葉に深く納得していた。
「たいたいがアフタヌーンティなんておかしいと思ったよ。」
いや、貴族になりたい私としては、一度ホテルラウンジでの優雅なアフタヌーンティというものを味わってみたかったのはほんとなんだ。

「加えて今日、ストロベリーアフタヌーンティセットじゃん。このハンカチと一緒に映え写真を撮ってみたかったというのもある」
ぬっと差し出すは、そう。
フェイラー福岡天神店限定の赤ヘムのイチゴ柄ハンケチ。

この度値上げの運びと相成りました。

ジュエリーを見せびらかしたい。
映え写真を撮りたい。

真の甘党、真のアフタヌーンティ愛好家に不敬罪で糾弾されたとて仕方あるまい。

さて、しっかり塩分を補給し、万全の体制で対面した豪華絢爛スイーツタワーに私たちは度肝を抜かした。

鮮やか!!(スイーツが)
高い!!(タワーが)
多い!!(量が)

右手にティーカップをもって優雅にポーズしていたのだが、カップが映っていないじゃないか!
Kよ(怒)!!

そしてその可愛らしさ、鮮やかさはアラフォーを一瞬にしてティーンエイジャーに戻す力があった。

キャッキャッせずにはいられない可愛さ


「きゃっ!可愛い~~!」
「写真撮って写真撮って!!」
語尾にはハートを付けて読んでいただきたい。
先ほどまで塩気を取りながら介護と健康の話をしていたとは思えないはしゃぎぶりである。

アフタヌーンティーは下段から上段に向かって食べていくものらしい。
私たちは、注文した紅茶と共にまずは下段の「甘くないFoodゾーン」から食べ進めていくこととした。
Foodゾーンといえども、全てにイチゴが使われている徹底ぶりが凄い。
サンドウィッチ、キッシュ、生ハム(しまった!被った!!)、ブルスケッタ(って何?)、サラダになんと巻きずしまで。

これがまたとんでもなくお洒落な味で、どれ食べても旨いんだ。
巻きずしに至っては、フルーツと米がなんの違和感もなく調和している!

立て続けに2品ほど食べたところで私とKは同時にはたと止まった。
「ねえ、この下段、どう考えても残しておいた方がいいよね」

洋々とそびえ立つ上段のスイーツタワーの迫力よ。
見ているだけでお腹いっぱいになるのは、ハートはティーンエイジャーに戻れても我々の肉体および内臓機能はまごうことなきアラフォーであるという証である。

いずれ間違いなく下段の塩分が命綱になる。
甘党であるはずのKにも異存はないらしく、私たちは下段をそこそこに、待ち受ける圧倒的糖質タワーに立ち向かうこととした。

どこから手を付けようか、あまりのバリエーションにしばらく我らの手は中空をひらひらと彷徨う。
意を決して私が切り込んだのは、ピンク色のマカロン。

「こいつ、いってみるわ。」
私はマカロンを信用していない。
マカロンは可愛い。それは認める。
だがしかし、世の女子がこれを本当に美味しいと思って食べているのかは甚だ疑問であった。

「可愛いマカロンを食べてる可愛い私」をインスタにアップするためにマカロンを利用しているのではないのか。

そしてマカロンサイドもそれを許容し、菓子としての本分である味については手を抜いているのではないかと常々疑いの眼差しを向けてきた。

いわば女子とマカロンはずぶずぶの共依存関係ではあるまいか。
マカロンに刑を執行すべく、私は可愛いを具現化した小さく丸く鮮やかなその菓子をつまみ、口に放り込んだ。

「いざ!…旨い!!」
秒で疑念が晴れた。
美味しいマカロンは美味しい。
おそらく世にはダメマカロンも存在しているのだろうが、美味しいマカロンは美味しいのだ。

「いやぁ。さすがホテルだわ。てか私色々とひとり相撲してたわ」
「たいたいそういうところあるよね。マカロンは普通に美味しいものだよ」
反省した。

今回格別に美味しかったのは「ストロベリーブリュレ」であった。
正直私はこれにも偏見があった。

「スプーンの裏でカンカンと割って食べる私おしゃれ」を演じるためのスイーツなんだろうと、恥ずかしながら思っていたことをここにお詫びしたい。
みんなフランス映画「アメリ」に感化されてるのだと思っておりました。※お若い方アメリ…知ってる?

こんなに美味しいものだったのですね。
美味しいブリュレは美味しい。
おそらく世にはダメブリュレも存在しているのだろうが、美味しいブリュレは美味しいのだ。

この辺りで紅茶からコーヒーへ注文を変更する。
ドリンクは紅茶、コーヒー、その他ジュースから何度もお替わり可能で、もちろん最初に紅茶を選んだら他のドリンクへの変更を認めませんという悲しい下界のルールなどホテルという高級空間には存在しないのだ。

コーヒーで一時的に息を吹きかえしストロベリースコーンやタルトなど重量感たっぷりの大物に切り込む。
ふぅふぅ言いながらなんとか少しずつ食す。
もはや何か過酷な競技の様相を呈している。

それにしても下段のサラダやチーズの助けがなければ早々にギブアップすることになっていただろう。

「ちょっと…下段で息継ぎするわ…」
「このサラダがなくなったら終いじゃ…」
「塩が欲しい…お洒落な岩塩とかじゃなくていい。伯方の塩でいい」
「もはやアジシオでいい」

優雅を求めて4300円を支払いアフタヌーンティを体験しに行ったはずではなかったのか。

最終的に完食をあきらめた友人Kは、なんとバッグの中から小さなタッパーを取り出し詰め込み始めた。

ここ、ホテルのラウンジだよ…
今日のテーマは「優雅」だよ…

あ、Kにテーマ伝えてなかったわ。

仕方ないので、タッパー詰めに四苦八苦しているKに、「その隙間にマドレーヌいけると思うよ」などと小声でアドバイスを与えつつ、せっかく用意したフェイラーのハンカチを写真に収めることをすっかり忘れていたことに気づくのだった。

友人とスイーツの残骸と、かなしきフェイラー

↑撮らないほうがましレベルの写真。

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