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労働組合の国際連帯は永遠の課題です

労働組合の専従になって初めて海外に行き各国の労働組合の人に出会いました。外国に行くこと自体が私にとって遠足と修学旅行を足したようなもので専従になってよかったなと思いました。ただ単純に楽しいだけではなかったです。私達は労働者の国際連帯を目指しますが、その関係性は複雑です。

労働組合の中心は欧州にあり

薄々皆さんお気づきでしょうが労働組合の国際組織のほとんどがヨーロッパ地域にあります。アメリカの労働組合は当初政治活動や連帯活動から距離を取っていた或いは今もそう積極的ではない有力産別もあるため必然的に労働運動が発祥した欧州、東側だった東欧は除いて西欧地域が中心となります。国際労働組合の職員には日本人も少なくなくというより日本の労働組合組織に比べると多くの専従職員がいて規模が全然違いました。まさに世界中の労働組合エリートが欧州で集まっているような情景でした。

欧州労働組合は押しつけがましい?

労働組合関係のSNSを見ると大体欧州労働組合がストライキを起こしたり、労働協約を勝ち取ったりする場面が多く見受けられます。世界の労働組合の中心ですから欧州労働組合が勝ち取った権利を今後は私達アジアや他地域の労組が参考にして交渉に臨みます。これは日本の春闘に似ていると思いませんか?製造業大手の春闘が先にベアなり賃上げを決まってその行く末で中小関連企業の春闘が始まる最近批判否定気味に語られる春闘です。1980年代はアジアの労組が欧州並みの賃金を求めたところ一部が失職。独自の賃金体制を志向する様になりますがそれを中央の怒りを買い権利停止などの処分を受ける例もありました。出稼ぎに行く日本人がクローズアップ現代で報道されていましたがそれもデメリットがあるはずです。ただ所得が純粋に増えるというのは大きなメリットですね。英語が学べるのでこれもかなり得な要素でしょう。

国鉄労働組合は愛国心も高かった?

これは私が体験した話なので全員が全員そういう訳ではないですがちょっと参考程度でお話し聞いてください。国鉄労働組合は日本で最もストライキをうち、最左翼の労働組合として国政にも組織内議員を送り出し中曽根康弘政権で民営化された後、急速に縮小した労働組合です。私は職場の関連で元国労の役員や地方支部委員長などの話を聞いたことがあるんですが彼らはかなりマルクス主義でなんならスターリンも少し擁護気味ですが「そういうことはヨーロッパ人に言われたくない。日本は日本のやり方がある」という主旨のことをよく聞きました。現在の国際労働組合組織もヨーロッパ主導組織であり労働政策も当然欧州基準です。私は別にそれでも構いません。現にヨーロッパの運動が私達の指針にもなるのだから。ですが労働組合にも多くの日本民族主義という人たちが長老含めて多く存在します。UAゼンセンではなく総評加盟組織で今も最左翼に近い私の組織でもそうでした。いわゆる労働組合と市民運動家で自営業者の方ではここが微妙に食い違い組合員が利権的団体と見えるところでしょうか?そのイデオロギーは案外企業絶対主義。経営陣の方が環境政策に配慮すれば労組の方が時代に逆行しだすのは日本だけでなく海外でも見られます。

欧州地域以外の労働組合は?

労働組合というものは都市の組織です。基本的に最初は製造業エネルギー鉱山業の組織化が始まり産業の発展と共に労働組合も人員が増えます。ですがまだまだ地球は広く賃金労働者よりも自営業これは一次産業従事者からガイド業など多岐に渡りますが組織労働が今後発展する見込みである国の労働組合は社会運動ユニオニズムよりも周回遅れで取り組みを始めないといけません。国によっては会社に所属すること自体エリートであり労働組合に入ることが裕福な証でもあるために本当に黎明期なのです。日本の労働運動も最初のリーダーは労働者階級の人もいましたが基本的に裕福な家柄で高い教育を受けた人達でした。

少数派の意見を汲むのが民主主義です。

かつてイラクのサダム・フセインはこう主張しました。「アメリカの大統領は国民の半分ぐらいの有権者から信任されておらず私は100%の国民から支持を受けているのでイラクの方が民主主義だ」という話です。馬鹿馬鹿しい主張ですがこういう話は日本でもあります。選挙に勝ったのだから何をやってもいいわけでも大勢のリベラル派がこの政策を支持しているのだから貴方はリベラルではないという主張も全く民主主義ではなくその先にあるのは言論の不自由です。自分で自ら自由を放棄するのは危険だと思います。欧州労働組合は先進的で私達は後追いするしかないのも現実です。ただ立ち位置によっては必ずしも追従していくわけでもいかない時もあります。こうした人を頑迷な保守と見做すか最後まで思想で囚われた人達と見做されるか、愚忠愚孝と呼ばれるか分かりません。社会は常に進歩します。男女平等ですら今は当たり前ですが30年前だったら誰かが社会主義的思想と言われたものでした。だからこそ取るに足らない意見だと思っても話を聞くだけで報われることもあります。労働運動は再構築が必要です。

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