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Airbnb はアメリカでは雑誌を発行している

Airbnb はアメリカでは雑誌を発行しています。彼らはその雑誌の中で、サービスの使いかたをほとんど説明しません。では代わりになにが書かれているのでしょうか。実際に買って読んでみました。

Airbnb Magazine

Airbnb Magazine は民泊サービス Airbnb の発行する旅行雑誌です。Airbnb のヘルプによると、

Starting in January 2019, we’re aiming to send all hosts in the US (with a valid listing address) and a limited number of guests a free one-year subscription to Airbnb Magazine.

2019年の1月から、アメリカのすべての Airbnb ホストには、無料で一年間は定期的に届くということなので、最近アメリカに旅行して Airbnb を使ったひとの中には、部屋の中でみかけたというひともいるかもしれません。なお、街中の雑誌売り場などでも $5.99 で購入できます。

手にとってみると、なかなかちゃんと編集されていて、デザインも綺麗です。それもそのはず、Airbnb Magazine の編集には、日本でも Esquire や Elle などで知られるアメリカの大手出版社 Herst 社が関わっています。

最新号 The Games Issue を読んでみる

インターネットを主戦場にしたサービスが、アナログな雑誌を発行する、というと「Airbnb をはじめてみよう」みたいな初心者向けの記事を想像するかもしれません。しかし、実際に読んでみるとそういった記事はほとんどありません。

代わりにあるのは、たとえば最新号の The Games Issue なら、フランスの古城や作家ジョン・スタインベックの家に泊まれる Airbnb ホストや、台湾の Airbnb ホスト達に聞くインサイダーの台湾案内といった、ある意味 Airbnb らしい、普通のホテルに泊まらない、実際に住んでみる人に行くべき場所を聞いてみるような、旅の提案です。

一方で、カリブ海にうかぶイギリス連邦王国の一つバルバドスのロード (路上) テニス、アメリカ生まれの子供が両親の出身地メキシコに引っ越してからオンラインゲーム Fortnite にはまった理由、ナイジェリアにおける英単語ボードゲーム Scrabble のプレイヤー達、なんていった、Airbnb でのコンバージョン - 宿泊には直接つながらないような記事も充実しています。

全体に共通するものがあるとすれば「人」というテーマかもしれません。創刊当初の2017年のインタビューでも

In looking at the existing travel magazines at the time, we noticed most had no people in them, which felt strange since the real magic of travel comes from meeting and connecting with people. So we set out to create something that would fill that void in travel media.
This is a magazine that celebrates the human element of travel.

既存の旅行雑誌とちがって、Airbnb Magazine (当時は Airbnbmag と呼ばれていました) は人に焦点をあてる、ということが明言されています。

なお、記事のうち一部は Medium の Airbnb Magazine でも読めるようです。

そのほかの雑誌・出版物達

インターネットを主戦場としたサービスが、その世界観を伝えるような雑誌を発行するというのは、2019年には、そこまで前代未聞の話でありません。

TechCunch の記事では Airbnb だけではなく、出会い系アプリの Bumble, カミソリ定期購入サービス Doller Shave Club から、日本でもよく知られているであろう Uber や Facebook まで、いくつかの事例が紹介されています。

雑誌から離れると、決済プラットフォームである Stripe は Stripe Press という出版社をもち、いくつかの本を発行しています。

まとめ

Airbnb は、大手出版社 Herst と協力して、旅のなかの「人」に焦点をあてた、旅行雑誌を発行しています。

インターネットができない人向けの情報格差の解消ではなく、サービスの提供する価値や世界観を伝えるために、アナログな雑誌をつくるというのは、なかなか面白いアプローチじゃないかと思います。

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