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【PMP×野球】#8:リスクマネジメント

「プロジェクトマネジメント」×「野球」

世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。

あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。

そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。

苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…

#8.リスクマネジメント

<計画プロセス群>
8.1:リスクマネジメントの計画
8.2:リスクの特定
8.3:リスクの訂正的分析
8.4:リスクの定量的分析
8.5:リスク対応の計画

<実行プロセス群>

8.6:リスク対応策の実行

<監視・コントロールプロセス群>
8.7:リスクの監視

リスクマネジメントはプロジェクトの独自性に由来するためリスク自体は常に付き纏うものである。更に言うとステークホルダーの要求も変化していくので前提条件や制約条件も変化する。なので組織はリスク対応のために投資と効果のバランスを保ちながら事業価値を創造していかなければいけない。

またリスクマネジメントの目標はプロジェクトにとってプラスとなる事象の発生確率と影響度を増大させ、マイナスとなる事象の発生確率と影響度を減少させることにある。

このリスクマネジメント領域の知識エリアで特徴的な点は”広い視野”。これを野球のポジションで例えるならば、扇の要と言われるキャッチャーとフィールドの上で反対側にいる「センター(中堅手)」だ。

外野手というその名の通り”ちょっと俯瞰した位置”から全体の物事を”広い視野”で捉えて起こりうるリスクを洗い出す。

そして、あらゆる試合展開においても忠実に注意深く打者やベンチの様子を見ながらリスク回避し、勝利へ向けての確率を上げる。

野球界隈では「強いチームには、良いセンターラインがいる」と言われるが”良いプロジェクトには良い”リスクマネジメント”がある、ということも言えそうだ。

8.1:リスクマネジメントの計画【計画プロセス群】

プロジェクトのリスク・マネジメント活動を実行する方法を定義するプロセス。プロジェクト全体で一度または、あらかじめ定義された時点で実行される。

<8.1:リスクマネジメントの計画(主なアウトプット)>

◎リスク・マネジメント計画書
リスク戦略:リスクマネジメントの一般的手法を記述。
方法論:適用する取り組み方法、ツール、データ源を定義。
役割と責任:リスク・マネジメントのリーダー、支援者、チームメンバーを定めて各人の責任を明確化する。
資金調達:資金を割り当て、コスト・パフォーマンス・ベースラインに含めるために必要な資金を見積もり、コンティンジェンシー予備の適用手順を規定する。
タイミング:リスクマネジメントを実行する時期と頻度を規定。
リスク区分:体系的にリスクを特定する包括的なプロセスになるような枠組みを提供し、かつリスクの特定のプロセスの有効性と品質に寄与する枠組みとなる。

リスクブレイクダウンストラクチャー(RBS)

プロジェクトで発生する可能性のある典型的なリスクの区分とその下位区分を示す体系図。リスク特定を行う者がプロジェクト・リスクの原因の多くに気づくことができるというのが利点。

ステークホルダーのリスク選好

ステークホルダーのリスク選好はプロジェクト目標に関連する測定可能なリスクしきい値として表現され、リスク・マネジメント計画書に記述される。しきい値はプロジェクト全体リスク・エクスポージャーの許容度を決定するとともに、個別リスクを評価し、優先順位付けする際に使用する発生確率と影響度の定義に活用される。

8.2:リスクの特定【計画プロセス群】

プロジェクト全体のリスクの要因だけでなく個別リスクの要因も特定し、それぞれの特性を文書化するプロセス。

SWOT分析(Strength / Weaknesses / Opportunities / Threats)
強み、弱み、機会、脅威の各観点からプロジェクトを検討する分析手法。組織としての強みと弱みを特定することから始め、強みから生じるプロジェクトの好機と弱みから生じる脅威を特定する。

<8.2:リスクの特定(主なアウトプット)>

◎リスク登録簿
特定された個別リスクの詳細を捉える。特定したリスクのリストを記録し、明白な理由を確実にするために十分詳細記述してゆく。構造化されたリスク記述はリスクの原因及びその影響からリスクを区別する。

◎リスク報告書
プロジェクト全体リスク要因に関する情報とともに、特定された個別リスクに関する要約情報を提示する。

8.3:リスクの定性的分析【計画プロセス群】

リスクの定性的分析はリスク対応計画プロセスにおける優先順位を決めるための迅速かつコスト効率の良い手段である。リスクの定性的分析からリスクの定量的分析プロセスに必ず移行するとは限らない。

<8.3:リスクの定性的分析(主なアウトプット)>

◎プロジェクト文書更新版
前提条件ログ、課題ログ、リスク登録簿、リスク報告書などが更新される。

8.4:リスクの定量的分析【計画プロセス群】

プロジェクト個別のリスクと目標全体における不確実性要因が複合した影響を数量的に分析するプロセス。

定量的なデータ分析手法

◎シュミレーション(モンテカルロ・シュミレーション)
コンピュータなどを利用し発生確率や影響を分析。モンテカルロ・シュミレーションにより「What-Ifシナリオ」の分析が可能

◎感度分析
リスクがプロジェクトに与える影響を分析。
代表例としては「トルネード図」がある。これにより相対的な重要度や影響度の比較が可能。

◎デシジョン・ツリー分析
選択肢ごとに想定されるシナリオの発生確率とリターンを表現。
発生確率×リターン=期待値を意思決定に利用

<8.4:リスクの定量的分析(主なアウトプット)>

◎プロジェクト文書更新版
プロジェクトの全体リスク・エクスポージャーの評価、詳細な確率的分析、定量的分析結果の傾向や推奨されるリスク対応策などのドキュメント。

8.5:リスク対応の計画【計画プロセス群】

プロジェクトの全体リスクとプロジェクト個別リスクに対処するために選択肢の策定、戦略の選択、および対応処置へ合意するプロセス。

リスク対応戦略は「ポジティブリスク(好機)」と「ネガティブリスク(脅威)」に対する2つが存在する。

ポジティブリスク(好機)

活用:好機が確実に実現するように計画を変更する
共有:好機を得られる能力の高い第三者に権限を付与
強化:好機の発生確率・影響度を高める
受容:好機が発生したら受け入れる意思決定を行う
エスカレーション:PJスコープ外・PM権限を超えている場合

ネガティブリスク(脅威)

回避:リスクが発生しないように計画を変更する
転嫁:リスクと結果を第三者に移す(保険/外注など)
軽減:リスクの発生確率・影響度を減らす
受容:リスクが発生しても受け入れる意思決定を行う
エスカレーション:PJスコープ外・PM権限を超えている場合

<8.5:リスク対応の計画(主なアウトプット)>

◎変更要求
計画されたリスク対応策によって、コスト・ベースラインとスケジュール・ベースライン、およびプロジェクトマネジメント計画書の構成要素に対して変更要求が提出される。

8.6:リスク対応策の実行【実行プロセス群】

リスク対応計画で用意された合意済みリスク対応計画を実行するプロセス。

<8.6:リスク対応策の実行(主なアウトプット)>

◎変更要求
計画されたリスク対応策によって、コスト・ベースラインとスケジュール・ベースライン、およびプロジェクトマネジメント計画書の構成要素に対して変更要求が提出される。

8.7:リスクの監視【監視・コントロールプロセス群】

合意済みリスク対応計画の実行を監視し、特定したリスクを追跡し、新しいリスクを特定、分析し、そしてリスク・プロセスの有効性を評価するプロセス。

<8.7:リスクの監視(主なアウトプット)>

◎作業パフォーマンス情報
発生した個別リスクとその発生予測とを比較することによってプロジェクト・リスク・マネジメントの実施状況の情報を含み、対応計画および対応策実行プロセスの有効性を示す。

◎変更要求
全体リスクの現在のレベルや個別リスクに対処するために推奨される是正処置や予防措置を提案。

◎プロジェクト文書更新版(リスク登録簿)
個別リスクに関する情報を更新。

”リスクマネジメント的”プレイヤー

これまで見てきたリスクマネジメントの内容を思い起こす上で”リスクマネジメント的な野球選手”を例に出してみる。個人的に思い当たるのは「大島洋平(中日ドラゴンズ)」「岡田幸文(元千葉ロッテマリーンズ)」あたりか。

どちらも野球ファン界隈には言わずと知れた存在だが、いぶし銀的な玄人好みなプレーで魅了している選手。試合前や試合中において”高い準備力”が様々な失点リスクをマネジメントしてきた名プレイヤー。

◎岡田幸文(元千葉ロッテマリーンズ)

◎大島洋平(中日ドラゴンズ)


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