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セックスレス夫婦の妊活③流産は悲しみより痛みとの現実



人工受精で無事に妊娠の陽性反応を確認したのも束の間
下腹部が痛い日が続いた。

初めての妊娠だし、そういうものだと思って過ごしていた。

年末に妊娠検査薬で妊娠が分かったので
正月明けまで病院には行かなかった。

初めて病院に行ったのは6週目に入った頃。


先生に「心臓動いてるの見えますか?」と言われ
私にはどこが動いてるのかわからなかった。
それでも初めての妊娠だから、
先生の言われるがまま、動いてるものだと思い
旦那さんに「心拍確認できたよ」と連絡を入れた。

心拍が確認できたことで安心した。

何かを不安に思うことなく
下腹部の痛みはそのまま続いたけれど、変わらぬ日々を過ごした。

早くもSNSで子供ができたことを報告し、
先輩ママからは祝福とたくさんのアドバイスを頂いた。

心強いと思った。



その日は友人夫婦に誘われて食事に出かけることになっていた。
家を出る前にトイレに行った時に少量の出血があった。
その日は食事を急遽キャンセルした。
そのあとも僅かではあったけれど、出血が続いた。
夜が深くなるにつれて下腹部の痛みも増した。

翌朝、病院に連絡をすると
少量の出血であれば様子を見ましょうということになった。
それでも出血が止まらなかったので、
心配になって念の為午後、病院に行くことになった。

診察を終えると先生が
「難しいかもしれませんね」と言った。
自分よりも旦那さんが悲しむと思うと辛かった。


その日の夜、
激痛が襲った。

生理の2日目くらいの出血が出たら
危ないとネットには書いてあったが
それ以上の血液どころか何かわからないものまで
夜通し出続けた。

今までに感じたことのない痛み。
ここまで痛いと流産の悲しみなど感じる暇はなく、
早く痛みから解放されたいと思った。

出血し続ける中で、便器を振り返りながら
どれが赤ちゃんなのかを探したけれど
それらしきものしか見つからなかった。

私はそっと手を拝んだ。

トイレとベッドの往復だけで
気づけば朝になっていた。

眠気と闘いながら
すぐ病院に電話をかけた。

先生が来るのは9時とのこと。
少し眠って病院に向かった。

夜通し出血したせいか
ほぼ赤ちゃんは流れてしまっていた。
ただ赤ちゃんを作るための組織がまだ体の中に残っているので
取り除く手術をすることになった。

看護師さんが悲しい顔をして声をかけてくれたが
悲しさなど私にはなかった。

手術は全身麻酔をかけて
冷めるまでわずか10分だった。

その後に点滴を1時間ほど打って、退院した。



私の体は妊娠する前の体に戻った。


短い妊婦生活だった。


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